金属、布にも描ける?アクリル絵の具の知られざる使い道とは?

みなさんは「アクリル絵の具」を使って制作をしたことはありますか?美大・芸大受験時に使っていた!という人も多い、美術系の学生にはなじみ深い画材だと思います。絵の具は紙に描く時に使うもの……という考え方が一般的だと思いますが、実はアクリル絵の具は金属や布など、様々な素材に描くことができるんです。今回は、アクリル絵の具の種類と、アクリル絵の具に混ぜて使える画材、そしてハンドメイドグッズを制作する際に使えるアレンジ案をご紹介いたします。
編集・執筆 /RINA SAITO, AYUPY GOTO

目次

●いろいろなアクリル絵の具の種類の紹介
●アクリル絵の具にプラスで使える画材&ハンドメイド案の紹介
●最後に

●いろいろなアクリル絵の具の種類の紹介

ひとくちにアクリル絵の具といっても、実はさまざまな種類があります。製造する企業によって絵の具の性質も様々で、同じ企業の絵の具でもいろんなシリーズがあります。
筆者は美術大学の絵画学科に在籍しており、普段から制作にアクリル絵の具も使用しています。自分が使いやすいと思ったもの以外にも、特徴に合わせて使い分けると制作の幅が広がり、楽しいですよ!
ここからは、筆者が実際に使用してきた、特性のあるアクリル絵の具をご紹介していきます。

ターナー アクリルガッシュ


<引用 | https://webshop.sekaido.co.jp/product/A000417 >
ターナー社のアクリルガッシュは、速乾性があり、マットに仕上がるのが特徴です。一番スタンダードなアクリル絵の具として、ターナーのアクリルガッシュを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?隠蔽力(下の色を覆い隠す力)があり、広い面でもムラなくきれいに塗れるので、パキっとした平面的な作風によく合う絵の具だと思います。白などの明るい色でも透けないので、ハイライト的な使い方ができる絵の具です。

ターナー アクリルガッシュ について詳しく見る

 

ターレンス アムステルダム アクリリックカラー


<引用 | https://webshop.sekaido.co.jp/product/A000421 >
ターレンス社のアムステルダム アクリリックカラーは、他の企業の絵の具と比べると大容量で、かつ色数も多いのが特徴です。1000ml入りのボトルなども販売しており、大量に同じ色を作る工程を省くことができます。たっぷり使える量が入ってリーズナブルな値段なので、大きな作品を作る人に特にオススメです!
ターレンス アムステルダム アクリリックカラー について詳しく見る

 
 

ホルベイン アクリリックフルイド


<引用 | http://www.e-gazai.com/shop/g/g813602/ >
ホルベイン社のアクリリックフルイドは、チューブ型の絵の具とは違って、より水に近い粘度のアクリル絵の具です。絵の具の色合いはフィルムのように半透明で、チューブからそのまま出した、薄めていない絵の具でも綺麗な透明感があります。ガラスやアクリルなどの透ける素材に描くと相性が良いと思います。
ホルベイン アクリリックフルイド について詳しく見る
 

●アクリル絵の具にプラスで使える画材&ハンドメイド案の紹介

アクリル絵の具が描ける支持体は紙だけではありません。メディウムやプライマーなどの画材を使うことで、いろんな素材に描くことが出来るようになります。ここでは、紙以外の素材に描くために使える画材と、その画材を使ったハンドメイド作品のアレンジ案をご紹介いたします。
 

ターナー ファブリックメディウム


<引用 | https://www.art-maruni.com/products/detail.php?product_id=4713 >
ターナー社のファブリックメディウムは、洗濯にも耐えられる絵の具を作れる画材です。使いたい色の絵の具に、このメディウムを混ぜて使用します。
【布絵の具】など布に描く用に調合された絵の具も販売されていますが、色数が少なく、通常のアクリル絵の具と比べて少し値段が高いです。このメディウムがあれば、今持っているアクリル絵の具を使って布用の絵の具に変えることができます。

これに描ける!布のトートバッグやTシャツに!


シンプルなトートバックやTシャツ、巾着などをアレンジするのが手軽でオススメです。ゴム板でスタンプなどを作れば、オリジナルのロゴのものが簡単にたくさん作れますよ。染めるのとは違い、絵の具独特の表現もできるので、いろいろ工夫してみると面白いと思います。

ホルベイン 金属・ガラス用プライマー


<引用 | https://holbein-shop.com/?pid=105212268 >
ホルベイン社の金属・ガラス用プライマーは、金属・ガラスなどつるつるとした質感にアクリル絵の具で絵を描けるようにできる下地材です。プライマーは、メディウムのように直接絵の具に混ぜるのではなく、絵の具を乗せる前に描きたい素材に塗り広げて使う画材です。通常はそのままアクリル絵の具を塗っても定着しませんが、この下地材を塗ることで強力に定着するようになります。

▼ホルベイン社が出している、プライマー対応表
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<引用 | http://www.holbein-works.co.jp/acrylamedium.html >

これに描ける!陶器、金属、ガラスにも!


3つの素材の下地材になるので、一つあるだけで色々な使い方ができます。工夫次第でハンドメイドにも作品制作にも使うことができ、既製品のグラスやお皿に塗って絵を書いたり、薄い真鍮や銅の板に絵を描いたりもできる優れものです。

胡粉ジェッソ


<引用 | https://item.rakuten.co.jp/nz-garou/10039242/ >
胡粉ジェッソは、リキテックス社が出す日本画で伝統的に使われる胡粉(貝殻を砕いた白色の粉)が入った下地材です。ジェッソと言うと一番スタンダードで一般的な下地材だと思いますが、胡粉が入っていることでまた違った質感になっています。このジェッソ自体、布・木材・紙粘土・発泡スチロールなどいろいろな素材に塗ることが出来ます。

石や皮にも描ける!


ジェッソはキャンバスやパネルに使うイメージが強いですが、表面を加工していない皮や、石にも塗ることができます。革製品を作る時や、既製品をアレンジしたい時にオススメです。何の変哲のない石でも、色をつけるとオブジェとして使えたり、ペーパーウェイトにしたりできます。ジェッソを一つ持っていると、いろんな素材に使えて便利ですよ!

●最後に

今回は、アクリル絵の具の種類と、アクリル絵の具の表現を広げる画材についてご紹介しました。
使い慣れた絵の具でも、下地材やメディウムを加えることで、新たな表現が見つけられるのではないでしょうか。いろんな画材の使い方を研究して、制作に役立ててくださいね!

(2018.8.27)

著者

齊藤梨奈

多摩美術大学 絵画学科 油画専攻を2019年3月に卒業。 古着屋、雑貨店巡り、服やアクセサリー作りをするのが好きです。

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