「〇〇さんにアイコンを描いてもらいました!」「配信のサムネイルは〇〇さんにつくっていただきました」個人やYouTuberの方などが、Twitterでそんな投稿をしているのを見たことはありませんか?
私(ライター・きのさん)も現在まで約6年間、500件以上の有償依頼を受けてきました。そんな私から、値段設定から納品まで、有償依頼の流れをご紹介します!
編集・執筆 / KINOSAN , YOSHIKO INOUE
もくじ
●はじめに 有償依頼の流れと心得
●無理のない納期を設定するために。作業時間の目安を考える
●経験者の例を参考に。値段を設定する
●イメージの齟齬がないように。ヒアリングシートを用意する
●いざ依頼を受けよう!受注依頼の発信は?
●最後に その他トラブル回避のためにできること
●はじめに 有償依頼の流れと心得
▼筆者の制作したものの一部です
SNSを活用すれば、個人間でも気軽にイラストの有償依頼ができる時代。まずは全体的な流れと心がけをお話しします。有償依頼を受けることで、作品数が増えることはもちろん、制作スピードの向上やコミュニケーションなどいろんな学びがありました。これから始めたい方はぜひ参考にしてみてください。
※注:あくまで筆者の経験を元にした内容です。
有償依頼の大まかな流れ
(1)値段設定や条件をある程度決めて発信→依頼の連絡を受ける
(2)ヒアリングを行う
★前払いの場合、ココで入金確認
(3)ラフ制作〜確認、修正
(4)線画、着色〜必要に応じて確認、修正
(5)本制作〜納品
★後払いの場合、ココで入金確認
※入金時期や確認/修正回数などは条件により変動
これまでさまざまな依頼内容を受けてきましたが、有り難いことにトラブルに巻き込まれたことはありません。トラブル防止に役立っていると思う心がけはこの3点です。
・納期は必ず守る
・指示された内容だけではなく、自分から提案もする
・早くて細かい連絡と確認
この心がけのおかげで、自然とリピーターも増えたかなと思います。納期を必ず守るには、自分の作業時間の目安を把握している必要があり、自分からデザインの細部を提案するにはある程度のヒアリング力が必要です。
作業時間・値段設定・ヒアリングなどを解説していきます!
●無理のない納期を設定するために。作業時間の目安を考える
基本的に納期は、依頼内容のボリュームと自分の作業にかかる時間、その他の予定などを加味して設定すると思います。特に美大生などの場合、学校課題とバッティングしておろそかになってしまったら本末転倒ですよね。作業時間の目安がわかると時間管理と仕事のコントロールができるので、上手に進めることができます。
私の例を挙げてみます。アイコンや立ち絵などのイラスト全般をキャラクター詳細から考える場合です。
上記は所要時間3日間の例ですが、キャラクター設定が細かく決まっていて、表情差分のみをつくる案件もあります。その場合は、作業内容が少ないので3時間くらいで仕上げています。(数年間、案件数をこなして作業スピードがだいぶ早くなったので、最初はもっと時間がかかっていました。ご自身の普段の制作時間と照らし合わせて考えてみてください!)
作業時間の目安がわかったら、クライアントに共有するときは「修正なども含めたスケジュール」を伝えましょう。例えば、
・ラフ案はいつまでに提出する
・途中経過はいつまでに提出する
・最終納期はいつ頃希望か、こちらはできそうか
などに分けて、スケジュールを提示・相談しておくことがおすすめです。また納期を守ることは必須ですが、可能であれば納期よりも少し前に提出できるとクライアントも安心でしょう。
●経験者の例を参考に。値段を設定する
イラストの値段設定についてはさまざまな考え方があると思いますが、SNS経由のイラスト有償依頼を6年ほど行ってきた経験則で基準を出してみました。あくまでひとつの例ですが、参考にしてみてください。
金額テンプレートの一例(きのさんの場合)
■ アイコン:6000円前後
■ グッズ絵(バッチやスタンプ):8000円前後
■ You Tubeや配信などのサムネイル(背景ロゴあり):12000円前後
■ 立ち絵:12000円前後
■ 各種挿絵:6000〜7000円前後
イラスト受注が副業か専業か、依頼内容などによっても異なると思います。金額表に載せたい情報を書きだし、整理していきましょう。
ちなみにアイコン制作の値段は、1500円からスタートしました。買いやすい価格にして、まずはたくさん受けてみたいという思いがあったからです。最初の頃は、とにかく場数を踏み多くの経験を積んで慣れることが大事だと思います。実績が増えたり、経験がついたり信頼を得てから値段を上げていきました。
●イメージの齟齬がないように。ヒアリングシートを用意する
ヒアリングシートは、デザインの依頼内容を整理し、クライアントの要望や必須項目を漏れなく把握するために必要なものです。ヒアリングシートをきちんと用意することで要望を正しく、深く理解することが可能となります。確認事項をまとめてテンプレートを用意しておくとすごく楽です。私の場合は以下のような項目をヒアリングシートに入れて、回答してもらっています。
■ 性別
■ 目の色、形
■ 髪色、髪型
■ 服装
■ ポーズ、表情
■ 背景
※この画像そのままの使用は禁止です。
この回答をもらう際に、クライアントから制作して欲しいイラストのイメージ画像ももらえると良いです。スムーズに進み、要望に近いイラストが描けるでしょう。予め用意をお願いしておくと良いと思います。
その他にも状況に応じて確認事項は異なると思うので、必要なものを検討してみてください。
・イラストの背景を透過したものはいるのか
・商用利用するのか
・イラストにクライアントの名前を記載した方がいいか
・作者の制作実績として使用してもいいか(ポートフォリオ)など
●いざ依頼を受けよう!受注依頼の発信は?
受注依頼の発信は、一般的にはpixivやTwitter、Instagramなどが挙げられます。私は主にTwitterで行っています。Twitterは他のSNSに比べて気楽なのと、新しいフォロワーさんとの出会いも期待して使っています。
クライアントは依頼を受ける側がどのような人物なのかを気にしていると思うので、これまでの活動が画像一覧やツイートの様子で伝わるアカウントになっていると判断の前向きな材料になるでしょう。
●最後に その他トラブル回避のためにできること
有り難いことに私は経験がありませんが、「〜〜を持ち逃げされた」「〜〜の時点で逃げられた」などのトラブルを聞いたことがあります。防止するために自分にできることを考えてみました。
・仲介サイトを通す(skeb、ココナラ、SKIMAなど)
・SNS経由で納品する場合、画質を下げたりサインを入れたり画像を縮小したものを渡す
依頼を受けるイラストレーターも依頼主も気持ちよくコミュニケーションができるように、お互いに気をつけていきたいですよね。
「この人に依頼して良かった」「次も依頼したい」「他の人にも紹介したい」そう思ってもらえるように、真摯に、丁寧に対応を行っていくと信頼も高まると思います。私はクライアントをお待たせしたくない思いで、依頼をずっと受けてきたら筆がとても早くなりました。有償依頼は自分のスキルアップに繋がるので、皆さんもやってみてください!
▼案件実績を公開可能なら……ポートフォリオに更新してみよう!
きのさんも使った!ポートフォリオサイトViViViT
(2023.4.18)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア