作家を知るための第一歩。伝記映画をみて理解を深めよう

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「伝記映画(でんきえいが)」と聞くと、なんだか堅苦しいような印象を受ける方がいるかもしれません。しかし、伝記映画とは、実在の人物(偉人や有名なアーティスト、モデル)の人生を、わかりやすくストーリーにまとめ、映画化したものです。
数多くの伝記映画がありますが、今回はアーティストを題材とした最近作られたものをいくつかご紹介します。
編集・執筆 /RINA SAITO, AYUPY GOTO

目次

●手軽なものから始める!作家研究のススメ
●実在したアーティスト、デザイナーを描いた映画
●興味がわいたら……自分なりに考えをまとめてみよう

●手軽なものから始める!作家研究のススメ

制作する前段階のインプットするという作業は、ものづくりする上でとても大切な行動です。
具体的な一つの方法として、まず作家研究をすることをオススメします。 多くの作品の情報を取り入れるだけでなく、作品が作家によってどのように作られてたのか、作家が生きていた時代、つまり作品が描かれた時代の情勢は、どうだったのかを知ることで、作品への理解も深まり、自分が制作をする上でのヒントになります。また、数多くの作品を知ることによって、自分の興味や好みもだんだんと分かってくるはずです。

●実在したアーティスト、デザイナーを描いた伝記映画

近年制作されたものや、今年これから公開するものを中心にご紹介します。

ゴッホ〜最後の手紙〜


▼HP http://www.gogh-movie.jp
ゴッホ〜最後の手紙〜(原題「Loving Vincent」)は、イギリスで制作された95分のアニメーション映画です。この作品は、ロトスコープという、実際の人間が演技したものを撮影し、それをトレースし、アニメーションにする手法で制作されています。 アニメーションといえば、昔はフィルム状のセル画で作られていましたが、今では手描きしたものを取り込み、ほぼデジタルソフトで作られています。しかしこの作品は、油絵の具を使い、一枚一枚アナログで描かれていて、なんと約6万5千枚以上の油絵でアニメーションを構成しています。ゴッホの伝記的なストーリーはもちろん、映像作品としても注目の作品となっています。

▼2017年10月より TOHOシネマズ六本木他で全国順次公開

エゴン・シーレ 死と乙女


HP http://egonschiele-movie.com
エゴン・シーレ 死と乙女(原題「Tod und Mädchen」)は、オーストリア・ルクセンブルク合作で作られた109分の映画となっており、日本では2017年10月に公開されています。この映画の主人公である、エゴンシーレは、グスタフ・クリムトに弟子入りをするなど、強い影響を受けつつも、個性のある画風で独自の絵画を描いた20世紀初頭の画家です。28歳の若さで亡くなったシーレの波乱の多い半生を描いた作品となっています。

FOUJITA


HP http://foujita.info
FOUJITA は、日本・フランス合作で作られた、2015年公開の126分の映画です。藤田嗣治は、晩年にはフランスに帰化し、カトリックの洗礼を受けたのことで、洗礼名であるレオナール・フジタとして知られています。フジタは、日本画の技法を油絵に取り入れた独自の作品を描き、エコール・ド・パリと呼ばれる20世紀前半パリにて活躍した代表的な画家で、戦争画を描いたことでも知られ、この作品は、第一次、第二次世界大戦を経験し、日本とフランスそれぞれ異なった環境で生きたフジタの人生を描いた伝記映画となっています。

ターナー、光に愛を求めて

HP http://www.cetera.co.jp/turner/

ターナー、光に愛を求めて(原題「Mr. Turner」)は、イギリス・ドイツ・フランスの3ヶ国で合作された150分の映画で、日本では2014年に公開しています。優れた風景画を描いたことで広く知られるターナーですが、幼少期は精神疾患を抱えた故に、子供の世話が困難な母親を持ち、学校教育も受けない特殊な環境で育ちました。のちに風景画家に弟子入りし、20代で成功を収めます。この作品は、ターナーの大成した後の50代から70代の晩年の人生を描いた映画となっています。
 

イヴ・サンローラン


HP http://ysl-movie.jp

イヴ・サンローラン(原題「Yves Saint-Laurent」)は、フランスで制作された106分の映画で、日本では2014年に公開されています。イヴ・サンローランは、今でも有名なファッションブランドとして知られていますが、この作品は、20世紀を代表するファッションデザイナーのひとりであるイヴ・サンローランの人生を、恋人でありブランドを一緒に立ち上げた、ピエール・ベルジェとの関係を通して描いたものとなっています。イヴ・サンローラン財団が所有している本物のドレスが実際に劇中に登場するなど、再現性の高い伝記映画です。

ココ・シャネル


引用 |  https://movies.yahoo.co.jp/movie/ココ・シャネル/333635/photo/

ココ・シャネル(原題「Coco Chanel」)は、アメリカ・フランス・イタリアの3ヵ国が合作した、138分の映画です。日本では2009年に公開されました。ココ・シャネルは、もはや説明の必要がないくらいに世界で有名なファッションブランドでありますが、創設者であるココ・シャネルの半生を知る人は、そう多くはないのではないでしょうか?この作品では、第二次大戦後、スイスへと亡命したシャネルの、15年ぶりのファッション業界への復帰を果たした晩年の様子や、それに対する周りの反応が描かれ、シャネル自身が自分の半生を回想する形で、孤児だった子供時代からの人生が表現された映画となっています。

●興味がわいたら……自分なりに考えをまとめてみよう

映画を見ると、文章で読むよりはるかに時代の雰囲気がつかみやすく、アーティストがどんな人物であったか、アーティストを取り巻く環境がどんなものであったかがイメージしやすいと思います。
学ぶためのステップとして、映画などを活用することはいいと思いますが、一つ注意すべき点として、映画は、エンターテイメントとして物語の展開などが脚色されている可能性がある、ということは意識しておくと良いでしょう。
そして、映画を見て気になったことがあれば、本や画集、カタログなど使って詳しく調べてみることをオススメします!

●最後に

アーティストが作品に込めた意図や想いを自分なりに考えてみることは、自分自身の作品への関わり方や、作品に対する考えが深まると良い機会だと思います。伝記映画を見ることで、アーティスト自体にも興味を持つきっかけとなれば嬉しいです。

(2017.7.27)

著者

齊藤梨奈

多摩美術大学 絵画学科 油画専攻を2019年3月に卒業。 古着屋、雑貨店巡り、服やアクセサリー作りをするのが好きです。

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