【クリスタブラシ活用方法】イラストで世界観を伝えよう

イラストレーターを目指す上で、自分の絵にストーリー性コンセプトがある、というのはとても重要ですよね。とはいえ、自分の想像の中だけでストーリー性を膨らますのは難しいものです。今回はその絵づくりの手段として、CLIP STUDIO PAINTのブラシツールを活用していきたいと思います!絵を描き始めた方も、イラストレーターを目指す方も、ぜひ参考にしてみて下さい!
編集・執筆 / MAKO WATANABE,YOSHIKO INOUE
イラスト/MAKO WATANABE

もくじ

 

1.一目で状況説明ができる絵づくりを目指そう

イラストの完成度を上げたい時、どんなことを意識しますか。「なんとなく描きたいと思ったものを自由に描く」のも良いですが、プロのイラストレーターとして就職することを目指す場合は「そのイラストで伝えたいことは何か」を考え、画面から背景やストーリーが感じられる絵づくりも目指してみましょう。ゲーム会社などのイラスト制作では、「なんとなく」で絵を描くことはありません。必ず“そのイラストが使われる場面”を想定したコンセプトが設定されています。

 
今回は筆者が描いた右の女の子のイラストを、CLIP STUDIO PAINT(以下クリスタ)のブラシを使って3つのテーマに描き分けます!ブラシツールは使いすぎるとオリジナリティが無くなりかねませんが、描いた絵の仕上げに使うのに便利です。うまく活用することで、同じ素材でも違う世界観を演出できます。

プロを目指していて、「なんとなくかわいい」「なんとなくかっこいい」などの絵で完結してしまう方は、一緒に「一目でストーリーが感じられる絵づくり」を目指しましょう!

 

2.コンセプト別で解説!クリスタブラシの使用テクニック

それでは実際にテーマを決め、ブラシを使って絵作りをしていきたいと思います。用意した3つのテーマはこちらです。

1.【夏休み前の最後の日、好きだった人が転校してしまう編】
2.【電子世界で出会ったAIの女の子が電子の海に消えてしまう編】
3.【スーパームーンの日に出会った女の子が涙を浮かべていた編】

制作中に感じた一番絵に合う合成モードと馴染みやすくなるコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
 

1.【夏休み前の最後の日、好きだった人が転校してしまう編】

テーマから、「夏」「さわやかさ」「青春の一ページ」などの言葉を連想しイメージを膨らませました。刹那的な一瞬の出来事を想像させるため、風が吹いている状況を表現したイラストがこちらです!
 

使ったブラシはこの三種類!



①27pt 彩粒ブラシ(Prism particle) https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1727895
②byぱーらめんと 雲ブラシpartⅡ https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1470324
③27pt 絵本のような花びらブラシ https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1742738

 
①彩粒ブラシ
合成モード:リニアライト
コツ   :大きい粒が目立ちすぎて違和感がある場合は、「ガウスぼかし」でぼかすとより馴染みやすくなります。

②雲ブラシpartⅡ
合成モード:通常 
コツ   :下のレイヤーの青空の部分は、白に近い水色を薄くグラデーションをすると、よりリアルな背景になります。

③絵本のような花びらブラシ
合成モード:通常
コツ   :遠くを小さめに、手前は大きめにしてぼかすと遠近感が出ます。

【女の子の加工について】
そのまま貼るだけでは人物が浮いてしまうので、水色で塗りつぶしたレイヤーを人物にクリッピングし、モードを乗算にしました。

 

2.【電子世界で出会ったAIの女の子が電子の海に消えてしまう編】

テーマから「電子世界」「消えかける少女」という言葉をイメージしました。レイヤーの消去やずらすなどの一手間を加えることで、よりリアルに女の子が消えかかっているような編集ができたと思います。また構図は左側に少し間を持たせ、電子の海を表現しました。

使ったブラシはこの三種類!


①tsiox Glitch Brushes 2 https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1719160
②くらきしろ 角丸散布ブラシ https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1399883
③地上げ カラーノイズテクスチャ黒灰白 https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1736663

 

①Glitch Brushes 2 
合成モード:覆い焼き(発光)、通常
コツ   :なるべく人物と背景の境界に入れます。また体が消えていく感じを出すため、女の子の上に新しいレイヤーを作りブラシを乗せた後、女の子のレイヤー部分(ctrl+左クリックで選択)を消去、乗せたブラシを少しずらしました。

②角丸散布のブラシ  
合成モード:スクリーン
コツ   :水色、緑などにして電子の世界の空気感を出します。ガウスぼかしをして遠近感を演出します。

③カラーノイズテクスチャ黒灰白
合成モード:オーバーレイ
コツ   :透明度を15%に下げてノイズがかったように見せました。

【女の子の加工について】
電子感を出すため、下から水色のグラデーションをオーバーレイをして調整しました。電子の世界で今にも消えてしまいそうな女の子をイメージしています。

 

3.【スーパームーンの日に出会った女の子が涙を浮かべていた編】

少し特殊な設定なので、神秘的で不思議な雰囲気を表現していきたいと思います。かぐや姫の生まれ変わりのような女の子をイメージし、水面から浮き上がる水しぶき、月に思いを馳せている、という設定で縦構図にして制作しました。

使ったブラシはこの三種類!


①sangaria 満月ペンセット https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1444488 
②ぱーらめんと 気泡ブラシ https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1545310
③朝野れい 星空ブラシ https://assets.clip-studio.com/ja-jp/detail?id=1444488

 

①満月ペンセット 
合成モード:オーバーレイと通常重ねる
コツ   :透明ピクセルをロックし、グラデーションをすると立体感のある月になりました。

②気泡ブラシ
合成モード:通常
コツ   :泡周辺の人物の色をスポイトで取り、泡にその色を描き足すと、よりリアルな泡に近づきました。

③星空ブラシ 
合成モード:リニアライトorオーバーレイ
コツ   :透明度を100%にすると女の子に目がいかなくなってしまうので、適度に透明度を下げました。

【女の子の加工について】
泡が上に向かっていくような神秘的なイメージで制作をしました。人物が浮かないよう、トーンカーブでblueとredの真ん中を少し引っ張りあげ、紫の色味を強くしました。下地となる夜空のレイヤーは、紫や水色でまだらにエアブラシをいれました。

 

3.最後に

クリスタのブラシツールを使うことで絵の中に情報量が増やすことができました。女の子単体の絵よりも、「どんな状況で、なぜその表情をしているか」が想像しやすくなったのではないでしょうか。
上で紹介したもの以外にもクリスタにはさまざまな種類のブラシがあります。ブラシツールを活用して「一目でコンセプトやストーリーが想像できるイラスト」を仕上げてみてください!

 

(2020.6.9)
watanabe mako

著者紹介

渡邉真湖watanabe mako

多摩美術大学絵画学科の油画に所属しております。ゲームとアニメと映画が好きです!絵を描いて過ごしています
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