自分の作品を炎上問題から守る対策方法とは?

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近年、ネット上で盗作(パクり)問題と銘打って、第三者が過度に独創性を求める意見を発することが増えました。また、クリエイティブ界隈では盗作問題や独創性だけでなく、モラルや展示形態に対して厳しい意見も出るようになりました。
今回はネットで増える“炎上”や、作品を制作し扱う上で持っておくべき知識“著作権”から、自分の身や作品を守るための対策について考えていきたいと思います。
編集・執筆 / Haruna Kawanabe, AYUPY GOTO

目次

  • 1.炎上とは
  • 2.クリエイティブをとりまく炎上問題
  • 3.自分の作品を守るための対策案
  • 4.最後に

1.炎上とは

「炎上(えんじょう)」とは、Webサイトの管理者や、ネットにコメントを流した発言者の意図を超え、非難や誹謗中傷が殺到する事態や状況を示すネット用語です。状況によっては呼び方が変化する場合があります。
炎上はフレーミングとも呼び、論争を離れ感情のぶつけ合いになった状況をフレームと呼ぶ場合もあります。また相手を挑発し感情的にさせ意図的にフレームへと誘導するフレーマーという人もいます。フレーマーは火種となりそうな話題や問題に集まり、短期間で論争をフレームへと変えてしまう危険性があります。また論議の結論を目的とせずに炎上を見て楽しむ炎上ウォッチャーも存在します。
このように悪意のある人が炎上には多く関わっていますが、発端となった話のネタや画像を上げた人物が、必ずしも悪意を持っているわけではありません。話題を見つけた悪意を持つ人たちが、悪意ある言葉を使い炎上へと誘導するのです。

2.クリエイティブをとりまく炎上問題

近年、新しい創作作品が出るたびに盗作の可能性について語る人がネットで増え、2015、2016年の間には、クリエイティブ業界では軽視できない盗作・著作権問題が続きました。そのため、オマージュ・パロディ作品への風当たりは強く、作品展示や管理問題、モラル関連でもクリエイティブ業界に対して注目が集まっています。また、キュレーションメディア等のネットサービスにおける専門知識の取り扱いについても危険視する動きが高まっています。

オリンピック・ロゴ盗作問題

ニュースやネット、その他メディアでも多く取り上げられた問題です。その発端は、海外のデザイナーがロゴを盗作として訴えたことから始まります。過去の作品も盗作の疑惑がかけられ次々と過去の作品がネット上で晒されました。

問題視された原因
・オリンピックロゴという国を代表する立場であった
・訴えられた作品との酷似

卒業制作パロディ問題

ロゴ盗作問題に誘発されて、卒業制作作品が炎上した問題です。卒業制作展の最優秀賞作品がパロディ作品(他の作品を揶揄や風刺、批判する目的を持って模倣した作品)なのは、独創性を育む大学としてどうなのかと問題視されました。制作者は、カタログ等で作品の雰囲気を表現する手段として、有名アーティストの画風を用い作品を制作したことを説明しましたが、アーティスト(権利元)に許可を取らずに絵柄を使用したことが炎上をさらに広げた原因と思われます。

問題視された原因
・絵柄だけでなく構図まで酷似していた
・権利元に許可をとっていなかった

展示の管理問題

大型デザインイベントで展示していた木製のジャングルジムのオブジェから発火し、中で遊んでいた5歳の男児ひとりが焼死した事件がありました。展示の管理体制について言及が求められました。展示やイベントを行う場合、運営側は防災対応・経路の確認や展示会場の安全管理を行う必要があります。

問題視された原因
・作品に使われる素材から、発火の可能性を考えられなかったのか
・審査体制への疑問
・発火した時の運営側の対応

キュレーションサイト等の情報の取り扱いについて

キュレーションサービスで、人命に関わる医療関連の記事に信用性の低い情報が紹介されたことで、炎上した問題です。一見クリエイティブとは関係性が低い問題ですが、近年医療の現場にデザインの考えを取り込み、患者の理解を促す取り組みが増えてきています。
デザインの力は他の分野でも求められるようになってきています。デジタルコンテンツの普及も進んできているので、クリエイターもネ専門知識の取り扱いについて理解しておくと良いと思います。

問題視された原因
・医療メディアに、人命が関わる不適切な情報が掲載されていた

3.自分の身や、作品を守るための対策案

裁判ともなれば法的に解消できますが、炎上は拡散力もあり炎上元を特定しにくい面があります。また個人の人生や価値を一生貶める危険性があります。このような問題から、自分の身や作品を守るためにも、対策や知識について改めて理解深める必要があると思います。

画像の流出を抑える

掲載した作品画像が炎上をした場合、もっとも難しいのが流出した画像の抑止です。作品を掲載していたWebサイトに「転載禁止」と記載しておくことで、無断掲載や二次利用を行った人に画像の取り消しを要求することができます。また、画像を勝手に編集して使われた場合を考えて、証拠画像を残しておきましょう。

対策案
展示する際にでネットへの無断掲載、二次利用を禁止する。

パロディ作品・オマージュ作品の著作権について知る

パロディ作品やオマージュ作品を取り扱う上で気になることが、著作権だと思います。著作権とは、表現物の財産的な権利や、著作者人権という人格的な権利のことを示して使われます。精神的労力より生まれた制作物を保護するための決まりでもあり新規性・独創性は必要とされません。クリエイティブの場合、鑑賞目的の作品に適用され、実用品は技術や暮らしの進歩の阻害にならないように、保護対象にカウントされることは少ないです。
画期的な技術が生まれた場合には、特許の取得が勧められ、社会や文化への貢献が求められます。また保護の対象や保護する期間は国によって様々です。

対策案
不安な場合は制作前に版権元に確認、許可を求める。問題が起きた場合は焦らず法律について詳しい方に意見を求める。

学業で制作した作品には著作権法35条がある

著作権法35条は「教育機関における複製」を認める決まりです。非営利であることや教育課程で必要であるかないか等細かい条件を満たした作品を守ることができます。
学ぶとは本来真似や模倣から成立する行為です。コンセプトやビジュアルを100%真似したものはもちろん許されません。

対策案
先生方や総務課に尋ねる。学校によっては担当の弁護士がいるので相談する。

専門知識を取り扱う場合

ネット社会が進んだことで情報への信頼感は揺らいでいます。専門知識を取り扱う作品は、参考文献や専門の機関に早い時期から確認や相談をとり、自分の知識が正確なものかどうかを説明する必要性があります。

対策案
専門知識は情報元や相談した機関を明記する。

炎上によって起こる被害

炎上することによって住所の特定や、嫌がらせ目的のストーキング、生活自体に支障が出るような場合もあります。

対策案
本名やメールアドレス、住所等個人が特定される情報を流さない。
TwitterやFacebook等、個人情報を載せているSNS等を非公開にする。

4.最後に

デザインやアートの区別、分野への理解はどんな時代でも完全ではありません。また一つのデザインに至るまでの過程全てに完璧な独創性を求める一般の方も世の中にはいます。クリエイターと一般の方の考え方の差や、自分たちクリエイターがどう見られているのかについて改めて理解し、プロセスや作品について説明する必要が、近年の社会では求められているのかもしれません。

flam

(2016.12.28)

著者

川鍋春菜

多摩美術大学 美術学部 情報デザイン学科 情報デザインコースに 所属しています。UI/UXやサービスデザインについて勉強しています。 趣味はアニメ、アナログゲーム、デジタルゲームなどなど。

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