デザインを依頼されたとき、学生のあなたはどうしてる?デザインの料金について考えよう

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学生を悩ませる【デザインの料金問題】。デザインを依頼されたとき、あなたは料金をどのように設定していますか?実際に制作依頼を受けた学生の実例を見ながら、学生におけるデザインの料金について考えてみましょう。
編集・執筆 / Ayako Yamada, AYUPY GOTO

目次

  • 1. 学生を悩ませるデザインの料金
  • 2. 一般的なデザインの料金の相場を知ろう
  • 3. 学生のみんなはどうしてる?気になる実態調査
  • 4. 依頼を受けるときに確認しておきたいポイント
  • 5. 最後に

1. 学生を悩ませるデザインの料金

アートやデザインを学んでいる学生の中には、友人や知人からポスターやロゴなどのデザイン制作を依頼されたことがある人は多いかと思います。そんなとき、頭を悩ませるのが【デザインの料金問題】です。「報酬をもらったけれど、制作に時間がかかり、時給換算してみると驚くほど低い金額になってしまった」という話を耳にすることが少なくありません。
学校の授業ではなかなか触れられることのない、“デザインの料金”。プロではない学生によるデザイン料金の実態は、一体どうなっているのでしょうか。

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2. 一般的なデザインの料金相場を知ろう

学生のデザイン料金を考える前に、まずプロのデザイナーの料金設定を見てみましょう。
 

● JAGDA制作料金算定基準

公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会 (JAGDA) では、制作者と発注依頼者が協議して料金を決める際のルールブックとして「JAGDA制作料金算定基準」を公開しています。この算定基準では、グラフィックデザインの制作料金を、広告・雑誌・パッケージなどの制作物の内容や、サイズ、用途などによって細かく設定されています。その一例がこちらです。

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※ CD = クリエイティブディレクション, D = デザイン , C = コピー
引用 (http://www.jagda.or.jp/designfee/cf_fee_print_sim03.html)

▼料金算定基準一覧はこちら

JAGDA制作料金算定基準

 

● Twitterで話題となったあんちゃんさん(@anmain2525)作のデザイン料金表

先日Twitterで話題となったのが、こちらのデザイン料金表。この料金がすべてに当てはまるわけではありませんが、作業時間や修正回数などもふまえて料金設定されていることがわかり、デザイン料金について考える際の参考になります。

3. 学生はみんなどうしてる?気になる実態調査

ここまではプロのデザイナーの料金設定について紹介しましたが、ここからは学生の事例を見ていきます。デザインの制作依頼を受けた経験のある5人の学生に、どのように料金を設定したかアンケートを行いました。

    【アンケート内容】

  • ① 報酬に納得した案件*
  • ② 報酬が見合っていなかったと感じる案件*
  • ③ 料金を考える際、疑問に感じたことや苦労したこと
     

  • *……①,②はどちらかのみの回答も可

 

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ありま さん

武蔵野美術大学 デザイン情報学科 4年

 

① 報酬に納得した案件

● 無回答
 

② 報酬が見合っていなかったと感じる案件

● 制作内容:動画投稿アプリのイベントバナー制作
● 依頼主との関係:某ITベンチャー企業
● 制作時間:1個あたり4時間〜6時間
● 報酬:時給960円
● どのように報酬を決めたか:先方からの提示
 

③ 料金を考える際、疑問に感じたことや苦労したこと

短時間で一気に作業する性格なので、時給制だと制作のモチベーションが上がらず、作業に集中できなかった。その上、納入しても案件が尽きることはなく、且つフィードバックが貰えないまま直ぐに新しい仕事を渡されるので、作り終えた達成感があまりなかった。

 

 

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かーぎ さん   

筑波大学 構成専攻 2年
Twitter

 

① 報酬に納得した案件

● 制作内容:研究機関の特許技術をムービーインフォグラフィックスにする
● 依頼主との関係:教授の紹介
● 制作時間:4ヶ月ほど
● 報酬:約12万円
● どのように報酬を決めたか:研究機関と学生の仲介である産学連携機関がすでに決めていた
 

② 報酬が見合っていなかったと感じる案件

● 制作内容:友人がオリジナルで作ったボカロ曲のMV作成
● 依頼主との関係:友人
● 制作時間:2ヶ月ほど
● 報酬:0円
● どのように報酬を決めたか:友人だからお金を取る発想がなく、こちらも技術力の向上になるし良いかなと思っていた。
 

③ 料金を考える際、疑問に感じたことや苦労したこと

②の友人からは今2曲目のMV制作を受けていますが、今回は2万円ほどお金をいただくことにしました。安いですが、報酬を支払っていただくことに意味があると思っています。友人も納得してくれています。
PCを使うクリエイターは、仕事の際に時間と技術を消費します。しかし、その2つは目に見えるものではありません。そのため、本来は依頼者がクリエイターにお願いしている関係のはずなのに、「友達だからタダでやってよ」「私たちの会社のものを作れたなんて自慢になるでしょ」なーんて言われちゃうことが度々ありました。私は動画制作主流のクリエイターではないので、依頼された仕事とは別に、自分がやりたい制作活動があります。時間だって貴重な資源だし、技術だって努力した上での自分の財産なのです。
そういった認識はクリエイター以外の人は持ちにくく、お互いを敵視してしまいます。クリエイターに限らずエンジニア業界でも同じことが起きているようです。100万円払ってほしいわけじゃないんです。ただ、相手のために作品を生み出すということが、ただ趣味でやってるわけじゃない、技術ある人は何の苦労もなく生み出せるものではないということをわかってほしいと思います。この問題は語りきれないほどまだまだあるし、とても難しいですが、ずっと向き合っていきたいです。

 

 

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神岡真拓 さん

東京工科大学 デザイン学部視覚デザイン専攻 4年
TwitterInstagram

 

① 報酬に納得した案件

● 無回答
 

② 報酬が見合っていなかったと感じる案件

● 制作内容:A4フライヤー
● 依頼主との関係:友人
● 制作時間:15〜20時間
● 報酬:1.5万円
● どのように報酬を決めたか:打ち合わせにて
 

③ 料金を考える際、疑問に感じたことや苦労したこと

制作を時間給で考えるのも、その説明をするのもなかなか難しいため、見積もりを出すときはその場ですぐ出すのではなく、一度時間をかけて検討したほうがいいと感じました。できればどんな規模でも、権利関係や契約内容、最終料金などの見積書や契約書は作成した方がいいと思います。

 

 

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ミニバブルのかたわれ さん

多摩美術大学 4年

 

① 報酬に納得した案件

● 制作内容:食品会社とコラボして制作した漫画
● 依頼主との関係:ネットの知り合い
● 制作時間:4ページ1本を10時間、それを3本
● 報酬:十分な額
● どのように報酬を決めたか:相談
 

② 報酬が見合っていなかったと感じる案件

● 制作内容:商業連載の漫画
● 依頼主との関係:ネットの知り合い
● 制作時間:月30時間以上
● 報酬:1ページ7000円
● どのように報酬を決めたか:相談
 

③ 料金を考える際、疑問に感じたことや苦労したこと

商業連載の方は、報酬金額への不満はなかったのですが、ラフ状態の原稿に台詞を全部手書きで描いてサイトにアップしろなどの要求があり、報酬外の仕事をさせられるのがいやでした。そういった宣伝活動の部分は本来編集側の仕事ではないのかと疑問に感じました。

 

 

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yyyy さん

T大学 ビジュアルデザイン専攻 大学院1年

 

① 報酬に納得した案件

● 制作内容:750mm四方の看板シリーズ×7枚
● 依頼主との関係:大学の教授
● 制作時間:約90時間
● 報酬:9万円(制作人数2人に対して)
● どのように報酬を決めたか:1デザインにつき約1.5万円という、大学の規定。この規定を始めに伝えられていたため、その報酬で納得いく範囲の作業を行った。
 

② 報酬が見合っていなかったと感じる案件

● 無回答
 

③ 料金を考える際、疑問に感じたことや苦労したこと

デザインの依頼を受けるようになったはじめの頃は、報酬が不明なまま引き受けてしまうことが多く、注文が多くて思い通りにデザインできない相手のときは、途中でやめたくなって苦しみました。報酬があれば、少しくらい思い通りにならなくても我慢できるし、その分時間を(食事を弁当で済ませる、バイトを減らすなどによって)創出して、難しい相手とのやりとりにも時間をしっかりかけられます。一方で、報酬をもらうとそこに責任が生じるとも思います。もらいすぎると、自分の実力への不安や、課題や自主制作と並行することの難しさで、苦しみます。
そういった経験から、できるだけ報酬については最初に決めておくようにしています。こちらから提示する必要があるときは、今のところ「1000円×作業にかかる予想時間+材料費」にしていますが、みなさんがどのように設定しているのか気になります。また、今は学生だから、予想していた時間内に収まらなかった分は自分の実力不足だと考え請求しないようにしていますが、これから職業としてデザインを使って食べていくなら、時間内に収められない・報酬を高められない状態ではいけないと感じました。

 

 

4. 依頼を受けるときに確認しておきたいポイント

ここまで学生のデザイン制作料金の実態について紹介してきましたが、それでは実際に依頼を受けるときにどうしたらいいのか、考えていきましょう。依頼を受けるときには、事前に”料金”と”納期”を依頼主と確認しておくことがとても大切です。そしてこの2つを決定するまでには、押さえておきたい確認ポイントがあります。ここでは料金と納期の決定までを5つのステップで紹介します。

  • ① 完成イメージの共有
  • ② 使用する素材 (写真・イラストなど) の確認
  • ③ 制作にかかる時間の予測
  • ④ 納期の確認
  • ⑤ 料金の設定

① 完成イメージの共有

まずはじめに、制作するイメージの共有をしっかりとしておくことが必要不可欠です。事前に制作内容について依頼主と打ち合わせをして、イメージ共有をする場を作りましょう。このとき、擬音語などの抽象的な表現や専門用語は避け、具体的なイメージを共有することが大事です。しばしば聞く依頼主の「任せます」という言葉は鵜呑みにせず、相手の中にあるイメージをヒアリングして引き出しましょう。ここでイメージの共有をしておくことで、その後の作業がスムーズに進みます。

② 使用する素材 (写真・イラストなど) の確認

制作で写真やイラストなどの素材を扱うことも多いかと思いますが、それらはこちらで撮影・制作するのか、依頼主が持っているデータを使用するのか確認しましょう。撮影やイラスト制作が加わると、制作時間は大きく伸びますし、プラスの労力がかかります。また、依頼主が持っているデータを使う場合も、そのデータの形式や解像度が十分にあるのか、事前に確認しておきましょう。

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③ 制作にかかる時間の予測

①・②を確認したら、制作にどれくらいの時間がかかるのかを考えましょう。このとき、自分の作業スピードをある程度把握しておくことが必要です。

④ 納期の確認

③の時間をふまえて、依頼主と話し合い納期を決めましょう。納期までには、制作作業時間だけでなく依頼主との打ち合わせやメール連絡などの時間も発生します。それらも含め、ラフ段階でのチェックはあるのか、提出後の修正は何営業日で返ってくるかなど、完成までに発生しそうな不安な点はしっかり話し合いましょう。
このときに、自分の中で納期までの制作スケジュールがざっくりとでもイメージできると良いです。修正や急な変更が入る可能性もありますので、余裕をもって無理のない設定をしましょう

⑤ 料金の設定

制作時間や制作にかかる労力をふまえて、料金を設定しましょう。料金は、依頼主にとっての制作物の価値評価にでもあります。依頼主ときちんと話し合って、双方に納得できる料金を決めることが重要です。あなた自身が「学生でまだ経験足りないから安い値段でもやってみよう」と考えるなら、それもひとつのやり方です。しかし、依頼主から不当に低い金額で要求された場合は、「断る」ことも間違いではないと思います。料金設定が難しいと感じる人は、制作にどれくらい時間がかかるのか、まずは時給換算をして考えると良いかもしれません。

 

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5. 最後に

デザインの料金に明確な正解、というものはありません。制作者と依頼主お互いが納得のいく料金・条件で制作ができるよう、話し合うことが大切です。その話し合いを円滑に進めるために、自身の作業スピードを理解しておくなど、制作者側としてできることを考えてみましょう。

 

(2018.6.26)
Ayako Yamada

著者紹介

山田彩子Ayako Yamada

筑波大学芸術専門学群 構成専攻 ビジュアルデザイン領域所属。 イラストを描いたり、雑誌を作ったりします。玉子焼きがあれば幸せです。
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