皆さんは先日行われた「2016リオ五輪閉会式」をご覧になりましたか?
企画、演出、音楽、振付、衣装、照明、プロジェクションマッピング、AR(拡張現実)といった、様々な技術を使い表現された閉会式を見て感動し、これから行われる2020年の東京五輪への期待が高まったはずです。今回は日本の魅力を最大限表現した「2016リオ五輪閉会式」を作り出したトップクリエイターに注目していきたいと思います。
編集・執筆 / ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO
● 2016リオ五輪閉会式
リオデジャネイロから東京へ
先日、リオ五輪の閉会式が行われました。そこで、2016リオ五輪から次に開催される2020東京五輪へと旗が引き継がれました。その引き継ぐということから、この閉会式では日本の2020東京五輪の紹介映像・演技「東京パフォーマンス」が行われました。
2020東京五輪に期待が高まる「東京パフォーマンス」
まだ閉会式の様子をご覧になってない方はぜひ上記の動画を見てください。思わず息を飲んでしまう、演技と映像だと思います!
この11分間で、日本の魅力を最大限に表現しています。会場いっぱいに映し出された日の丸や、様々な言語で表した日本からの「ありがとう」という人文字の表現。日本のカラーや伝統、海外からも人気の日本のアニメやゲームのキャラクターがコラボレーションされた映像には圧巻です。この演技や映像をより魅力的に見せたのは、企画、演出、衣装、音楽、映像、プロジェクションマッピング、AR(拡張現実)などの様々な表現方法でした。
多くの仕掛けがつまった「東京パフォーマンス」
「東京パフォーマンス」で表現された、多くの仕掛けをご紹介していきたいと思います。
日本の真下!リオデジャネイロにつながるという「企画演出」
日本の真下に位置するリオデジャネイロに土管でつながるという発想がとても面白い演出だと思います。
「亀倉雄策 / TOKYO1964」を思わせるグラフィック
日本の偉大なグラフィックデザイナーである、亀倉雄策氏がデザインしたポスターに見立てた構図がかっこ良いです。
日本の文化!海外からも人気の「アニメ・ゲーム」とコラボレーション映像
日本の文化になりつつある「アニメ・ゲーム」のキャラクター。海外からの人気もあり、会場を沸かせた瞬間でもありました。
日本最先端表現技術「AR(拡張現実)」
まるで光が立体的に見える不思議な空間を作り出した「AR(拡張現実)」。東京五輪で行われる33種目の競技を映し出しています。日本のトップクリエイターの技術力に驚かされます。
日本の「おもてなし」を表現した振付
日本の「おもてなし」を表現した振付がとても印象的でした。音楽・照明・演技すべてが一体化され、日本の世界観が作られていました。
浮き出る市松模様「東京五輪エンブレム」
最初はただの光る四角いフレームとし、表現されていましたが、徐々に集まり2020東京五輪のエンブレムを作り出しました。
● この閉会式を作った人は誰?
日本魅力を最大限伝えたパフォーマンス。この素晴らしい「東京パフォーマンス」を作り出したのは、日本のトップクリエイターでした。今回はそのトップクリエイター注目して、紹介していきたいと思います。
クリエイティブチーム
クリエイティブ スーパーバイザー
● 佐々木宏さん ( ささき ひろし )
企業イメージや商品イメージのブランディングをはじめ、数多くの広告作品を手掛けているクリエイティブディレクター。今回の東京パフォーマンスでは、企画演出を担当しました。
▼ 過去に手がけた作品
・ソフトバンクモバイル
ケータイ事業参入からの全広告プロジェクト並びに全キャンペーンを手がけました。ソフトバンクといったら、犬のお父さんで有名な「戸家」シリーズなどがあげられます。
・トヨタ自動車
ドラえもんの実写版シリーズでおなじみCMキャンペーンを手がけました。ジャン・レノさんをドラえもん、妻夫木聡さんをのび太に据えるなど、最新のCM好感度第1位を獲得しています。他にも多くの広告・CM・キャンペーンを手がけ、多くの賞を受賞されています。
クリエイティブ スーパーバイザー+音楽監督
● 椎名林檎さん ( しいな りんご )
「東京事変」というバンドでも注目され、多くの有名な楽曲を残している日本のシンガーソングライター。今回のパフォーマンスの音楽監督を担当しています。
東京五輪のエンブレムなどが現れたパフォーマンスのフィナーレで使用された曲は、椎名林檎さんのアルバム「毒苺」などに収録されている「望遠鏡の外の景色」です。照明・振付が椎名林檎さん手がける音楽の世界観にはまっていてとても印象的でした。
総合演出+演舞振付
● MIKIKOさん ( mikiko )
日本のダンサー、振付師、そして演出家でもあり、肩書きとしては「演出振付家」のMIKIKOさん。
今回のパフォーマンスでは、総合演出と演舞振付を担当しています。プロのダンサーと青森大学男子新体操部のメンバー20名によってパフォーマンスが行われました。「君が代」が流れ日の丸が作られるときに使われていた、ウィングレットというトヨタ製の乗り物や光るフレームとのコラボレーションなど、様々なものと組み合わされ振付が行われていました。パフォーマンス後半の応援団や日本のおもてなし作法を思わせる振付が印象的でした。
▼ 過去に手がけた作品
・Perfume
テクノポップユニットでも有名なPerfumeの振付をほとんどおこなっています。
他にもBABYMETAL、SEKAI NO OWARI、椎名林檎など多くのアーティストの振付を手がけています。
クリエイティブ ディレクター
● 菅野薫さん ( すがの かおる )
データ解析技術の研究開発、国内外のクライアントの商品サービス開発、広告キャンペーン企画制作など、テクノロジーと表現を専門にしています。今回はクリエーティブディレクターとしてこの東京パフォーマンスを作り出しました。
▼ 過去に手がけた作品
・SAYONARA国立競技場FINAL “FOR THE FUTURE”
国立競技場56年の歴史の最後の15分間「SAYONARA 国立競技場 FINAL FOR THE FUTURE」企画演出を担当しました。国立競技場で生まれた数々の「伝説」をデータとテクノロジーの力でよみがえらせました。
他にも国内外の広告、デザイン、アート様々な領域で多くの受賞をしています。
制作チーム
チーフ映像ディレクター
● 児玉裕一さん ( こだま ゆういち )
ミュージックビデオやCMなどの演出を手がける日本の映像ディレクター。今回の東京パフォーマンスではチーフ映像ディレクターを担当しています。
▼ 過去に手がけた作品
・能動的三分間 / 東京事変
東京事変の音楽の世界観がPVから伝わってくる作品になっています。
他にもサカナクション、SMAP、Perfume、YUKIなど有名アーティストのPVやCMなどを手がけています。
チーフアートディレクター
● 浜辺明弘さん ( はまべ あきひろ )
多くの広告やCMキャンペーンを手がけるアートディレクター。今回の東京パフォーマンスではチーフアートディレクターを担当しています。
▼ 過去に手がけた作品
・サントリーホールディングスBOSS「宇宙人ジョーンズ」シリーズ
コーヒーのBOSSでおなじみ、BOSS「宇宙人ジョーンズ」シリーズのTVCMのアートディレクターを担当しています。
他にもトヨタ自動車/TOYOTOWN PASSOなどの多くのCMなどにアートディレクターとして関わっています。
チーフテクニカルディレクター メディアアーティスト
● 真鍋大度さん ( まなべ だいと )
日本のメディアアーティストであり、プログラマー、デザイナー、映像作家、DJ、VJも行っています。今回の東京パフォーマンスでは、チーフテクニカルディレクターメディアアーティストを担当しています。会場内ではAR拡張現実というCGと現実世界を融合させる表現を用いて、東京大会から公式種目として採用されるスケートボードなどを含む33の競技をイメージしたアニメーションを投影しました。
▼ 過去に手がけた作品
・センシング・ストリームズ ―不可視、不可聴
この作品は人間がふだん知覚することのできない「電磁波」をセンシングし可視・可聴化するものでした。第18回 文化庁メディア芸術祭/アート部門で優秀賞を受賞した作品です。
他にもインタラクティブアートを主として、多くの賞を受賞しています。
● 最後に
このリオ五輪の閉会式を見て、誰もが胸が高鳴ったのではないかと思います。そしてその人々を感動させた、日本のトップクリエイターの表現や技術力は、世界でも高く評価されました。スポーツを競うオリンピックですが、この閉会式を機に、オリンピック×クリエイターの取り組みがさらに注目されるのではないでしょうか。2020年までに、オリンピックに携われるクリエイターになることを目指して、みなさんも日々の制作を頑張ってみてください!
(2016.8.24)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア