学生のうちから知っておこう。クリエイターを守る法律や権利

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近年、プロアマを問わず創作物について世の中の言及が増えてきています。クリエイティブはどこまでがオリジナリティなのか、何が良くて何が悪いのか……普段作品を制作している私たち当事者でも、自分の作品を守るルールについて知らないことがあると思います。今回は、趣味で創作を続ける人やデザイナーを目指す人、ものづくりをする全ての人に関係する、クリエイティブに関する法律や権利についてご紹介したいと思います。
編集・執筆 / Haruna Kawanabe, AYUPY GOTO

目次

  • 1.創作物を守る「著作権」
  • 2.産業の発達を促す「特許権」
  • 3.工業デザインを守る「意匠権」
  • 4.最後に

1.創作作品を守る「著作権」

“創作作品を守る権利”と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、「著作権」だと思います。近年、盗作作品を規制する法律と誤解されがちですが、実際は創作物から生まれる利益、思想や感情を表現するためにかけられた精神的労力を、財産的な権利とするものです。この権利を得るには、新規性や独創性等はいりません。作品ができた瞬間から自動的に権利が発生します。
知的財産権の一つである「著作権」に関する日本の法律を「著作権法」と呼びます。
海外では違った法律が適用されていますが、ベルヌ条約加盟国では基準となる著作権が制定されているため、日本と同じく作品が完成した瞬間に著作権が発生するのです。

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2.産業の発達を促す「特許権」

「特許権」とは、新しい自然法則を用いた技術的思想を創作したものに与えられる独占権であり、創作物の保護と利用を図ることで発明を促し、産業の発達への関与を促す権利です。プロダクトデザインのような創作物に関わりのあるものに適用される権利です。例えば、電球のように産業の発達に貢献する「発明」に対して生じます。発明が社会に貢献した程度に比例して、権利者は報酬を受け取ることができ、後に似たような発明が現れてもこの権利は後発には付与されません。
特許を得るためには出願し、審査を挟み登録する必要があります。権利を独占できる期間は出願してから20年とされています。また、特許権は毎年特許料を支払わなければ権利が維持できません。

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3.工業デザインを守る「意匠権」

「意匠権」は、美術品ではなく工業デザインに適用される「意匠法」に関する権利です。「意匠法」とは工業製品の形状や模様、色等の視覚に関わる形態の保護と利用を図り、産業の発達を促す法律です。
工業デザインは大量生産を前提に生み出されます。そのため、奇抜さは美術品ほど高くなく、目的や外見が似通った物も多いです。この権利は製品独自の個性や特性を守ります。
権利を得るためには出願し、審査を挟み登録する必要があります。権利が得られれば意匠に対して独占権を獲得します。意匠登録をした作品と類似したデザインが現れた場合、意匠侵害として起訴することができます。これは1部分を模倣した場合でも起訴対象とされます。
また、2017年現在、フォントやPC上のアイコンは対象外となっています。
この権利に関しては、世界統一条約がないため、国によって違いがあります。

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4.最後に

「著作権」以外にも創作物や知的財産を守る法律や権利が存在しています。しかし、国によって意識や制度の差があるのも事実です。近年、SNSにおいては独創性や盗作について議論される機会も増えました。自分や友人、関係者が突然問題に巻き込まれるということも少なくありません。今後作る側、楽しむ側を問わず、クリエイティブに関わる可能性がある方なら、どのような法律があるか知っておくと今後役に立つかもしれません。

学生のうちから知っておこう。クリエイターを守る法律や権利|その2

(2017.1.13)

著者

川鍋春菜

多摩美術大学 美術学部 情報デザイン学科 情報デザインコースに 所属しています。UI/UXやサービスデザインについて勉強しています。 趣味はアニメ、アナログゲーム、デジタルゲームなどなど。

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