ここ最近で、とても注目されている「体験型」の展覧会。
アートを身体で感じることができると話題になっています。他にはない展示方法を取り入れているため、新しい視点で作品を楽しめるのも特徴です。
今回はこれから主流になってくるであろう「体験型」の展覧会とはどんなものなのか、詳しくご紹介します。
編集・執筆 / SHIGEMATSU, AYUPY GOTO
●最近の展覧会はどんな傾向にあるのか
見て楽しむ < 体験して楽しむ
従来の展覧会では、油画や日本画といった絵を見て楽しむものが一般的でしたが、最近ではアートを身体で感じられる体験して楽しむ形式の展示が増えています。
五感を使い体験できるものが多いため、目で見て楽しむタイプの作品よりも深く印象に残りやすいのです。
●「体験型」の展覧会とは
今、とくに注目されているのは最新技術を使った「体験型」の展覧会です。
インタラクティブな最新技術を使い、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚……と、私たちの身体を刺激して楽しませてくれるものばかりです。子どもから大人まで幅広い年齢層の人が楽しめ、アートにあまり関心が無くても夢中になれるのも魅力的なポイントです。
また、撮影ができる展示も多く、体験したことを写真という形で持ち帰れるところも人気の秘訣です。
「体験型」の展覧会はこれまでとは一味違う、今までにない新しい展覧会のスタイルで多くの人の関心を集めています。
●人気の秘密を探ろう!
どういう点が人気なのか?
華やかなデジタルアートと、ユニークな演出
映像やインスタレーション、インタラクティブアート、VRなど、デジタル技術を使った華やかな演出が人気を集めています。多くの人々がつい足を止めてしまうような美しさ、TVや雑誌などメディアにも取り上げられやすく、さらに情報は拡散されていきます。
撮った写真をSNSでシェア
体験できることに加えて、フォトジェニックな写真が撮れることで展覧会に足を運ぶ人も少なくないようです。作品と一緒に写真を撮れる企画もたくさんあるので、「体験型」の展覧会に行く際はカメラをぜひ持って行って欲しいです。
撮った写真をハッシュタグ(#)を使って、TwitterやInstagramなどSNSにアップすることで、より多くの関心を集めることができます。
そして、その投稿を見て気になった人が行ってみたい!と思うことによって、展覧会がさらに注目されます。
主催者側と鑑賞者側の両方が発信した情報を得る機会があるため、こういった展覧会企画はとても有効的なプロモーション効果を発揮します。
アート作品と一体化できる
アート作品の一部に自分が加わることで完成する参加形式の作品も人気です。
見るだけでなく、完成するパーツの一部分として自らが加わることで、また違った作品の雰囲気楽しむことができます。
芸術を本格的に味わいたい人はもちろん、親子連れでも楽しめる内容なので、いろいろな人が展示を通していつもとは違う新しい視点でアートに触れることができるのです。
時代が進むにつれて、見るだけの展示会は少なくなってきている傾向にあります。
これからはアートを身体で感じ、感じたことをシェアする時代になってきているのです。
●話題になった体験型の展覧会
開催された最新の「体験型」の展覧会をご紹介します。
アートとテクノロジーが上手く融合されていて、どれも話題性のあるものばかりです。
DMM.PLANETS Art by team Lab
CMでも話題の体感するアート
デジタルアート集団チームラボが行った、「体験型」の巨大アート展です。約3000㎡もの広い空間を歩きながら、体験し鑑賞するスタイルの展示です。
こちらの写真はテレビCMでも話題になっている注目の作品です。光がおりなす空間を最大限に生かしており、幻想的で異空間に迷い込んだような感覚になります。
《開催期間 2016年7月16日〜8月31日》
■DMM.PLANETS Art by team Lab 展覧会サイト
http://www.team-lab.com/news/dmm-planets04
HOUSE VISION
未来の「家」、新しい住まいについて考える
2016年に2回目の開催を迎えた「家」をテーマにした展覧会です。環境に特化した未来の家のあり方を考えることを目的としています。
今回の展示のコンセプトは別れてつながる離れてあつまる。30名の建築家と実際にある企業がペアを組み、暮らしとは何か?ということを一緒に考え、新しい住まいのかたちを作り上げています。
《開催期間 HOUSE VISION1 2013年3月2日〜3月24日 HOUSE VISION2 2016年7月30日〜8月27日》
■HOUSE VISION 展覧会サイト
http://www.ndc.co.jp/news/2016/08/house-vision-2-tokyo-exhibition-開催中です/
ミシェル・ゴンドリーの世界一周 展
映画の世界を実際に体験する
映画監督であるミシェル・ゴンドリーの世界観を感じることができるワークショップ型の展覧会です。
12個ある映画セットを使い、ゲストがシナリオ作りから撮影まで行い、実際に上映会をします。まるで映画の中の世界に入り込んだ気分になれる面白い展示内容になっています。
《開催期間 2014年9月27日〜2015年1月4日》
■ミシェル・ゴンドリーの世界一周 展 展覧会サイト
http://yaplog.jp/nontage_bonbon/archive/3080
Flowers by naked 魅惑の楽園
花の魅力を五感で感じ取る
クリエイティブカンパニーNAKED代表の村松亮太郎さんが行った展覧会です。1か月で7000人超を動員し、Instagramで写真や動画が10000件以上投稿され話題となりました。花を使ったオリジナルのカクテルやアロマミストグッズなどを展開して五感で花を楽しむことをコンセプトに、特に若い女性を中心に人気を集めました。
《開催期間 2016年7月30日〜8月31日》
■Flowers by naked 魅惑の楽園 展覧会サイト
https://output-log.com/2016/01/12/post-1691/
LINK OF LIFE さわる。ふれる。美の大実験室 展
普段あまり考えない感触をもとにこれからの美を考える
資生堂が開催した「さわる」、「ふれる」といった感触をテーマにした体験形式の展覧会です。展示内容は映像作品、インスタレーションなどさまざまな形で展開されています。いろいろなものが触れることによって新しい価値を生み出すということを、作品を通して表しています。
《開催期間 2015年10月23日〜28日》
■LINK OF LIFE さわる。ふれる。美の大実験室 展 展覧会サイト
http://www.cbc-net.com/event/2015/10/link-of-life/
● 最後に
アートを身体で感じられる「体験型」の展覧会は、今までにない展示形式で注目度も高いです。なので、これからもっと発展していく展示だと考えられます。
実際に体験することで、制作に生かせることもきっとあります。
今回の記事を読んで、少しでも「体験型」の展覧会が気になった人は、会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見があると思います。
(2016.9.8)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア