デザインの勉強をしたいと思ったとき、皆さんはどのような勉強法をとりますか?筆者(くぐつ)は、今まで使ったことがないソフトを扱うときや、デザインのアイデアに行き詰まったときなど、これまでたくさんのデザインに関する「本」を読んできました。しかし、自身とは違う分野のデザイナーを目指す方からおすすめの本を聞かれたとき、答えられなかった経験があります。
今回は、デザインを本で学ぶメリットを考えながら、プロのデザイナーにおすすめの本を尋ねてみました。これからデザインを学ぶ方はもちろん、別分野のデザインも勉強してみたいという方も必見です!編集・執筆 / MAYU KUGUTSU, YOSHIKO INOUE
1. デザインの勉強法について
デザインの勉強方法は、主に2つあります。
①学校で学ぶ
- 大学、専門学校、民間スクールなど
▼民間スクールでの勉強法について詳しく知りたい人はこちらの記事もチェック!
→放課後は別の学校へ!ダブルスクールできるデザインやファッションの学校
②独学で学ぶ
- 本を読む、ネットで調べる、YouTubeを見る、無料ツールを使うなど
これらの方法にはそれぞれのメリットがありますが、すぐに始められる勉強法としておすすめなのが「書籍を使うこと」です。
デザインが学べる本といっても、ツールの使い方や操作方法などすぐに実践できるものから、デザイン論のような奥深いものまでさまざま。筆者は以下のようにざっくりと分類しています。
・HOW TO本……ツールやソフトの操作方法が分かるもの
・作品集……さまざまな作品を集めたもの
・デザイン論……著者の思考が分かるもの
・権利関係……デザイン関係の著作権や情報リテラシーを学べるもの
それでは、このように書籍を使ってデザインを勉強することは、他の勉強方法に比べてどんなメリットがあるのでしょうか。いくつか挙げてみました!
2.デザインを本で学ぶメリット
- メリット1 信頼性が高く正しい情報を身に付けられる
一般的に本はネットの情報よりも、信頼性が高いと言われています。デザイン業界で第一線で活躍している、社会的に認められた著者が執筆し、プロの編集者によって編集されています。そのため質が高くなります。信頼できる情報源からの情報が一冊にぎゅっと詰まっているため、情報が正確かを検討する時間を省けます。
- メリット2 自分だけの参考書を作れる
本だからできる最大の魅力、それは自分オリジナルの参考書にできることかもしれません。メモ書きができ、マーカーが引け、付箋が貼れる。デザイン好きならなおさら自分好みにアレンジしたくなりませんか?
高校受験・大学受験の時、共に戦った参考書がお守りになったのと同様に、自分に必要な情報が詰まった一冊は、ずっとあなたの味方になってくれるはずです。
また手元に置いておくだけで、モチベーションの向上にも繋がります。自分の好きな作品が並んでいるページや、デザイナーが魂込めて書いている文章を読んでいると、思わずその世界に入り込んでしまいます。自分がそのレベルまで辿りつくにはまだまだ努力が必要なことに気づくと、やる気が湧いてくることでしょう……!
- メリット3 自分のペースで勉強できる
スクールに通った場合、すでに組まれているカリキュラムに沿って進められますが、全体の習熟度に沿って進むため、自分のペースで進められるとは言えません。しかし本であれば、自分のペースで勉強することができます。冒頭から順に沿って勉強するも良し、自分の不得意な箇所からする勉強も良し。自分でスケジュールを組みながら進めることで、デザイナーにとって必須の自己管理能力も身に付けることができます。
ノルウェイのスタヴァンゲル大学の研究者、アン・マンゲン(Anne Mangen)氏によるとこのような意見もあるようです。「物語の進行に合わせて紙をめくっていくという作業が、一種の感覚的な補助となります。すなわち、触覚が、視覚をサポートするのです」とマンゲン氏。「おそらくこのことが、読書の進捗度合いと、物語の進行度合いを、よりはっきりと印象付けるのでしょう」
引用 https://www.lifehacker.jp/2014/09/140906paperbook.html
私たちも小学校の頃から教科書使ってさまざまなことを勉強してきました。確かに、紙をめくり文字を繰り返し読むことで記憶が定着してきたのかもしれませんね。
3.デザイナーに聞いた、デザイン初心者におすすめの本
では実際にどのような本を選んだら良いのでしょうか?
それぞれの分野で活躍するデザイナーが、デザイン初心者におすすめの本をご紹介。ぜひ参考にしてみてください。
グラフィック・WEBデザイナーがおすすめする本
書籍タイトル
「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義Q おすすめの理由を教えてください
どうすれば長く売れつづけるのか?という、どんな企業でも抱える課題をデザインの視点で解決する"ブランディングデザイン"のノウハウがぎゅっと詰まった1冊です。ブランディングとは「見え方をコントロールすること」。それにはデザインの力がとても武器になります。水野学さんが実際に取り組まれた事例を元に、平易な文章でわかりやすく説明されているので、デザイン初心者の方やノンデザイナーの方にもおすすめです。
画像引用 | https://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4980
エディトリアルデザイナーがおすすめする本
sachi さん
エディトリアルデザイナー
書籍タイトル
パーツ別・レイアウトスタイルブックQ おすすめの理由を教えてください
エディトリアルデザイン(ページもの)に興味がある人に見てもらいたい一冊。写真メイン、文字メイン、カタログ、目次などでカテゴリー分けがされているのでとても見やすくわかりやすいです。参考になる事例がたくさん載っています。
画像引用 | http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?cat=4&p=31487
UIUXデザイナーがおすすめする本
いぬづか さん
UIUXデザイナー
書籍タイトル
Web制作者のためのUXデザインをはじめる本Q おすすめの理由を教えてください
難しい言葉をあまり使わずに解説されているので、UXデザインを初めて学ぶ際にざっと全体像をつかむのにとてもおすすめの本です。そして、よくありがちな『とはいえ現場で取り入れるのは実際なかなか難しいよね』『何から手をつければいいのか分からない』という問題に対しても、現場の状況に応じた具体的な取り入れ方を示してくれるので、インプットしただけで終わらず、実践してみるところまで自分でもっていけるところもおすすめポイントです!
画像引用 | https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798143330インテリアデザイナーがおすすめする本
yuya.h さん
インテリアデザイナー
書籍タイトル
インテリアデザインの半世紀Q おすすめの理由を教えてください
インテリアデザインという分野が確立し、今に至るまでをビジュアルも多く簡潔かつ明快に記してあります。同業の方もそうでない方にもおすすめの一冊です。
画像引用 | https://www.rikuyosha.co.jp/products/detail4367/
映像クリエイターがおすすめする本
Filmitsu さん
映像クリエイター
書籍タイトル
After Effects パーフェクト教本 現場で役立つ 広告&PRムービー制作大全Q おすすめの理由を教えてください
逆引きも出来るし、1から学ぶことも出来る一冊。映像制作の基本はこれがおすすめです。
画像引用 | https://gihyo.jp/book/2019/978-4-297-10479-5
書籍タイトル
ノンデザイナーズ・デザインブックQ おすすめの理由を教えてください
映像を作る際の文字レイアウト等はノンデザイナーズ・デザインブックを活用した時期もありました。
画像引用 | https://book.mynavi.jp/nddb/
4. “ デザインを学ぶ本 ” 最初の一冊を探すときのポイント
以上、5名の現役若手デザイナーさんに教えていただきました!5名それぞれに専門分野が違いますが、初心者向けにおすすめしてくれた本には、以下のような共通点がありました。
・平易な文章である
・ビジュアルが多い
・逆引きができる
・事例が掲載されている口コミ評価が高い本を選択するのも1つの手ですが、始めの一冊を迷った際にはこのようなポイントを押さえて選んでみましょう。
5. 最後に
ここまで、本による勉強法をお伝えしてきましたが、個人ブログやTwitter、note(クリエイターのさまざまな情報を知ることができるサービス)などのSNSも、有益な情報が溢れています。これらの良さは実際に現場で働くデザイナーの意見や思考、あっと驚くデザインスキルなど“リアルな声”が聞けることです。一方、確実な情報を手元で取得する手段として本は有効です。
もっと勉強したいと思う分野に出会ったときや、ネットの情報では満足いかなくなったとき、書店へ行ってデザインコーナーの前に立ってみてください。ビビビッときたその本は、きっと皆さんの勉強をアシストしてくれるはずです。自分がまだ知らなかった世界に触れることができ、新たな課題や興味が生まれるかもしれません。デザイン知識をもっと広げるために、ぜひ本を使った勉強法を実践してみてください!
(2019.7.9)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア