洗練されたデザインを探る!プロのデザイン配色研究

デザインをしているとき、何かまとまらない、しっくりこないといった経験はありませんか。初心者が陥りがちな失敗例として、色数を多く使っている場合があります。もちろんたくさんの色を使っていても成立しているデザインもありますが、色数を多く扱うことは、配色や構成などいろんなバランスも必要で、初心者には難易度が高くなるといえます。
そこで今回は少ない色数で構成されているプロの作品を研究します。プロのデザインから一緒にキーポイントを探ってみましょう!編集・執筆 / MAKO WATANABE , YOSHIKO INOUE

もくじ

1.カラーパレットサービスを使った色選び
2.プロの作品の配色を抽象化してみると……
3.まとめ 抽象化してみての気づき

1.カラーパレットサービスを使った色選び

デザインが同じでも、選ぶ色によって印象はとても変わりますよね。配色の悩みとして、いつも同じような配色になってしまう・つくったデザインがどこか垢抜けないなどが挙げられると思います。
今回はそんな「色使い」でお悩みの方とともにプロの配色方法を研究していきますが、始めに色の選び方の参考として、カラーパレットサービスをご紹介します。色相環で相性の良い色を自動で選んでくれたり人気の高い配色が知れたり、普段自分が使わない色との出会いがあるかもしれません。
作りたいグラフィックを想像しながら配色を考えていきましょう。

【色数を絞りながら配色を探せるカラーパレットサービス】
●HELLO COLOR 
●Pigment 
●Grabient 
●COOLORS 
●ColorHunt 

2.プロの作品の配色を抽象化してみると……

ここからは、色の配置方法から上手な配色法則を見つけるため、素敵なデザインのプロの作品を抽象化してみました。抽象化することによって画面を平面的に見ることができ、文字やロゴなども1つの図形になるので全体的な印象を把握しやすくなります。2~4色で構成されたプロのデザインを研究してみましょう!

[抽象化のポイント]
デザインの要となる部分は無理に形を変えず、印象を変えないよう抽象化することを意識していました。慣れると一枚30分~1時間程度で作ることができそうです。アートボード上で不透明度を下げながら作業したり、見本を隣に配置して見比べたりしながら作業をすると効率良く制作ができました。

●第22回亀倉雄策賞受賞記念展「菊地敦己 2020」


引用 https://www.jagda.or.jp/news/4657/

▼抽象化したもの

「菊地敦己 2020」のデザインは、2と0の色使いや中心の円など、図形の色味が対比構造になっていることがわかります。デザインは4色で構成されていますが、白と黒、赤と水色でグループ化をすることにより、図形の対比がより際立っています。


●JAGDA北海道ポスター展2021【JAGDA北海道ブロック】


引用 https://www.jagda.or.jp/news/5749/

▼抽象化したもの

JAGDA北海道ポスター展2021は、4色の色を使用されていますが、隙間の青色と文字の青色が同じ色であり、文字を乗算モードにすることによって、全体に色のつながりを持たせています。
配色がまとまりにくいときは、同じ色を使ってモード変換をしてみるのも良さそうです。


●色部義昭展「目印と矢印」


引用 https://www.ndc.co.jp/works/%e8%89%b2%e9%83%a8%e7%be%a9%e6%98%ad%e5%b1%95%e3%80%8c%e7%9b%ae%e5%8d%b0%e3%81%a8%e7%9f%a2%e5%8d%b0%e3%80%8d/

▼抽象化したもの


●多摩美術大学美術学部芸術学科展覧会設計ゼミ 航路の途上


引用 https://hasepro.tumblr.com/post/155985000659/%E8%88%AA%E8%B7%AF%E3%81%AE%E9%80%94%E4%B8%8A-on-the-route-%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC-designshinpei-hasegawa

▼抽象化したもの


●ふくしま、展【JAGDA福島】


引用 https://www.jagda.or.jp/news/2273/

▼抽象化したもの

この記事内で紹介しているデザインは、白やアイボリーなどの明度の高い色+明度の低い色の2色が使われているものが多いですよね。「ふくしま、展」のデザインでは白系の色は使われていませんが、黒と黄色で明暗差がある色が選択されています。少ない色数でデザインをする場合、特別な意図がない限り「コントラストを強める」という意識をもって制作をすると良さそうです。


●2019年度グッドデザイン賞受賞展


引用 https://www.ndc.co.jp/works/2019%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%82%b0%e3%83%83%e3%83%89%e3%83%87%e3%82%b6%e3%82%a4%e3%83%b3%e8%b3%9e%e5%8f%97%e8%b3%9e%e5%b1%95/

▼抽象化したもの

3.まとめ 抽象化してみての気づき

プロの作品を抽象化する画像作りは、制作者の作業の追体験をしているような感覚でした。作品を参考資料として見るだけではなく、実際に作業をすることによって配色や線の引き方など自分のアイデアの引き出しが増え、デザイン制作の練習になりそうだと感じました。
今回抽象化したデザインをみると、画面の四隅のどこかに図形や文字が隣接しているものが多く見られました。間延びしないデザインを目指すには、平面的に見たときに四隅の密度が大事になりそうです。配色や構成は、少しの気遣いでグッと作品のクオリティが高まるので、洗練されたデザインを目指して頑張りましょう!

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(2021.10.4)

著者

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渡邉真湖

2022年3月多摩美術大学絵画学科の油画を卒業・4月からデザイナーです。犬と漫画と辛いラーメンが好きです。

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