朱色、茜色、紅色……赤だけでこんなに種類があるの!?日本の伝統色について知ろう!



そろそろ2018年も終わり、新年を迎えますね!お正月が近づくと街全体が一気に和の雰囲気になります。そんな和な雰囲気を作り出している要素の一つとして「日本の伝統色」というものがあります。例えば、紅白の2色を組み合わせるだけでめでたい雰囲気に感じませんか?
今回は、そんな日本の伝統色の歴史や、名前の由来などを細かく解説していきます!

編集・執筆 / HANA HIRATA, AYUPY GOTO

●日本人の色彩感覚


朱色、茜色、紅色、橙色……赤系統の色といっても、さまざまな色と名前がありますよね。日本では一つ一つ異なった色として認識されていますが、海外では朱色、茜色、紅色は全てRED(=赤色)とひとまとめにして呼ぶことが多いです。なぜ日本では、このように細かく色を分けるのでしょうか?

四季の影響

日本の伝統色の名前を調べてみると、植物の名前が入ったものが多いように感じます。例えば、ツユクサ色やボタン色、アヤメ色、スミレ色などなど……数え切れないほど挙げられます。これは、平安時代に入った頃に、日本の四季の変化を表現した、独自の色が使われたことが由来とされています。その鮮やかな和色は、主に平安時代の貴族の衣装に使われました。

襲色目の誕生

平安時代の貴族は十二単という衣装を着ていました。何色もの色を重ねるため、襲色目(かさねいろめ)という”色の組み合わせ方”も生まれました。襲色目も四季を表現した組み合わせが多いです。



上記は一部ですが、調べてみると他にも多様な組み合わせがあります。作品制作の際、色の組み合わせの見本になりそうですね!

●色で位がわかる!「冠位十二階の色」


「冠位十二階」という単語を、歴史の授業で習ったのを覚えていますか?冠位十二階とは、推古天皇の摂政を務めていた聖徳太子と蘇我馬子が制定した位階制度です。高貴な立場の順に大徳・小徳・大仁・小仁・大礼・小礼・大信・小信・大義・小義・大智・小智の12の冠位が定められました。そして、この12の位は、以下のように色の違いで見分けていたのです。

一番高い位は紫になっていますが、これはどうしてなのでしょうか。
これにも、きちんと理由があります。
合成染料や合成顔料が無かった当時、紫色をつくるのに必要な「紫草の根」が貴重だったため、紫色は高貴な色とされていました。紫色は身分の高い人のみ身につけられる色で、身分の低い人は紫の着物を着ることは許されませんでした。そのような、「身につけてはいけない色」のことは「禁色」と言います。禁色の中にも「絶対禁色」と呼ばれる絶対に着ることが許されない色があります。それは、天皇以外は着ることが許されない「黄櫨染」(こうろぜん)と、皇太子のみが着ることのできる「黄丹」(おうに)でした。


どちらの色も、綺麗に染めるのがとても難しかったそうです。

●江戸時代に流行!「四十八茶百鼠」


貴族が使用していた和色について紹介しましたが、次は江戸の庶民が纏っていた色について紹介します。
江戸時代半ば頃になると、豪商といわれる富裕層が登場し、町民の生活もだんだんと豊かになっていきました。すると、身なりが派手になっていき、人々はより良いものを求めるようになっていきました。このまま豊かな生活が続くと思いきや、幕府は以下のような禁止令を発令します。

奢侈(しゃし)禁止令
贅沢(奢侈)を禁止して、倹約を推奨・強制するための法令および命令。

庶民に贅沢を禁止させて、余ったお金を国の財政に使おうとしていたそうです。
農民は木綿、麻以外の素材を禁止され、色も茶色、鼠色、藍色しか身に付けられなくなりました。今では考えられませんよね……。
そんな状況で、江戸の庶民たちが生み出した色が「四十八茶百鼠」(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)と呼ばれる色です。四十八茶百鼠とは、茶色や鼠色のバリエーションを指す色のことを言います。茶色や鼠色は地味な色に思われがちですが、紺色に近い鼠色黄色が混ざった茶色など、幅広い色があります!

●花、動物、鳥……、さまざまな由来の伝統色


以上のようにして、日本ではさまざまな伝統色が誕生しました。いくつか、色の種類や名前の由来などを紹介していきます。

花の名前の色

◼︎ 桜色 


桜色はその名の通り、桜の花弁をイメージした色です。桜色という単語が初めて使われたのは、古今和歌集の「桜色に衣は深く染めて着む 花の散りなむ後の形見に」という和歌です。この歌には、「桜色に衣を深く染めて着よう。桜が散ってしまった後に思い出すよすがとして。」という意味があります。春をイメージする色にはぴったりですね!

◼︎ 露草色 


露草の花のような明るい青色を表現した伝統色です。友禅や紋染のに用いられています。色が落ちやすい特徴から、露草は「うつろう」「消える」などに掛かる枕詞となりました。

◼︎ 萱草色(かんぞういろ) 


萱草の花の色からついた名前です。「萱草」は「わすれぐさ」とも読みます。「源氏物語」に「萱草の袴」とあるように、古来から親しまれてきた色です。

動物の名前の色

◼︎ 海老色 


伊勢海老の殻のような色のことを言います。海老色の中にも、紫の入った濃い赤や濃い赤茶色まで大きく幅があります。

◼︎ 狐色 


江戸時代、狐は親しまれていた動物でした。狐色とは、キツネの背の毛色に似た色合いの、やや赤みを帯びた黄褐色のことを言います。

◼︎ 丼鼠 


「丼鼠」は「どぶねずみ」と読みます。丼鼠色は素鼠(すねずみ)色に比べてやや暗い色になっています。

鳥の名前の色

◼︎ 孔雀青 


孔雀の青い羽の色を表現した色です。鮮やかで綺麗な色ですよね!孔雀青は明治の頃に西洋から伝わった「ピーコックブルー」を和訳したものです。

◼︎ 紅鶸色(べにひわいろ) 


スズメ目アトリ科に分類される紅鶸の頭頂の羽色に由来する、わずかに紫みをおびた明るい紅色のことです。

●最後に


日本の伝統色には様々な種類、由来がありましたね!他にも、ここには載せきれないほど、伝統色はたくさん存在しています。和な雰囲気の作品を作ってみたいという人は、伝統色を意識して制作をしてみてはいかがでしょうか?

(2018.12.21)

著者

平田華

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。紙媒体を中心に作品を制作中。

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