使って持って気持ちを高める。化粧品パッケージのデザイン

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「化粧(メイク)をする」という行為は、多くの人の生活に密接に関わってきます。
化粧はやり方1つで人に与える印象を大きく変えることができ、最近では性別を超え、女性だけでなく男性でも利用する人が増えてきました。多くの人に愛され親しまれる化粧品、使う際には質や効能が重要ではありますが、今回は化粧品の“パッケージデザイン”に注目したいと思います。

編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO

●歴史のある化粧品のパッケージ

近年、化粧品は幅広い種類で展開され、誰でも手に取り購入することができるようになりました。
化粧をすることについての誕生を遡ると時代は古代まで遡りますが、今回はその外装であるパッケージにスポットライトを当てます。
100年近く続く日本のロングセラー化粧品をピックアップしてみたいと思います。

変わらない信念と商品愛

・資生堂 オイデルミン

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https://kinarino.jp
http://www.peachplz.com

現在様々なブランド展開をしている資生堂が、1897年に初めて化粧品業界へ進出した際の商品です。
拭き取り式の化粧水で、“資生堂の赤い水”という名称で愛されてきました。現在もなお販売されており、歴史はなんと140年以上。
ボトルは少しずつ変化してきています。1997年に一新しましたが、従来のアンティーク調のラベルに香水瓶のようなレトロタイプも販売されています。

・資生堂 ドルックス

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https://www.shiseidogroup.jp

1932年に当時最高級化粧品ブランドとして発売されました。
「フランスへの贈り物にしても恥ずかしくありません。」というコピーから、デザインにも相当な自信をもって発売していたことが伺えます。
戦争が始まると、贅沢な品として販売は中止されましたが、終戦後に再販されました。デザインも発売当初と大きく変わっておらず、現在も資生堂らしい洗練されたデザインによるレトロ化粧品として、人気を博しています。

・ロゼット 洗顔パスタ

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http://cosmestore.net

1929年に誕生した、日本初のクリーム状洗顔。発売当初はレオン洗顔クリームという名前でした。
発売当初よりパッケージはの雰囲気はほぼ変わることなく、現在まで販売されています。全体的にシンプルですがレトロ感漂うタイポグラフィやロゴマークが当時の良さをそのまま現代にも伝えてくれています。

歴史がありパッケージもさほど変わらずに今もなお多くの人に愛されている製品というのは、製品そのものの化粧品としての良さがあることは大前提ですが、それに加え、若い層に支持を得ているのはパッケージも大きく関与していると考えます。

●化粧品パッケージの魅力と効果

昔に比べ、種類も技術も大きく進歩した化粧品業界。先程は古くから愛され歴史ある化粧品パッケージをご紹介しましたが、現在の化粧品は一体どのような発展を遂げているのでしょうか。

コンセプトによる独創性と戦略

1つの化粧品ブランドにストーリーやコンセプトがあり、その方向性に沿ってデザイン展開がされているブランドがほとんどです。例えばテーマカラーが決まっていて、全ての商品パッケージが同じ色だったり、共通モチーフがあったり、商品背景であるコンセプトがはっきりとプロダクトに現れているブランドは、ブランドとしてのインパクト、そして独創性に長けていることが多いと感じます。

★限定品で更なる展開を!

期間限定商品を出すことを、多くの化粧品ブランドが行っています。
その時にしか買えない特別感と普段と違うデザイン展開で、購買意欲を促進されます。
また、コフレ(フランス語で小箱、手箱の意)とよばれるファンデーション、口紅、チーク等の化粧品数点が、セットでポーチやボックスがコフレ限定デザインで販売されるものも人気があり、市場を賑わせます。クリスマスシーズンが最大手です。海外ではホリデーコレクションなどと呼ばれています。

●デザイン性が高い化粧品

では、上記にあったようにコンセプトやブランドとしての独創性が良く現れており、デザインにすぐれている商品をピックアップしてご紹介したいと思います。

強いコンセプトと独創的な世界観

・Les Merveilleuses LADURÉE – レ・メルヴェイユーズ ラデュレ –

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http://www.lm-laduree.com

“圧倒的に五感を刺激し、女性を本能的に魅了するものでなければ真に美しいとは言えない”
この言葉はラデュレ創業以来のフィロソフィーです。元は1862年にパティスリーとしてパリに誕生したラデュレですが、そこから派生してコスメラインが誕生しました。
パリの華やかな古き良き時代を彷彿とさせるようなアンティーク調でかわいらしいプロダクト。化粧品としては確立したデザインに五感を刺激され、本能的に魅了される女性は多いのではないでしょうか。

・Paul & JOE – ポール&ジョー –

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http://www.paul-joe-beaute.com/jp/

レトロモダンをベースとした、手に取ることが心から楽しくなるようなパッケージ。クリザンテームの花がシンボルモチーフになっています。
シーズンごとにコレクションが出されていますが、ポール&ジョーの目指す女性像“わがままでチャーミングな女性”に見合ったような、高級感がありつつ、かわいらしさをもったコスメラインが魅力的です。

・MOR – モア –

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http://www.gpp-shop.com

バス&ボディーケア商品を多く取り揃えるブランド。モアの中でもコレクションとして5つ程展開されていますが、それぞれが洗練されたデザインです。こだわり抜いた処方と詳細まで美しいパッケージを通して、いつもの習慣が日々の美しい癒しになるようにと願いがこめられています。

・ANNA SUI – アナ スイ –

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https://instagrammernews.com

コンセプトは“COSMETICS with THE MAGIC WORDS”
「まるでファッションやアクセサリーを付け替えるように、メイクもそのときの気分に合わせて楽しもう」という考えをもとに作り出されたアイテムは、その言葉通り、化粧品にも関わらずファッショナブルです。プロダクトの中には、指輪状のリップグロスやキーホルダーになっているアイシャドウなど、化粧をするためにとどまらない、その先をも見据えた展開に魔法のようなわくわくとときめきが詰まっています。
黒と紫の配色が印象的であったアナスイですが、今期イメージを一新したコレクションを発表しました。しかし根源にあるコンセプトは変えず、アナスイらしさは健全です。

・ジルスチュアート

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http://www.eshop.jillstuart-beauty.com
コンセプトは“INNOC。“ET SEXY”

少女だけがもつ透明感、大人の女性に漂うセクシーさ。
女の子に同居するイノセントとセクシーを絶妙に引き出し、最高の「かわいい」をかなえます。
すべては女の子の“かわいい”のために。
(HPより引用)http://www.jillstuart-beauty.com/ja-jp/about/?_ga=1.170764256.1948014676.1477446453

女の子らしさとかわいいを具現化したようなプロダクト。宝石のようなフォルムとピンクの組み合わせは、多くのファンから支持されています。

・LIME CRIME – ライムクライム –

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http://www.theblackpearlblog.com / http://www.mademoiselle-lala.com

メークアップアーティストのDoe Deereによる ニューヨークのコスメブランド。 Doe Deereは自らを「ユニコーンクイーン」と呼んでおり、 ユニコーンがブランドロゴにもなっています。見たままの鮮やかな発色をしてくれるアイテムとして人気が高く、個性的なパッケージに沢山の支持を得ています。海外らしい奇抜な色とポップなパッケージが魅力です。また、非動物系の成分で作られている事も人気の一つ。

・tarte – タルト –

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https://tartecosmetics.com

アメリカ発の自然派化粧品です。ナチュラルな素材とその洗練されたデザインが人気。コレクションにそれぞれテーマがあり、それによってデザインも大きく変わってきますが、どのコレクションも洗練された中にナチュラルな雰囲気をもったデザインが魅力的です。

・アンドレア・ガーランド

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http://andreagarland.ru

ロンドンのアロマテラピスト、アンドレア・ガーランドの手作りであるアロマ・ナチュラルケアアイテム。
オーガニックな化粧品と、レトロなパッケージが最大の売り。レトロな缶の中に入ったリップバームは使い終わったあとでもとっておきたい可愛さです。柄や形も種類がたくさんあります。

・カネボウ ミラノコレクション

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http://www.kanebo-cosmetics.jp/milano-collection/bodypowder/

カネボウ化粧品が毎年ひとつ発表するミラノコレクション。芸術の都であるミラノからインスピレーション得て、天使や女神をモチーフとしたデザインを1991年より発表してきました。品質の素晴らしさはもちろん、こだわりぬいた美しいパッケージが人気です。一年に一度というプレミアム感とコレクションしたくなるようなパッケージが魅力です。

有名ブランドの圧巻のコスメライン

・Yves Saint Laurent Beauté – イヴ・サンローラン・ボーテ –

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https://womagazine.jp

有名ファッションブランド、イヴ・サンローランより化粧品ブランドとして誕生したイヴ・サンローラン・ボーテ。今や世界的有名ブランドです。プロダクトそのものは突飛なことをしているわけでも一際珍しいデザインという訳でもありませんが、この存在感と一目でイヴ・サンローランのリップだ!とわかるデザインは洗練された美しさと強さを放っています。

・Christian Louboutin Beauté – クリスチャン・ルブタン・ボーテ –

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http://girly.today

ルブタンの赤いソールのハイヒールを連想したフォルム。王冠のようなリップのキャップはネックレスにもできるようになっており、化粧品でもファッションに取り入れることができます。強さと高級感と女性らしさを兼ね備えた、美しいデザインです。日本でも今年から販売が開始されました。

・Elégance CRUISE – エレガンス クルーズ –

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http://www.elegance-cosmetics.com/cruise/stylebook/nature.html
エレガンスから“旅”をテーマに誕生したブランド、エレガンス クルーズ。パッケージには貝や石を連想させるようなデザインがほどこされており、上品なたたずまいが魅力です。どことなく太陽や海を感じます。

商品そのものの美しさ×パッケージ

・LUSH – ラッシュ –
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http://gathery.recruit-lifestyle.co.jp

自然派化粧品のLUSH。身体にも自然にも優しい製品ですが、その見た目のインパクトが記憶に新しい方も多いはず。商品それぞれにテーマや物語性を持っており、気分やシーンに合わせて好きなものをチョイスできます。見た目のかわいさ故に、使わず飾っておく人もいるようです。商品そのものの個性にあわせ、パッケージは白黒統一でシンプルなものに。どんなものにも合うデザインで、全体のバランスを保っています。LUSHはラッピングボックスもこれまた楽しいデザインで種類も豊富なので、飽きのこないプロダクトです。

・Soaptopia – ソープトピア –

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http://www.deltasky.jp

2001年に創始者である、ジョリーのカリフォルニア、ベニスにあるビーチバンガローのキッチンで誕生。
ナチュラルでピースフル、そしてフレッシュでヘルシーなプロダクト。カラフルな石けんが包装紙に包まれているだけのシンプルなものですが、商品自体の美しさを生かしていると感じます。包装紙に貼られたシールのデザインはそれぞれ違いますね。

様々な化粧品をご紹介しましたが、コンセプトの強さ、デザイン性、ストーリー性、ブランド力……それぞれに強みがあったかと思います。みんな違ってみんな良いとはまさにこのことではないでしょうか。もちろん好みによって見え方が変わってくるかと思いますが、ブランドとして展開するにあたって、創業者が目指すこと、そしてその軸がぶれていないからこそ、素晴らしいものが生まれ続けていると感じました。

●さいごに

今回は化粧品のパッケージについて考えてみました。今回は筆者(女性)目線でご紹介させて頂きましたが、近年は男性用の化粧品が増えてきていたりと、他にも沢山尖りのある化粧品プロダクトは存在します。興味があれば是非、国内外の商品をリサーチしてみて下さい。

(2016.10.26)
Yamada Miyu

著者紹介

山田実優Yamada Miyu

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。
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