アートディレクターって何?|仕事百科

学生の中には有名なアートディレクターになることを夢見て、デザイナー職を志望している人もいると思います。デザインを学ぶ学生の、憧れの職業でもあるアートディレクターという職種ですが、具体的にはどのような働き方やお仕事をしているのでしょうか。今回は、アートディレクターのお仕事についてご紹介したいと思います。編集・執筆 / KANAKO HONDA,  AYUPY GOTO

目次

  • 1. アートディレクターって何?
  • 2. アートディレクターの仕事
  • 3. アートディレクターになるには
  • 4. 最後に

1. アートディレクターって何?

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アートディレクター(Art Director)とは、グラフィックデザインや広告、装丁などの視覚的表現に関して責任を持つ人のことを指します。

広告などを制作する際は必ず、デザインを実際に行うグラフィックデザイナーや、コピーライター、プランナー、フォトグラファーなど多くの専門家が集まり、ひとつのチームとなって制作を行います。その際に、リーダーとなって全体を指揮する役割がアートディレクターです。

・それぞれの仕事への理解
・指示出し
・外部との交渉
・納期やコスト管理

このように、アートディレクターは多くの仕事があります。しかし、一貫して制作に関わることで、明確なコンセプトに基づいて制作することができるのです。
実際には全体のマネジメントだけでなく、デザイナーとして手を動かしながら、アートディレクションの仕事を請け負っている人も多いようです。

1952年には、東京アートディレクターズクラブ(Tokyo Art Directors Club)、通称ADCという、アートディレクターを中心に構成され、東京を拠点にした団体も創立され、アートディレクターという仕事が重要視されるようになりました。しかし、これはアメリカのニューヨークを拠点としたADCが創立されてから30年以上経ってからのことです。そのため、日本ではまだアートディレクターという仕事が確立されてから日が浅く、アートディレクターという仕事は一般の認知度が低いのです。

2. アートディレクターの仕事

おおまかな仕事の流れ

<クライアント訪問>
営業やプランナー、ディレクターなどと一緒にクライアント先へ訪問します。

<コンセプトを固める>
訪問先でクライアントと話し合い、先方の求めているものや対象を明確にし、コンセプトを固めていきます。

<スタッフィング>
求められていることに応じてデザイナーやカメラマン、コピーライターなど適任なスタッフを揃えます。

<全体の方向性の決定>
クライアントの意見と自分の意見を合わせ、スタッフと話し合いながらビジュアルの方向性を決めていきます。その後、スタッフが持ってきたアイディアを全体を見渡す立場から何度もチェックします。

<企画の決定>
何度も修正して、最終的な方向性が決まったら、クライアントに向けて、最終的な制作の方向性、ビジュアルコンセプトなど具体的な企画をプレゼンテーションします。

<実際の制作>
クライアントからOKが出たら、実際に制作を始めます。実際の現場でも、アートディレクターは撮影のシチュエーションやライティング、デザインにおける必要な要素などを決め、統一した見解を持って全てに指揮をとります。

<完成>
制作したものを何度もチェックし、クライアントの合意のもと、完成します。

このように、実際に制作するまでにいくつもの段階を踏んでいることがわかります。
これは、デザイナーとは大きく異なり、全体のコンセプトやビジュアルの方向性を決めることができます。また、仕事内容から、アートディレクターの仕事では、どの段階においても、全体に統一した見解を持つことが重要な仕事であるということがわかります。

3.アートディレクターになるには

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それでは、アートディレクターという仕事に就くために求められるものは一体なんなのでしょうか?

□デザイナーとしてある程度の実務経験
デザイナーとしてアートディレクターの下で仕事をし、経験を積むことがアートディレクターへの第一歩なのです。
□全体を把握し、指揮する力
□多くのクリエイティブな仕事について熟知していること
□タイポグラフィや色彩、写真、映像、イラストなど様々な方面の知識
□ディレクターとしての管理能力
□コミュニケーション能力
コストや納期をきちんと管理することで、デザインを確実に形にできます。また、クライアントの求めるものを上手く聞き出すことで、より良いものをつくりあげることができます。

アートディレクターになるには、目に見える資格は必要ありませんが、このように様々なスキルと実績を持っていなければならないのですね。

▼デザイナーがステップアップしてアートディレクターになる理由
大きな理由として、自分のアイディアや、やりたいことを作品に反映させることができる責任が持てるという部分です。アートディレクターは、実際にクライアントと話し合い、コンセプトをつくることから始めることができます。自分で考えたことを一から形にできる仕事なのです。また、直接自分のつくりあげたものが社会にどのように影響したのかが明確に見えるようになるというメリットもあります。これは、アートディレクターという仕事に責任があるからこそ見えることです。そこからまた、多くの経験を積むことで、社会を動かすような目に見える大きな仕事もできるようになるのです。

アートディレクターは、様々なスキルが必要な難しい仕事ではありますが、その分やりがいと達成感がある仕事といえるでしょう。

4.最後に

アートディレクターという職業は、日本ではまだ認知度が低いかもしれません。しかし、広告やメディアデザインが多く取り上げられるようになったことで、アートディレクターはこれからさらに重要な仕事になっていくでしょう。アートディレクターになりたいと考えている方は、アートディレクターの仕事についてよく知ることからはじめてみてはいかがでしょうか。


(2019/03/15更新)

(2015.9.24)

著者

本田佳奈子

東京造形大学所属。グラフィックデザインを勉強しています。ひとりで映画を観ることが好きです。さいきんは海外ドラマにもハマっています。

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