みなさんは『ユニバーサルデザイン(Universal Design)』という言葉を知っていますか?ユニバーサルデザインとは、どんな人でも安心して使うことのできる"使いやすさを重視したデザイン"のことで、私たちの暮らしをより豊かにする役割も担っています。今回は、そんなユニバーサルデザインについて詳しくご紹介したいと思います。編集・執筆 / SHIGEMATSU, AYUPY GOTO,
イラスト / Miyagi Takumi
目次
- 1.ユニバーサルデザインとは?
- 2.バリアフリーとの違い
- 3.身の回りにあるユニバーサルデザイン
- 4.最後に
1. ユニバーサルデザインとは?
ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは、言語や国籍だけでなく、障害の有無に関わらず全ての人が使いやすいように考慮して作られた製品、環境、情報などのことを指しています。例えば、安全に配慮した自動ドアや、パッと見ただけで分かりやすいピクトグラムで示された標識、少しの力で押すことのできるスイッチなど。
どの製品も"使いやすさを重視したデザイン"になっています。
そんなユニバーサルデザインには7つの原則が定められています。
この原則はアメリカの研究者であったロナルド・メイス氏が中心となり世界中に提唱した考え方で、「できるだけ多くの人が利用可能なデザインにすること」が基本のコンセプトになっており、
1. どんな人でも公平に使うことができること
2. 自由度が高いこと
3. 操作が簡単であること
4. 分かりやすいデザインであること
5. 安全であること
6. 体への負担が少ないこと
7. 十分なスペースが確保できていること
上記の7つが原則としてあげられています。
しかし、上記に記載した7つの原則を全て取り入れなければいけないという訳では決してありません。7つのうちの1つの要素だけ取り入れられているもの、複数の要素を組み合わせて作られているものなどがあります。
そのため、私たちが使う"もの"に対して必要な要素が、ユニバーサルデザインとして取り入れられているということ分かります。
2.バリアフリーとの違い
『ユニバーサルデザイン』と『バリアフリー』は意味が似ているため、混同してしまう人も多いようですが、発案されたきっかけや思想が大きく異なります。そのため対象となる人の違いや思想、示す意味をしっかりと理解する必要があります。
ユニバーサルデザイン
対象は障害の有無や文化などを問わず、全ての人を指しています。使いやすさを重視したデザインになっていることが大きな特徴です。少ない力で使うことのできる自動ドア、どんな人でもお金が入れやすく設計された投入口が広くなっている自動販売機などが、例としてあげられます。
バリアフリー
障害を持つ方、高齢者の方に配慮しているものを指しており、社会に存在する"バリア"を取り除く、という意味を持っています。車椅子が通りやすく設計されたスロープや、点字ブロック、感触を使って情報を読み取る触知案内板などが、例としてあげられます。
それぞれの対象者や機能は異なりますが、両方とも私たちの暮らしをサポートする役割を担っているということが分かると思います。ユニバーサルデザインとバリアフリーの2つのデザインを見比べてみると、その違いを知ることができて面白いかもしれません。街などで見かけた際はどんな部分に気をつけてデザインされているのか、詳しく見てみてください。
3.身の周りにあるユニバーサルデザイン
では、ユニバーサルデザインを取り入れた製品をいくつかご紹介したいと思います。今回はデザインが個性的で面白いものをピックアップしてみました。
・プニュプニュピン
引用(http://www.kokuyo.co.jp/creative/ud/products/punyopunyopin.html)
落としても針が手に刺さらない、カバー付きの作りになっています。
また、カバーが付いていることによって、少ない力で画びょうを引き抜くことができます。
・カスタ
引用(http://www.tagami-bunguten.com/product/1464)
できるだけ多くの人が安全にハサミが使えるように……という想いから生まれたのが、この商品。握力の弱い小さい子どもでも、簡単に使うことのできる設計になっています。丸みのあるデザインで、持ちやすさも重視されているということが見た目から分かります。
・Universal Plug
(https://www.behance.net/gallery/35314389/UNIVERSAL-PLUG)
コンセントの持ち手の部分に穴を開けることによって、引き抜く時の力が少なくて済みます。スタイリッシュなデザインになっているところも魅力的です。インテリアとしても映える、お洒落なコンセントです。
・ファンシーカップ ~FANCY CUP~
引用(http://www.hakusan-porcelain.co.jp/products-fancycup.html)
指にフィットする作りになっているこちらのカップ、グッドデザイン賞を受賞しています。目の見えない人でも指の感触だけでコップの形を読み取ることができる作りになっています。少しづつ違うデザインのカップにも注目です。
・クネット樹脂
引用(http://www.qunetto.co.jp/products/jyushi_dousa/)
クネクネした形が特徴的なこちらの商品。凹凸のある作りが滑りやすい手すりのストッパーの役割を果たしています。手にフィットするようになっており、持った時に楽に立ち上がることができます。
4.最後に
ユニバーサルデザインが増えることによって、私たちの暮らしはより豊かになるのではないでしょうか。 障害の有無に関わらず、全ての人が快適な毎日を送るためにも、ユニバーサルデザインは欠かせない存在だということが分かります。今回の記事を通して、少しでもユニバーサルデザインについて知っていただけたら嬉しいです。
(2017.9.12)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア