求職活動をする時期には、新卒採用の時期以外にも人それぞれのタイミングがあります。「第二新卒」とは、大学を卒業したのち数年の社会人経験のある人材を指し、企業からのニーズも多い求職者のことです。今回はこの第二新卒について理解を深め、今後のキャリアについての参考にしてもらいたいと思います。
編集・執筆 / ASAMI KIMURA, AYUPY GOTO
目次
- 1. 第二新卒とは
- 2. アピールすべき強み
- 3. 転職活動の時期は?
- 4. 注意すべき点
- 5. 第二新卒をどう考えるか
- 6. 最後に
1. 第二新卒とは
簡単にいえば、社会人経験のない「新卒」と「社会人経験者」の中間の人材のことを指します。新卒で企業に入社後、3年以内にその会社を離職して新しく転職活動を始める若手の求職者が第二新卒者と呼ばれています。一般的には25歳前後になることが多いです。
新卒で入社した新入社員は、仕事のミスマッチなどにより3年の間に3割が離職すると言われており、この第二新卒に当たる求職者は増加傾向にあると言われています。第二新卒者には1〜2年の社会人経験を積んでいると同時に新卒社員のように高い意欲もあるため、企業側でも需要は増えています。
また、第二新卒と似た種類の言葉に「既卒」と「中途」があります。
「既卒」とは、学校を卒業したものの、新卒のタイミングで企業に就職していない人のことを指します。ただし、既卒でも卒業後3年以内ならば新卒扱いになることを認める動きは強くなっているようです。場合によっては既卒も含んで第二新卒とされることもあります。
「中途」とは中途採用のことで、3年以上の実務経験がある一般的な転職者の採用を指します。経験があるぶん第二新卒者に比べて即戦力を求められます。場合によっては、第二新卒者を区別することなく中途採用に含んでいることもあります。
2. アピールすべき強み
企業が第二新卒者を採用するのはどのような部分を求めてなのでしょうか?
第二新卒は先ほど説明したように、純粋な新卒の良い部分に加えて社会人経験があることが強みになっています。簡単にまとめると以下の様なポイントです。
(中途に近い)
↑
・社会人としての最低限のスキル(ビジネスマナー等)が身についている
・即入社が可能であること
・前職の影響をそこまで受けておらず、新しい環境にも適応しやすい
・転職にあたり、将来に対する目標を持っている
・若く伸びしろがある
↓
(新卒に近い)
逆に、中途求職者のような
- 即戦力性
- 自社社員とは違う視野の広さ
はあまり期待されていません。
この点で数年長い経験を持つ中途採用者と比較することはないでしょう。
3. 転職活動の時期は?
第二新卒として転職するためには、いつごろに転職活動をすべきでしょうか?
一般的に転職者の採用活動が活発になるのは
- ◎1月〜3月(4月入社)
- ◯7月〜9月(10月入社)
です。これは4月や10月が年度の切り替えに伴って退職者が出やすい時期であることや、企業の決算の時期であることが理由です。
この中でも、第二新卒者が狙うべきなのは4月入社です。理由としては、新卒社員と同じタイミングで入社することにより足並みを揃えられること、中途採用者ほど経験が豊富ではないので、新卒と同様に研修を受けられる可能性があるほうが良いこと、などが挙げられます。
4月入社を狙うならば、少なくとも1月からは転職活動の準備を進めていくことが望ましいでしょう。
また、転職までの期間が1年なのか2年なのか、3年働いたのかでも評価は変わってくるでしょう。そういった意味の時期に関しても慎重に考えるべきです。
しかし、いつでも即入社が可能であるということも第二新卒採用のメリットのひとつではあります。採用を受け付けている企業があるならば、最も自分が転職したいと思った時期、準備が整ったタイミングで行動に出ることが一番かもしれません。
4. 注意すべき点
第二新卒として転職を成功するために、いくつか念頭に置いておかなければいけないことがあります。
まずひとつは、いくらニーズが増えているとは言えど、短期間で前職を辞めてしまったということに少なからずマイナスイメージを持たれるということです。もちろん転職の理由は人それぞれになりますが、「周囲と上手くいかない」「一つの仕事を頑張れない」などの可能性で辞めたことが考えられる以上、再び入社しても同じことがないかという不安要素になっています。よって、履歴書や面接においてはそういったマイナスイメージを覆すような、将来を考えての転職希望であることが説明できるようにしなくてはなりません。
もうひとつは、大手企業では第二新卒の採用に対応してないこともあるということです。企業が第二新卒を受け入れる理由の一つに、同様に自分の会社から出た若手の辞職者により空いた穴を埋めるため、ということが考えられます。人気の大手企業や待遇の良い企業ではそういった穴がそもそも空きにくいため、需要があまり無いのです。そういった部分でも、第二新卒の可能性は新卒に比べると狭くなっています。
5. 第二新卒をどう考えるか
第二新卒での転職には上記のような困難もあるため、むやみに推奨できるものではありません。就活で上手く行かなければ第二新卒で転職すればいい、などと就職活動中には考えることは辞めたほうがいいでしょう。
しかし実際には、新卒で入った会社とのミスマッチをなくすことは難しいですし、働いているうちに前向きな方向でやりたいことが変わるということも十分考えられます。行きたいと思った会社が中途採用しかしていないということもあります。そういうときには、最初に入社した会社での経験を活かし、是非第二新卒としてのチャンスに結びつけるべきです。
また、今いる業界から全く違う業界、全く違う業種への転向を考えるならこの時期が最大の機会です。いままで経験したことのない未経験の仕事に移ることを「キャリアチェンジ」といいます。キャリアチェンジには採用側にもリスクが伴うため、年齢が上がるほど難しくなります。第二新卒の強みとされる部分が劣る中途転職者では、これに対してハードルが高くなるのです。
以上のことから、少なくとも1〜2年間は新卒で入社した企業で実務経験をしっかりと積み、自分のキャリアに対する目標を持つことが大切だということがわかります。ただ、第二新卒という選択肢があることを視野に入れておくこと自体は重要です。そうすれば仕事に対する自分の考えに変化が起こったとしても、その時にベストな決断をすることに繋がるでしょう。
6. 最後に
いかがでしたか?
自分が第二新卒として転職活動をすることもあるかもしれませんし、あるいは自分が入った会社に第二新卒として入社してくる人がいるかもしれません。社会人になる上での知識として、企業が何を求めて第二新卒を採用するのかは知っておいて損はないでしょう。
(2015.9.4)
著者
はたらくビビビット
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