苦手意識持ってない? デッサンがちょっと楽しくなるアイデアと工夫

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皆さんはデッサンがお好きですか? もしかしたら「はい!」と即答できる方は少ないかもしれませんね。
「デッサンは基礎だから必ずしなくてはならないもの」「絵を描くのは好きだけどデッサンは嫌い」「やったことあるけど自信がない」「現在進行形で学んでいるけど、正直辛い」……デッサンについて人に尋ねると、苦手意識を持っている方が多いように思います。今回の記事では、そんなデッサンへの苦手意識の壁にぶつかった時に使えるアイデアをご紹介したいと思います。編集・執筆 / NISHIDA, AYUPY GOTO

〇少し気楽に考えてみよう

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筆者は、デッサンを学び始めて今年で12年目です。改めて自分で数えてみてびっくりしました。人生の半分以上デッサンをやっていることになるなんて……。
そんな筆者は、デッサンが楽しくて仕方ない時期と辛くて仕方ない時期の両方を味わいました。しかし、あんなにデッサンが嫌になった時期もあったのに、今はとてもデッサンが楽しいと感じています。
 
もし現在、デッサンを苦手に感じる壁にぶつかって困っている方がいたら「そこで諦めて手放してしまっては勿体無い!」と伝えたいです。苦しくて辛くて、もう描くことすらやめてしまいたいと思ったとしても、そこを越えた時、きっと楽しくなるはずです。ですから、デッサンすることを諦めてしまう前に、そこを乗り越えるのに役立つ取り組み方と工夫をお伝えできたらと思います。

自分を追い詰めない為のデッサン基礎思考

 
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【デッサン】とは……
単色の線や筆触によって物の形・明暗などを描いたもの。素描。

(広辞苑第五版より引用)

 
とあるように、デッサンとは物体を明暗でとらえて平面上に表す方法の事を指します。どのように使うかによって「デッサン」の言葉の意味するポイントは変わってきますが、どんな場合でもデッサンをする意義というのは

・「物の形を捉える目を養うこと」
・「見たものを説明できるようにすること」

の訓練にあると思います。
 
デッサンの最終目標は、見た目の「巧い絵を描くこと」ではないのです。
対象物を観察し「明暗で表現する」というルールにそって紙の上に再現しようとすること。対象物の構造や、光の効果を「視る」ことから瞬時に読みとれるようになること。
その目で読みとったものを「こういう物体なんですよ」と、その実物を見ていない人にもわかるルールで説明すること。
つまり

【観察→分解→再構築】

これがデッサンの根底にある思考です。
それが自在に出来るようになった時、その「基礎力(=デッサン力)」はものづくりをする際に、あらゆるところで力を発揮します。
 
デッサンを学び始めたての時に、「デッサンがうまい・へた」を見分ける場合、単純に手先が器用かどうか(=画材がうまく扱えるか)やセンスや才能があるかどうか、ということと結びつけがちです。
しかし本質的には、それらはあまり関係がありません。
デッサンとは「世界の見方のひとつの方法を得ること」であり、その過程であり、そこに必要なのは「ルールへの理解や思考法の習得」なのです。

・デッサンとは「巧い絵を描くこと」ではない。
・デッサンが出来ないことに「センスや才能」は関係がない。
・デッサンとは「世界の見方のひとつの方法を得ること」

ですから、たとえうまくいかない時があっても「自分はなんて駄目なんだ、自分には才能が無いんだ」という風に悩むことは、意欲を失くすだけで解決に繋がらず、意味がありません!(この思考に筆者はずいぶん悩まされました。)
大抵のデッサンがうまくいかない原因は知識不足や理解不足、経験不足によるものです。
皆さんは是非、自分がデッサンから得たいことの目標をしっかり持ち、対象を見る目を養い、悲観せず、自分を責めずにやっていって下さいね。
 
 
▼では、ここからは先はもう少し具体的に、デッサンが少しでも楽しくなる方法をお伝えします!

デッサンを楽しくする工夫

1.ルールを一端忘れてみる
2.モチーフ選びを変えてみる
3.自分でモチーフを組んでみる
4.【描くことが楽しい→もっと描きたい→上達】の連鎖に自分を戻す
5.デッサンのその先にあるもの

1.ルールを一端忘れてみる

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世の中にはデッサン上達の為の技法書や参考書が溢れています。書店の技法書コーナーに行けば、軽い読み物から本格的なもの、趣味の本から美大受験対策まで、さまざまなデッサンの参考書が存在します。
そしてデッサンのいろは、デッサンするにはかくあるべき!といったようなことが沢山書かれています。
中には正反対のことを書いている書物もあるでしょう。そういった本を買って勉強しようとしても、何を信じればいいのかわからなくなり、かえって混乱してしまいます。
なぜそれが必要か・駄目か、ということを理解せずに、頭の中に「○○してはいけない」と、デッサンにおけるタブーばかりをピックアップしたような知識を詰め込んでしまうと、始める前からすっかり描くことへの自信が無くなり、画面に向かってもなにも描けない……といった状態に陥ってしまいます。

そんな時は、いったん全て忘れてしまいましょう!
参考書は実際に問題にぶつかってから「そういえば、あれ、どういうことだろう」と開いてみて納得すればいいのです。
描く前に頭に知識ばかり詰め込んでそれだけでお腹いっぱい、という状態にならない為にも、必要に感じたなら参考書は適当に1冊買って置いておくくらいが良いのではないでしょうか。
「あれはどういうことだろう」と気づき、開く回数が増えれば、それは自分が着実に成長していっているということです。納得する・理解する・理解したからその方法を使う。デッサンに必要なのは表面的な技法の習得ではなく、そうした思考の成長です。

2.モチーフ選びを変えてみる

○モチーフを探しにショッピング

デッサンモチーフでよく登場する「りんご」「立方体」「自分の手」……ばかりを相手に描いていても、気が滅入るばかりでなかなか楽しくなりません。
ですが、デッサンに「絶対にリンゴを描かなければならない」というルールはありません。教室で、課題で、多く出されるモチーフはそれが入手しやすく、扱いやすく、すぐには痛まず、値段的に手頃な素材だからではないでしょうか。
ですから、自分一人でデッサンするなら、そんな都合を考える必要もありません。自分のモチベーションを上げるために、たまには自分から「描きたいもの」を探しにいってみるのはどうですか?
 

花屋さんに行く

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普段花を買う習慣がなくとも、モチーフの為に花屋さんに出かけてみると、知らなかった形や色・名前の花に出会えてわくわくしてきます。描いてみたい1本がみつかるかも?
枯れてしまった後の花も、絵になるのがいいところですね。

【blue water flowers】
【花屋】blue water flowers▲こちらの花屋さんは、店内がとっても素敵です。
・住所:東京都杉並区西荻北3-16-2
・電話番号:03-5372-4466
・営業時間:10:30~19:00
・定休日:木曜日
・公式WEBサイト: http://bwf.jp/

アンティークショップに行く

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鳥のはく製、昆虫標本、鹿の頭、動物の骨、分厚い洋書……ファンタジーの世界に迷い込んだような特別なモチーフたちは決して安くはないですが、そんな世界観が好きならきっとわくわくするモチーフが見つかります。

【LECURIO】
・住所:東京都杉並区高円寺北2-35-14
・営業時間:14:00〜20:00
・営業日:木金土日
・WEBサイト: http://www.lecurio.jp/

雑貨屋さんで探す

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▲ 画像は筆者の私物モチーフコレクションの一部です。
ここ5年ほどは、デッサン用のモチーフを探し集めるのが趣味のようになっています。
観光地のヘンテコな置き物や海外旅行のお土産品は、大変良いモチーフになりますのでオススメです。薬瓶やキツネのお面、孔雀の羽根のアクセサリー、パーティーアイテムや理科実験用の模型なども描いてみると面白いです。

 

3.自分でモチーフを組んでみる

自分の部屋でデッサンする時には、敷く布や花瓶にもこだわってみてはいかがでしょう。

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お気に入りのスカーフや、もう使わなくなったシーツを背景にしたり机上にひいたり……

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頂き物についていたリボンを巻いてみるのも、雰囲気が変わって面白いです。

4.【描くことが楽しい→もっと描きたい→上達】の連鎖に自分を戻す

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好きなものをモチーフに選び、デッサンするということは、その物体を隅から隅まで舐めるように見つめていくということです。些細なしわ、傷、ツヤなども、丹念に追うことになるでしょう。
しかし、リンゴだったらあんなにもつまらなかったデッサンが、自分の好きなものにした途端、楽しくなってはきませんか?
描くということは、その対象とじっくり向き合って沢山の情報を自分の中にとりこむような作業です。
好きなものを通して、その熱いまなざしで観察することの楽しさを思い出したら、それを他のものにもどんどん使っていきましょう。お気に入りが出来たら飾ってみましょう。
描きたいもの、観察してみたいもの、つぎつぎと現れてきませんか?
 
漠然と「うまくなりたいから勉強する」と思って描くよりも、
好きなことに夢中になっていたらいつの間にか手が慣れて、うまくなっていたというほうが、きっとラクですよね。上達するのに「苦しまなければならない」「苦しんだ方が偉い」なんてことは無いとおもいます。どんどんラクして、思い切り楽しんで、いつのまにか上達してしまいましょう!

5.デッサンのその先にあるもの

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さて、冒頭で「巧いデッサンを描くこと」は目標ではないとお伝えしました。デッサンは自分がつくりたいものを表現するために使える一つの技術です。デッサン自体はあくまでデッサンにすぎず、【作品】にはなりません。けれど、デッサン力は立体作品を作る時でも、絵画やイラストを描く時でも、自分が表現したいことを説得力を持って人に伝える力になります。
今後みなさんがどのような形でクリエイティブに関わることになるとしても、きっと力になってくれます。どうかそのことを忘れないでいてください。

おわりに

デッサンについて悩んだ時、こうしなければ! というルールから少し離れて、学ぶのが少し楽になる視点、モチーフ選び・考え方・取り組み方などを提案してきましたが、少しでも皆さんのお役にたてば幸いです。世の中のあらゆるものとじっくり向き合って対話する……デッサンは本来とても楽しいものです。是非楽しんで書いてください!

(2017.7.19)
nishida

著者紹介

西田歩未nishida

武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻日本画コース在学。読書と標本・剥製集めが趣味です。
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