合言葉は「FAB」!ワンランク上の作品が作れる、ものづくりスペース:東京編

ものづくりキャプチャ

クリエイターの方であれば、課題や自主制作などで可能なかぎりクオリティの高いものをつくりたいと思いますよね。美術系の学生の方であれば、クオリティを上げるために学校の設備を使用することができます。しかし、学校に設備がなかったり、学校にない最先端の機材を利用したいと思ったりすることはないでしょうか。そのようなときに、制作のサポートをしてくれるのが「ものづくりスペース」です。今回は、そのような機器を使用してワンランク上の作品をつくりたいと考えている学生のみなさんに、「東京のものづくりスペース」をご紹介したいと思います。
編集・執筆 /KANAKO HONDA, AYUPY GOTO

●FAB・ものづくりスペースとは

ものづくりスペースとは、ものづくりをすることに適した作業空間のことを指します。また、最近ではそういったものづくり環境のことを「Fab(ファブ)」と呼んだりします。「Fab」とは、大量生産やマーケットの論理に制約されない「FABrication(ものづくり・製造工場)」や「FABulous(愉快な、素晴らしい)」の2つの意味が込められています。ものづくりスペースでは、パーツ・アクセサリー・建築模型まで、デジタル工作機械を使って、誰でもすぐにひらめきを形にすることができます。個人では所有できないレーザーカッターなど大きな加工機器や、3Dプリンターなどの機器を使用することができるため、よりクオリティの高い作品をつくることができるのです。機器を使用できる他にも、ものづくりに適した広い空間を開放していることも特徴です。ものづくりスペースには工房のような大きなものから、ものづくりを楽しみながらゆっくりとお茶ができるカフェ、クリエイティブなコワーキングスペース、企業とのコラボレーションイベントを開催したりと、クリエイターにとって嬉しい環境が揃っています。

●こんなときに使用したい!学生のものづくりスペース活用方法

<Situation 1:ひとりぐらしの学生の場合>
普段から自宅でも木材やアルミなどを使用して作品をつくりたいけれど、賃貸マンションに住んでいるため、ねじを入れるドリルの音やスプレーによる着色時の汚れが気になって制作できない。

→ものづくりスペースでは、ものづくりに特化した環境のため騒音や汚れや匂いなどを気にせずに制作できます。また、自宅と比べ広い制作スペースがあるため作業しやすくなっています。

<Situation 2:自由に機器を利用したい学生の場合>
木材を切って組み立てた作品がつくりたい。木材をカットするために学校の工房を使用したいが、許可が必要なため、自由に機械を使うことができなかった。また、木材にイラストレーターで制作したロゴを彫りたいが、専攻ではないためレーザーカッターの使い方がわからず手をつけられない。

→ものづくりスペースの中には、その場所にある機械であれば自由に好きなだけ使用することができるところもあります。また、専門のスタッフの方がサポートしてくれるため、使用方法はもちろんのこと安全性にも優れています。

<Situation 3:気軽にものづくりをしたい学生の場合>
勉強や課題にしばられず、もっと気軽にものづくりを楽しみたい。好きなものをつくりたい。

→ものづくりスペースには、勉強のような硬いイメージはありません。ものづくりが好きな人のためにつくられた自由な空間です。また、ものづくりスペースを利用する人は、美術に関わっている人だけではありません。そのため、様々な人が集まることで新しい発想や刺激にもなります。

<Situation 4:多くの人と交流したい学生の場合>
美術系の学校に通っているが、他校の学生やクリエイターと知り合うきっかけがない。ものをつくっている人ともっとたくさん話がしたい。

→ものづくりスペースは、ものづくりをする人々の交流の場でもあります。多くの機器があるため、自分と全く異なったジャンルの作品が同じ空間で制作されています。そのため気になった作品をつくっている人に話を聞くこともできます。

<Situation 5:機材の扱いが苦手、でも良いものが作りたい場合>
不器用で機材の知識もないけど、レーザーカッターや3Dプリンターを利用して良いものがつくりたい!

→ものづくりスペースには、専門スタッフさんが必ずいらっしゃるため、相談すれば機材の使い方や作品の作り方を丁寧に教えてくれます。なので、初心者の方も気軽に挑戦することができるのです。



このように、ものづくりスペースは、ものづくりに対する学生の様々な悩みを解決してくれる場所でもあります。また、クオリティの高い作品が制作できるとともに、クリエイターとして成長できる環境でもあるため、学生におすすめです。

●学生におすすめのものづくりスペース

「ものづくりスペース」とは、実際どのようなものがあるのでしょうか。学生にもおすすめのスペースをご紹介していきたいと思います。

1.幅広い分野から100種類を超える機器がそろう!

Makers Base

URL:http://makers-base.com/
ものづくり挿絵_1
<使用できる機器・加工例>
・大型プリンター(UV、メタル、ラテックスなど)
・レーザーカッター
・デジタル刺繍
・カッティングプロッター
・生地インクジェットプリンター
・陶芸
・シルクスクリーン
・3Dプリンタ積層型
・3Dプリンタ切削型
・木工機器
・鉄工機器
・彫金 など
<料金>
【例】入会費¥1,080+日額(学生プラン) ¥2,700
※詳しくは上記のHPをご覧ください。

圧倒的な機器の数と800㎡を超える広さが特徴です。より専門的でありながらワークショップやイベントなどを開催しているため、学生や未経験者にも参加しやすくなっています。会員制で少し料金は高めですが、学割プランや日額の他に、月額や年額などがあり使い放題なので、多くの機器を頻繁に利用したい人にも適したものづくりスペースです。

2.デジタルものづくりカフェ

Feb cafe

URL:http://fabcafe.com/tokyo/
ものづくり挿絵_2
<使用できる機器・加工例>
・レーザーカッター
・フード用レーザーカッター
・3Dプリンター
・3Dスキャナー
・カッティングマシン
・ミシン
・VAIO Z Canvas
<料金>
【例】レーザーカッター ¥800/10分
体験するキット・時間により変動します。
※詳しくは上記のHPをご覧ください。

カフェ複合型のものづくりスペースです。機器の使用だけでなく、多くの種類のキットが提示してあるため、自分で一から制作する以外にも、最新機器を用いて楽しくものづくり体験をしたい方に適しています。食事にも力を入れており、パーティーや貸切イベントを開くことも可能です。

3.簡単にオリジナル商品をつくれる!

&Fab

URL:http://andfab.jp/
ものづくり挿絵_3
<使用できる機器・加工例>
・レーザーカッター
・UVプリンター
・テープクリエイター
<料金>
【例】レーザーカッター(A4サイズ1枚) ¥1,500
※詳しくは上記のHPをご覧ください。

Loftや無印良品で購入した商品に文字を入れたり絵を入れたりと簡単な加工することで、オリジナルのものをつくることができます。手軽にものづくりに触れることができます。美術系の学生だけでなく、日常の中でものづくりを経験してみたいと考えている方におすすめです。

4.無料で電子工作ができるスペース

はんだづけカフェ

URL:http://handazukecafe.com/
ものづくり挿絵_4
・はんだごて
・工具等
<料金>
無料

電子工作のために道具を貸し出しているスペースです。カフェと名が付いていますがお茶などは出ず、ちょっと作業をするスペースといった形で気軽に使用することができます。美術系の学生にとって電子回路はあまり身近ではないかもしれませんが、新たな表現方法として利用してみるのもいいかもしれません。

5.最新の機器がそろう!ものづくりの学校

世田谷ものづくり学校

URL:http://setagaya-school.net/
ものづくり挿絵_5png
<使用できる機器・加工例>
・3Dプリンター
・レーザーカッター
・スキャナー
<料金>
【例】3Dプリンタ一般 ¥1,000/時間
※詳しくは上記のHPをご覧ください。

コンサルタントによる技術サポートに加え、個人でも試作・開発・研究のための機器が使用できるのが特徴です。ものづくりをテーマにしたワークショップやセミナーなどを積極的に行っており、交流の場として一般にも開放しています。実際に機器を使用できるスペースの他、ギャラリーやカフェなどを見ることができるため、つくるだけではなく同時に作品をみたいという人には適したものづくりスペースです。

●最後に

最近では、木材加工や金属加工などがデジタル機器によって手軽にできるようになっため、知識の少ない学生でも、クオリティの高いものを簡単に制作できるようになりました。このようなものづくりスペースで多くのクリエイターと交流しながら制作することは、作品自体の精密さだけではなく、作品に対する考え方などを学ぶ機会にもなります。ものづくりスペースを利用して、ワンランク上の作品を制作したいですね。

(2016.2.20)

著者

本田佳奈子

東京造形大学所属。グラフィックデザインを勉強しています。ひとりで映画を観ることが好きです。さいきんは海外ドラマにもハマっています。

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