フォント選びでポートフォリオが変わる!おさえたい定番フォント

皆さんは普段デザインするとき、フォントを意識していますか?文字なんてどれでも良いと思う人もいるかもしれませんが、実は作品の質や効果を大きく左右させてしまいます。実際、美術大学の講評でも「良いデザインができているが、フォントが印象を崩してしまっている」という教授の声をよく耳にします。(筆者所属大学・金沢美術工芸大学)
逆にフォント選びがうまくなれば、洗練された質の良いデザインにも繋がります。フォントの基礎を知って自分のポートフォリオにも生かしましょう!

執筆  fukuta / 編集 YOSHIKO INOUE

フォントの基礎を知れば、ポートフォリオをレベルアップできる

デザイナーの就活に向けてポートフォリオを作っていると、「フォントの選び方がわからない」「いまいち統一感が出ない」「もっとクオリティの高いものを作りたい!」と悩むことはありませんか。フォント次第で、ポートフォリオの作者の印象や作品の印象は大きく変わります。時間をかけて、ポートフォリオ用にと選抜した作品たち。説明文に使うフォントも世界観に合ったものにし、クオリティを補完したいですよね。

ということで今回はクリエイター志望の就活生にはぜひ知っておいてほしい、フォントの基礎や定番おすすめフォントを紹介していきます。あなたの作品に合うフォントが見つかるかも!

和文欧文、さまざまな書体

本メディア「はたらくビビビット」では、過去にもフォントとデザインにまつわるテーマを取り上げてきました。まずはそこから引用し、基本情報をご説明します。

引用:現役デザイナーに聞く!好きなフォントとよく使うフォント

まずはフォントについて簡単に説明します。フォントの基礎知識をつけることで、書体を選ぶ基準を見つけることができます。

和文のフォントは明朝体、ゴシック体、筆書体、手書き文字の4つに分けられます。また、欧文のフォントはセリフ体、サンセリフ体、筆記体、手書き文字の4つ分けられます。

明朝体もセリフ体も、横線が細く縦線が太くなっています。また、横線や曲がり角にウロコがついているのが特徴です。一方、ゴシック体とサンセリフ体は線の太さ同じで、ウロコがついていません。サンセリフの「サン」は「ない」という意味で、「セリフ」は「ウロコ」を意味します。

こうして並ぶだけでも、書体によって印象が変わることがわかりますね。
さまざまなフォントはどこで手に入れられるのでしょうか。

フォントをダウンロードしてみよう

パソコンに元々搭載されているフォントの他に、世の中にはたくさんのフォントがあります。フォントをつくり販売する企業があるほどです。そんな奥が深いフォントは有料のものもありますが、無料でダウンロードできるものもあります。「どこからダウンロードすれば良いんだろう」と迷ったら、まずはここから!
おすすめのサイトをご紹介します。使いやすく美しいフォントを見つけたいですね。

■Adobe Fonts  https://fonts.adobe.com

Creative Cloudプランに加入している人は誰でもダウンロード可能。Adobeアカウントを持っている人は絶対に使った方がお得。有名なフォントが多数揃えられている。

■Google Fonts https://fonts.google.com/

アカウント登録の必要なし!誰でもダウンロードして使用することが可能。日本語など文字数の多いフォントのダウンロードには時間がかかるのが難点だが、さまざまな言語に対応したものが利用できる。

ダウンロードしたフォントを扱うときの注意点として覚えておきたいのは「書き出し時のフォントのアウトライン化」です。アウトライン化とは、テキストの塗り部分の輪郭を、点と線で構成された平面図形に変換することです。アウトライン化していないと、別のパソコンにデータを転送したときに他のフォントに自動変換したり、開くことができなかったりと大変なことが起きてしまいます。

定番!おすすめのフォント10種類

和文フォント・欧文フォントの中から「これを知っていればまず大丈夫!」というような、定番のおすすめフォントをいくつか紹介します。本メディアの運営会社であるビビビットのデザイナーさんにも尋ねながら選びました。皆さんのポートフォリオや作品の世界観に合うものを探してみてください!

1.明朝体

●ヒラギノ明朝体

明朝体を使ってみたい時はこのフォントからとも言われるほど、クセが少なく読みやすい。パソコンからスマートフォンの画面の中においてUIから文章まで幅広く使用することが可能。全体的に落ち着いた印象を与える。
新聞、教科書でよく使われている。

●太ミン A101  Pro

とても長い間愛され続けている伝統的な明朝体。縦でも横でも使いやすく、雑誌の本文や中見出しに用いられる。文字の一つひとつに重みがあり、丁寧な語りを表すことができるのが魅力。PowerMac G3やiMac G4ではこのフォントが標準搭載されていた。※有料

2.ゴシック体

●游ゴシック体

 

長文でも読みやすいスタンダードなゴシック体。Webでも印刷でも美しく表示できる。文字サイズを小さくした際にも識別がしやすいので様々な用途に適している。洗練された印象のデザインでよく使われているよう(クリエイティブ企業、デザイン事務所のHPなど)。

●ヒラギノ角ゴシック

文字の間に程よい空間が生まれ、シンプルかつどんな文章でも読みやすく落ち着いた印象を与える。文字の中の重心が低くも高くもなく、ちょうど良い位置に設計されている。ヒラギノ明朝体との組み合わせがとても良い。
YouTuberの動画テロップなどでよく見られるようになった。高速道路の標識でも使われている。

●A1ゴシック

線の交差部分や角の滲んだような墨溜まりのデザイン処理が特徴的である。ゴシック体でありながらも、整理されすぎていない柔らかい印象が自然な温かみを感じさせる。映画「君の名は。」タイトル文字やファミリーマートのプライベートブランド「ファミマル」の商品パッケージにも使われている。

3.セリフ体

●Caslon(キャスロン、カスロン)

「迷ったらカスロンで組め」という合言葉が生まれたほど使いやすく、優雅で古典的な印象を与えるセリフ体。先端に溶けたような処理や図形的な要素を施した、比較的丸みを帯びたフォントである。
アメリカの独立宣言書やお菓子ブランド「Pierre Herme」で使用されている。

●Didot(ディド)

繊細かつモダンでおしゃれな印象をもつ、高級感のあるファッションを象徴するセリフ体。太い線と細い線の差が大きく、直線的なセリフが用いられており、「Vogue(ヴォーグ)」や「Harper’s Bazaar(ハーパーズバザー)」などのファッション雑誌の表紙やロゴにも使用されている。

4.サンセリフ体

●Helvetica(ヘルベチカ)

簡素で落ち着いた書体だが、説得力に富んだ力強さをもつサンセリフ体。数字も安定しており、日本語や英語などの混合した時の使用にも向いている。その汎用性の高さが世界各地で愛されている。その汎用性の高さが世界各地で愛されている。さまざまな商品を展開する生活雑貨店「MUJI(無印良品)」やアウトドア用品ブランド「THE NORTH FACE」でも使用されている。

●Futura(フーツラ、フツラ)

図形などの幾何学のものをベースに、事細かに計算され尽くした美しさを持っている。視覚的配慮に優れているため読みやすく、さまざまなブランドのロゴにも使用されている。
「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」や「Supreme(シュプリーム)」などのさまざまなファッションブランドのロゴにも使用されている。

●Gotham(ゴッサム)

幾何学的で明快な太さがとても特徴的なアメリカのニューヨークらしい強さが表れているフォント。どちらかというと読むことよりも見ることに適しているため、インパクトのあるポスターやロゴなどの使用におすすめ。「YES WE CAN 」で知られる2008年のバラク・オバマの大統領選挙キャンペーンで使われたことで有名になったと言われている。

番外編|北欧のまちで見つけたフォントたち

最後に、筆者が研修で訪れたデンマークで見つけたフォントをご紹介します!

「 Dansk Vejtavleskrift 」
この国の標識には Dansk Vejtavleskrift というフォントが使用されており、日本ではあまり見かけないものでした。全体的に少し余白や字間が広くゆったりしていて、運転する人の気持ちを考えたような読みやすさが感じられました。このフォントの他にも、街中は日本とはまた違う良さを持つ文字で溢れていて人を飽きさせない、とても楽しくデザイン性に富んだ国でした。海外でなくても、日常のフォントに目を向けてみると新しい発見がたくさんあるので、ぜひ探しながら歩いてみてください!

最後に

わたし自身も調べながらこの記事にすることによって、ポートフォリオに生かせそうなフォントの種類を知ることができました。より多くの種類を知っておくと、さまざまな作品のテイストにあったデザインを作り出すことにも繋がります。ポートフォリオだけではなく、ポスターやロゴなどにも応用することができるのでフォントについての知識を増やし、さらにクオリティの高いものを目指しましょう!

(2024.4.15)

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fukuta

金沢美術工芸大学デザイン学科製品デザイン専攻3年。お香をマッチでつけるのにハマっています。

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