ひと工夫でグッと魅力的に!水彩画を面白くするアイデア

top水彩画ってなんとなく雰囲気があって素敵ですよね。ちょっとした旅行記録を水彩画で描くことが出来たら、愛するペットの愛らしい姿や美味しいごはんを水彩でスケッチで出来たら、キャラクターイラストなんかも水彩で塗ることが出来たら、表現の幅が広がってとても良いですよね。
今回の記事では、そんな素敵な雰囲気でいっぱいな水彩画を、ちょっとした工夫によって、より魅力的にする方法をいくつかご紹介したいと思います。

編集・執筆/NISHIDA, AYUPY GOTO

水彩画って?

さて、この記事を読んでいらっしゃる方の中には、現在進行形で水彩画を嗜んでいらっしゃる方や全く経験がない方、遠い学生時代の美術の授業で少しだけ触ったことがあるよという方、受験でバリバリ描いている(描いていた)という方などがいらっしゃるかもしれません。

水彩画とは、その名の通り「水彩絵の具(水に溶かして使う絵の具)を使って描く絵」のことです。

筆者は大学受験で日本画学科を受験したので、水彩画とは長い付き合いだったのですが(※日本画学科の受験科目は水彩での着彩デッサンが必須科目)、今回の記事では受験で使うようながっつりした水彩画のお話ではなく、日常を楽しくするような、気軽な水彩画の楽しみ方を提案してみたいと思いますので、気楽な気持ちで読んでいただけると嬉しいです。

▼目次

  • 1.水彩画を描くときの道具
  • 2.透明水彩、不透明水彩、ちょっと変わった絵の具(香りつき)、コーヒーや紅茶で紙を染めてみる
  • 3.実際のメイキング 下書き~完成まで
  • 4.おわりに

1.水彩画を描くときの道具

今回は本格的なものというよりかは、日常の中で取り入れやすいようなものをご紹介します。水彩画に気負わずにチャレンジしてみてほしいと思います。



<道具の準備>

★用意するもの
パレット:筆者はスーパーで買った食品の空のプラスチック容器などを、パレット替わりに使ったりします。写真のパレットは受験時代に作った名残です。水彩絵の具は一度固まっても水でまた溶かすことが出来るので、このように絵の具を出しておくことができます。が、ここまでの量はいらないと思うので、画材屋さんで売っている12色セットや、最近ですと百円均一ショップで売っているものでも十分使えると思います。
筆洗:バケツがあると望ましいのですが、持っていない方はジャムのあき瓶や牛乳パックなどを利用しても良いと思います。写真は100円均一ショップで買った蓋つき耐熱皿です。(大きさがちょうど良い◎)
鉛筆(色鉛筆):水彩画ですが色をつけていく前に鉛筆や色鉛筆で線を描いておくのもよいと思います。写真では、鉛筆を削るためにカッターも載せましたが、鉛筆削りでもよいと思います。
:画材売り場に行くと「水彩筆」と書かれ、販売されているものがあるので、それを利用するといいと思います。油画の筆はとても硬い毛を利用しているのに対して、水彩画用の筆は多くがやわらかくてふわふわしています。最低限、大きく塗れる刷毛状のものと、細かく描ける細いものの2本が揃っていると良いかもしれません。
雑巾(タオル):筆についた水分量を調節するの時に使用します。
:経験がある方もいると思うのですが、水彩画は水で絵の具を溶いて塗っていくので、薄い紙や弱い紙だとぼこぼこに歪んだり、破れたりしてしまうので、描くのに適していません。出来れば厚めの丈夫な紙を使うのが良いです。水彩紙という専用の紙を使うと色やにじみが美しく出ますが、やや高価です。水張りと言ってパネルに画用紙を張り付けることで紙が歪むのを防ぐ方法もあります。比較的安価で小さなサイズの水彩紙のスケッチブックを買うと、ちょっとした絵を描くには良いかもしれません。

2.透明水彩と不透明水彩、ちょっと変わった絵の具(香りつき)、コーヒーや紅茶で紙を染めてみる

●透明水彩と不透明水彩
水彩絵の具は各種絵の具の中でも比較的低価格で入手することが出来るので(もちろん高価なものもありますが)幅広い方たちに親しまれている馴染みある画材なのではないかと思います。
水彩絵具は、「透明水彩絵具(ウォーターカラー)」「不透明水彩絵具(ガッシュ)」に分類され、形態にはチューブや瓶入りの練り絵具と固形絵具などがあります。水彩絵具は一度乾燥した後もまた水で溶かせば再利用できるので、自分だけのパレットをカスタムして使用することが出来ます。

●薔薇の香りがする絵の具

(引用:http://blog.livedoor.jp/gazai_suikousya/?p=2)


なんと、絵の具の中には香りがするものがあります。ウィンザーアンドニュートン社の「ローズマダージェニュイン」は、美しいピンク色の絵の具ですが、なんと絵の具から薔薇の香りがします

19世紀の有名な色彩家ジョージ・フィールドは、最高品質のローズマダーを作るための製法を生み出しました。W&Nはこの伝統的な製法を現代でも守り続けています。

(ウィンザー&ニュートン公式ツイッターより引用)


筆者はこの絵の具の存在を初めて知った時に感動しました。そんなによく使う色というわけでもないのですが、パレットにこの色があるだけで少しだけ優雅で幸せな気持ちになります。

●コーヒー、紅茶で紙を染めてみる

左:コーヒー / 右:紅茶
コーヒーのほうがやや濃く色が染まります


絵を描くのに使えるのは、専用の絵の具だけではありません。
紅茶やコーヒーで紙を染めてみるのはいかがですか? 絵の具のように濃い色はつきませんが、薄くきれいな茶色に染まるので、温かみのある絵を描く際にはぜひ取り入れたい技法です。(コーヒーはインスタントコーヒーの粉を任意の濃さで溶かして使うのがおススメです。古びた雰囲気を出したいときにも重宝します。紅茶はかなり濃いめに出して、何回かにわけて染めると綺麗だと思います。)
上の図では一部を塗っているだけですが、紙全体を浸してみるのも面白いです。

数年前に、とある先輩が「お金がなかったから絵の具の代わりに使ってみたんだ」と言ってコーヒーで絵を描いていたのを見て、それがとても美しかったので、筆者はそれ以来こっそり真似しています。これが本当に意外と使えるのです。ぜひお試しあれ。

3.実際のメイキング 下書き~完成まで

ではここで実際に、先にご紹介したコーヒー染めなども用いつつ簡単な水彩画を描いてみます。

<かぼちゃ>

秋だからか、花屋さんで観賞用のカボチャが売っていました。形や色がちょうどよかったので購入。
今回はこのカボチャを描いてみることにします。


<下地と下書き>

先ほどのコーヒーで下地を染めてみた上に、色鉛筆でざっくりと形を描きます。
「しっかりやらなくちゃ!」と思うより、「かぼちゃって可愛いなあ」くらいの気楽さで取り組んでみてくださいね! それにしても、コーヒー下地は絵に味わいがお手軽に出て、とても良いです。


<水彩絵具で地の色をのせていく>

観賞用カボチャの鮮やかな黄色をのせていきます。水彩ならではの透明感を楽しみましょう。


<影やヘタ部分や模様を描いていく>

感じた色味を自由にのせてみましょう。


<最後に白でハイライトを足してみる>

影に実際には無い色味を足してみたり、背景にも少し溶けさせてみたり、雰囲気を重視して遊んでみました。


完成!


ざっくりとしたメイキングではありますが参考になったでしょうか?
水彩画は雰囲気を作りやすいので、描いたものをこのまま壁に飾っても可愛いと思います。

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▼ 画像を水彩画風に加工してみる

いくら言われたっていきなり水彩画は敷居が高い……そんな方にはこちらのアプリを使ってみてはいかがでしょう?
「PORTRA」は手軽に写真や画像を水彩画風にすることができます。

ssportra2

引用:https://itunes.apple.com/us/app/portra-stunning-art-filter/id1251749114?mt=8&ign-mpt=uo%3D8



ssportra

引用:https://itunes.apple.com/us/app/portra-stunning-art-filter/id1251749114?mt=8&ign-mpt=uo%3D8


最近(2017年10月時点)話題になっていたこちらのアプリ「PORTRA」なら、自分で描いた絵や撮った写真を簡単に雰囲気のある水彩画風の画像に加工することが出来ます。
フィルターも22種類ほどあり、どれを選ぶかでだいぶ雰囲気が変わります。筆者も早速使ってみましたが、なかなかあなどれないクオリティでした。
デジタルイラストをあえてアナログの水彩画風に変換してみるのも面白いですよ!
気になる方はぜひ試して、水彩表現の世界を楽しんでみてください。
【PORTRA】をダウンロードする
【おまけ】先ほどのかぼちゃの写真をアプリで水彩画ふうにしてみる↓

portra

たった数秒でとても雰囲気ある水彩スケッチ風になりました。
アプリ……おそるべし。筆者が数時間でやったことを一瞬でやってしまいました。(少し悔しいですね)興味のある方はぜひ試してみてくださいね。

おわりに

今回は「水彩画を面白くするアイデア」ということで、即使える技法というよりは水彩画に気軽に触れるきっかけになればといくつか小ネタを紹介してみました。
水彩画の魅力はなんといっても、その手軽さと扱いやすさにあると思います。本来とても奥深いものではありますが、堅苦しいことは忘れて、コーヒーや紅茶、薔薇の香りなどを楽しみながら、自由に描いてみるというのもひとつの楽しみ方ではないでしょうか。
この秋は、水彩画で新たな表現にチャレンジしてみてください!

(2017.11.9)

著者

西田歩未

武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻日本画コース在学。読書と標本・剥製集めが趣味です。

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