特殊印刷ってなに?加工を駆使して作品の魅力をパワーアップさせよう!

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印刷技術。それは皆さんの生活と密接に関わっている技術です。
特にデザインを学んでいる学生にとっては、レポート等をコピーする一般的な使い方はもちろん、紙媒体の作品制作やポートフォリオ作成時など、制作をする上で印刷を利用する機会が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そういった普通の印刷とはひと味違った、特殊な印刷技術「特殊印刷」についてご紹介したいと思います。
編集・執筆 /YAMADA, AYUPY GOTO

●そもそも印刷とは?

そもそも印刷とは一体どういった仕組みになっているのでしょうか。
特殊印刷方法への理解度を高めるための基礎知識として、簡単にまとめました。

プリンターと印刷機では、仕組みや使用インクが全く違う!

プリンターと印刷機の違い……あまり意識したことがない人が多いのではないでしょうか。
まず、家庭用として普及しているのはプリンターですが、プリンターはパソコンからデータを送信し印刷をするものです。
一方印刷機は様々で、最近はデジタル印刷機が主流ですが、図の元となる「版」が必要になります。これは昔の印刷と変わらない部分です。

印刷機で行われる印刷種類は4種類!

凸版印刷
凹凸をつけた版の凸部分にインクを乗せ、紙に転写する方法です。
一番歴史が古く、印刷技術の源です。

凹版印刷
凸版とは逆に、凹の部分にインクを乗せ印刷する方法です。
グラビア印刷(高精度な写真や美術書などを印刷するときの印刷法)が代表的です。

平版印刷
版には凹凸はつけず、水と油が反発する性質を生かして印刷したい部分に油性のインキを乗せ、それ以外の部分に水が付けられることで印刷を可能にしています。
オフセット印刷にはこの方法が使われています。しかしCMYKの4色で編成されるので特殊印刷が出来ません。

孔版印刷
上記3種とは少し異なり、この方法は版自体に穴を開け、上からインクを乗せることで印刷をします。イメージ的にはステンシルに近く、シルクスクリーン印刷などが代表的です。
デジタル孔版印刷も存在しますが一般商業印刷での使用頻度は低め。

プリンターの場合

インクジェットプリンター
家庭用プリンターは多くがインクジェット式になります。
プリンター内に設置したインクに圧力や熱を加え、液滴状にしたものを直接紙に噴き付けることで印刷を行います。インクカラー数はプリンターによって様々ですが、4~6色で構成されています。

レーザープリンター
こちらは液体のインクではなく、トナーと呼ばれる帯電性の粉末インクを使用します。
各色にセットで筒の形をした感光体があり、そこに静電気、レーザーを当てトナーを起こし、熱で紙に転写する方法です。

このように、一概に印刷といっても手法もインクも様々なものがあり、それぞれに適応した印刷物に特化していることがわかります。

●特殊印刷の種類と方法

では、今回の題材である「特殊印刷」の種類についてみてみようと思います。

見かける頻度が高いかも!王道特殊印刷!

箔押し

金や銀などのCMYKでは表現できない色、きらきらとした箔の表現が出来ます。
ワンポイント入れるだけで華やかでワンランク上の表現が可能です。
金銀だけでなく、ホログラムやカラーメタルなどもあり種類は豊富です。

クリアトナー(UV印刷)

透明のインクを乗せることでツヤッとした表現が可能です。乗せる量を増やすことでぷっくりとした立体感を出す事もできます。キラキラとしたラメが入ったものもあり、使い方次第で印象が大きく変わります。

ホワイトトナー

CMYK+白色の表現が可能。例えば本来なら、黒い紙にそのまま印刷してしまうとなにも見えないものになってしまいますが、ホワイトトナーを一度印刷してからその上に通常の印刷をかけると白地の上に印刷がされていることと同じなのでしっかりと発色します。
下地の紙の色や種類に関係なく、印刷部分を白色で表現したいときに使うと良いでしょう。

蛍光インク

蛍光ピンクやグリーンなどの普通の印刷では表現出来ない色も特殊インクを使用すれば可能に。暗闇で光る蓄光インクもあります。

エンボス・デボス加工

紙面を凹凸させ、ぼこぼことした手触りに加工できるものです。
エンボスは表面を浮き上がらせ、デボスはへこませる加工のことを指します。

ユニーク!ちょっと変わった加工たち

発砲インク


引用:https://www.print-on.jp/doujin/doujin_index.htm
加熱することで盛り上がる発砲するインクを使用し、もこもことした触り心地の表現が可能です。
印刷部分が発砲し膨張するため細かい表現には不向きですがとてもユニークです。

フロッキー印刷

発砲インクと同種のものですが触り心地が違います。細かい繊維を貼り付ける印刷。さわると柔らかい芝生のようなイメージで視覚でも手触りでも楽しめます。

サーマルインク

このインクを使用した部分を触ると手の体温によって黒色の印刷部分が透明に…!
大変遊び心のある印刷です。

アクアフィック印刷

水に濡らすと、文字や絵が浮き出てくる印刷技術。使い方次第で夢が広がります。

●オススメ印刷所

ではこれらの加工印刷が高クオリティでできるオススメ印刷所をいくつかご紹介します。

レトロ印刷
http://jam-p.com
孔版印刷を使用した独特な風合いが特徴です。ランダムの色ムラやカスレで、版画のようなイメージに仕上がります。インクは水性のものを使用。
特色である蛍光カラーをメインにもってくる色合わせもでき、個性的な表現が出来ます。

河内屋印刷
http://www.kawachiya-print.co.jp
割高になってしまいますが1部から作成可能。活版印刷も積極的に使用しています。

Lithmatic
http://www.lithmatic.net
様々な加工ができ、24時間対応、実店舗も多数あるため相談が可能です。

ハグルマ オンライン
http://www.haguruma.co.jp/store/index.asp
封筒からポストカード、箱まで、さまざまなアイテムに加工ができます。1枚から作成可能です。

以上に挙げたように、割と身近にある加工や珍しい加工まで、様々な特殊印刷方法があります。しかしこれらは業者の方に頼んではじめて出来るものが多いです。
業者に頼むと高品質なものはつくれますが、小ロットで出来るところが少なく、できたとしても高額になってしまうことがほとんどです。
自分の力でも加工ができればいいのに……、方法は無いのでしょうか。

●あるんです!自宅で出来るセルフ特殊加工!

もちろん上記にあげたものすべてが出来る訳ではありません。自分で作る!となると限られてしまいますが、それでもより良い表現が、しかもセルフで手頃にできるのなら、積極的に取り入れていきたいですよね。ではどのような加工ができるのか。見てみましょう。

箔押し加工はセルフでできる!

なんとあの箔押し加工、セルフで、しかも自宅で作れるんです……!
そのスーパーアイテム、
スタンピングリーフ
この商品は、印刷した紙の上にシート形状になっているスタンピングリーフを重ね、アイロンの熱で印刷物のトナーに転写するといったものです。
しかし、トナーインクにしか反応しないためレーザープリンターで出力する必要があります。インクジェットでは使用できません。
また、熱が均等に伝わらなかったり、当てすぎたりしてしまうとよれたりうまく箔が転写されなかったりするので慣れが必要ではあります。
カラーバリエーションも豊富で、様々なシーンに活躍します。
これは実際にマーブルを使用して制作したものです。
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エンボス・デボス加工もセルフでできる!

こちらはかなりアナログな方法になってしまいますが、
1.厚紙に印刷し、出力したものを切り抜く
2.浮き立たせたい紙の上からガラス棒などで縁をなぞる

といった方法です。
クオリティ維持の難しさやあまりに細かいデザインは出来なかったり、手間暇がかかる面はデメリットですが、自宅かつ低価格でこの加工をするにはベストな方法かと思います。

また、印刷、というところからは離れてしまいますが、スタンプを利用した
エンボスパウダー
というものもあります。▶エンボスパウダー使用方法

最後に

普通の印刷に一手間加えるだけで見栄えがグッとあがることがあります。しかし手間や時間、お金など工夫する上で何かとリスクがあるのも事実。沢山加工を使いたくても、割りに合わないこともありますよね。しかし限られた条件の中で最良の方法として、そこに特殊印刷という手段があるなら、是非使って頂きたいと思います。

(2019.07.01更新)

(2016.6.15)

著者

山田実優

武蔵野美術大学でグラフィックデザインやパッケージデザイン、ブランディングデザインを主に勉強しています。 舞台鑑賞や洋服巡りが好きです。

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