未来のアーティスト支援!給付型奨学金を知ろう

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美術系の学生であれば学費が高額な学校が多いため、「奨学金」を利用している人が多いのではないかと思います。しかし、奨学金は奨学金でも「給付型」の奨学金というのはあまり馴染みがないのではないのでしょうか?美術などの作品制作はお金がかかるものなので、返済が不要な奨学金や助成金など、クリエイターを支援する様々な取り組みが増えています。今回は代表的なものから新しく始まったばかりの制度まで、幅広くご紹介します。
編集・執筆 /RINA SAITO, AYUPY GOTO

●奨学金について

日本では返済型の奨学金は一般的によく知られていて、大学に入学する際に奨学金を借りる人も多いです。ここではまず、奨学金の種類についての簡単な説明をします。

返済型奨学金

返済型の奨学金は「貸与型」とも言われ、借主が学生本人となり、日本学生支援機構や国、地方自治体から学費としてお金を借りることです。在学中には毎月数万円ずつ振り込まれ、基本的には卒業後に、借りた本人が返済していくものです。
他に、保護者が借主となる「教育ローン」があり、銀行や損保会社からお金を借ります。国の奨学金と比べて利息が大きいので、返済負担が大きくなってしまうことがデメリットです。

「貸与型」の商学金の場合、社会人になって借りた奨学金を返済することになるのですが、収入の中で奨学金が占める割合が大きすて、収入が少なく返済が困難な状況になり、奨学金の返済ができない若者が増えており、近年社会問題にもなっています。

給付型奨学金

対して、給付型の奨学金は、返済の義務がないもので、地方自治体や多くの民間の財団が募集しています。選考される人数はごく少数になりますが、学びたい人や、将来広く活躍したいと考えている人に向けて、支援をするという仕組みになっています。大抵、成果報告としてのレポートやプレゼンテーションなどの活動報告が条件とされている場合が多いです。学校では、成績や活動が優秀な人に与えられることもあります。

●広く知られている!奨学金・助成金

アーティストを支援するものとして、奨学金の他にも助成金というものもあります。主に海外での研修を助成する制度が多く、今度アーティストとしてさらに活躍したいと考える人で、海外の大学などでより芸術を学びたい人を対象としたものです。様々な団体が募集をしていますが、ここでは広く知られている代表的な制度を紹介していきたいと思います。

文化庁 新進芸術家海外研修制度


引用 | http://www.bunka.go.jp/bunkacho/symbolmark/

国の行政機関である文化庁が募集している「新進芸術家海外研修制度」は、研修期間によって異なりますが、18歳〜50歳までの美術や音楽、演劇、映画などの芸術表現をしているアーティストや、漫画やアニメーションを含むクリエイター、プロデューサーや評論家、技術者なども対象としている制度です。
文化庁 新進芸術家海外研修制度の詳細を見る

ポーラ財団 若手芸術家の在外研修助成


引用 | http://www.polamuseum.or.jp/

化粧品ブランドとして有名なポーラですが、文化・美術の分野にも積極的に支援をしています。、神奈川県の箱根町には、私設美術館であるポーラ美術館や、銀座には年間を通し企画展を行なっているギャラリーPOLA MUSEUM ANNEXを運営しています。ポーラ財団の研修助成は、現在広く活躍している、やなぎみわ さん、ヤノベケンジ さん、村瀬恭子 さん、橋爪彩 さんなどの作家も過去に受けており、20歳〜35歳までの絵画、彫刻、工芸等を創作している作家や、美術館に勤務している学芸員を対象とし、最大1年間に渡って、海外での研修を援助するものです。

ポーラ財団 若手芸術家の在外研修助成の詳細を見る

●学生のうちに申し込める!給付型奨学金

クマ財団 クリエイター奨学金


引用 | https://kuma-foundation.org/

クマ財団のクリエイター奨学金は、今年から応募が始まった給付型奨学金で、株式会社コロプラ創業者の馬場功淳さんが設立されました。
大学、専門学校、高専などに通っていて、創作活動している25歳以下の学生を対象としています。絵画やグラフィックに限らず、漫画や小説、書道など、さらにはゲームやアプリ、VRなどの技術者も応募可能な、すべてのクリエイターに向けたものとなっています。
クマ財団 クリエイター奨学金の詳細を見る

ホルベインスカラシップ


引用 | http://www.holbein-works.co.jp/holbeinscholarship.html

ホルベインスカラシップは1986年から始まった制度で、絵の具などを製造しているホルベイン画材が設立し運営しているものなので、1年間に渡って約50万円相当の自社の画材を提供してくれる取り組みになっています。昨年より対象年齢が引き下げられ、18歳〜45歳までの、絵の具を使った作品を制作している作家や学生などが応募することができます。
ホルベインスカラシップの詳細を見る

日本文化藝術奨学金


引用 | http://jp-artsfdn.org/
日本文化藝術奨学金は、1996年より開始され、国内の音楽を除いた芸術系のうち、実技を中心とした学科の大学院生を対象とした給付型の奨学金です。絵画や彫刻以外にも、技術研修者や文化財保存、建築、メディアアートなどの専攻からも選ばれており、幅広い表現を対象としています。
日本文化藝術奨学金の詳細を見る

大学の奨学金制度も利用しよう

美術・芸術大学にも、成績優秀者にあたえられる奨学金以外に、学校に付属する校友会などの団体が給付型の奨学金を募集していることがあります。学部生・大学院生の両方を対象とする場合や、学部生のみを対象とする場合があるので、校内の掲示板・Webサイトなどでぜひ確認してみてください。

●奨学金、助成金を申し込む時に必要なこと

どの奨学金や助成制度も、自分の作品をまとめたポートフォリオを提出するというのが必須となり、自分がどういう作品を作ってきたのか、自分は今後どういうテーマで制作していくのか、将来どうなりたいのか、をアピールすることが重要となります。その他にも、奨学金をどのように使用するのか、といった予算の計画や、テーマとしているものへの研究計画案なども必要とされます。普段からの制作活動、研究活動を披露するチャンスであるとともに、将来クリエイター、アーティストとして活躍したい人は、制作により熱心に取り組むことが、将来の選択肢を広げることにもなる、ということがよく分かります。

●最後に

今回紹介した制度以外にも、まだまだ世の中には多くの奨学金制度があります。進学したいけど学費が高くて厳しい、生活に不安がある……といった人は、助成金などの情報をこまめにチェックすることが大切だと思います。制作活動を充実したものにしたい!と考えている人は、是非こういった制度をぜひ活用してみてほしいです。

(2017.6.30)

著者

齊藤梨奈

多摩美術大学 絵画学科 油画専攻を2019年3月に卒業。 古着屋、雑貨店巡り、服やアクセサリー作りをするのが好きです。

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