普段、通勤・通学で駅を利用している人は多いかと思いますが、駅の建物のデザインに目を向けたことはありますか?待ち合わせや旅行、普段の生活など、駅で長い時間を過ごすことがあると思います。今回は、そんな待ち時間に利用するだけでも楽しくなるような、建築の美しさが味わえる、個性的なデザインの駅をご紹介します。
編集・執筆 /RINA SAITO, AYUPY GOTO
目次
●建築として美しい!駅の施設に目を向けてみよう
●個性的なデザインの駅をご紹介
●最後に
●建築として美しい!駅の施設に目を向けてみよう
日常生活で何気なく利用している駅ですが、近年では、有名な建築家が駅の建築を手がけることが増え、機能性と美しさを兼ね備えた駅が増えてきています。
広く知られているグッドデザイン賞を受賞する駅も増え、機能面だけではなく、駅舎のデザイン性の高さが注目されてきているのです。グッドデザイン賞の他にも、唯一、鉄道関連のもののみを対象とした国際的なデザインコンペティションである、ブルネル賞などがあり、日本の駅舎や車両なども多くの賞を受賞しています。
●個性的なデザインの駅を紹介
JR東京駅
東京駅は、日本銀行本店などを手がけた、明治を代表する建築家である辰野金吾(たつの・きんご)によって設計され、1914年に完成・開業しました。現在は、丸の内側の改札口のみがレトロな印象を受ける開業当時のままの建築となっており、赤レンガ駅舎とも呼ばれています。
第二次世界大戦の際に、東京大空襲にて駅舎の大半の部分が失われ、復旧作業が行われましたが、焼失の激しい部分は仮復旧となり、その後は60年以上そのままの姿で使われていました。ですが、東京駅開業100周年の時に、2012年に開業当時の姿に復元され、現在の姿になったのです。日本の鉄道の中心地でありながら、国の重要文化財にも指定されてる建築となっています。
近くのアートスポット
・東京ステーションギャラリー(駅構内)
・ブリヂストン美術館
・三菱一号館美術館
・出光美術館
・東京国立近代美術館
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高尾山口駅
高尾山口駅は、 根津美術館やスターバックスコーヒーの太宰府天満宮・表参道店などを手がけた建築家である、隈研吾(くま・けんご)氏によって設計され、2015年に完成しました。現在は、2020年の東京オリンピックにむけて新設されている、新国立競技場の設計も担当しています。多摩産の杉材を使い、建築を通して「地産地消」の考えを実践し、木の温かみが感じられる、「大和張り」や「千本格子」と呼ばれる木組みの技術を用いた設計になっています。
近くのアートスポット
・高尾山トリックアート美術館
・TAKAO 599 MUSEUM
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JR金沢駅
<引用 | https://grapee.jp/7326 >
JR金沢駅は、白江龍三(しらえ・りゅうぞう)氏が運営する、白江建築研究所によって設計され、2005年に完成しました。東口(兼六園口)にある、金沢伝統の「鼓」をイメージした象徴的な「鼓門」が特徴となっており、門をくぐった先には、国内最大級とされる、無数のアルミの骨組みと一面のガラスで構成された「もてなしドーム」が広がり、異なった美しさを楽しめる駅となっています。
近くのアートスポット
・金沢21世紀美術館
・石川県立美術館
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JR日立駅
<引用 | http://www.g-mark.org/award/describe/39400?token=u1QxmL2nhB >
JR日立駅は、金沢21世紀美術館やルーブル美術館の別館などを手がけた、日立市出身の妹島和世(せじま・かずよ)氏がデザイン監修しており、2011年に完成しました。全面ガラス張りの構造となっており、太平洋に面した立地を生かした、海を一望できるデザインとなっています。駅直結のカフェでも、ガラス越しの海との間にさえぎるものがないため、まるで海に浮かんでいるような景色を楽しむことができます。2012年にはグッドデザイン賞、2014年にはブルネル賞も受賞しています。
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JR宝積寺駅
<引用 | http://www.sankei.com/photo/story/news/160517/sty1605170009-n1.html >
JR宝積寺駅は、栃木県塩谷郡高根沢町のJR烏山線の駅のひとつで、こちらも隈研吾(くま・けんご)氏によって設計され、2008年に完成しました。駅舎のみだけでなく、駅を中心とした周辺の建築のデザインも手がけており、駅の東側には、栃木県で採掘される「大谷石」を使用した、独特なデザインである、コミュニティースペースの「ちょっ蔵広場」などが広がっています。2008年にはブルネイ受賞を受賞しています。
近くのアートスポット
・栃木県立美術館
・宇都宮美術館
・栃木県立博物館
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上州富岡駅
上州富岡駅は、群馬県富岡市にある上信電鉄上信線の駅のひとつで、武井誠(たけい・まこと)氏と鍋島千恵(なべしま・ちえ)氏によって運営される、建設事務所のTNA(ティー・エヌ・エー)によって設計され、2014年に完成しました。世界文化遺産に指定されている富岡製糸場の最寄駅なこともあり、異なった色のレンガの壁を構成するなど、富岡製糸場を意識した現代的で斬新なデザインになっています。2014年にはグッドデザイン賞、ブルネル賞を受賞し、2015年には日本建築学会賞を受賞しました。
近くのアートスポット
・富岡市立美術博物館
・群馬県立自然史博物館
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なにわ橋駅
なにわ橋駅は、大阪府大阪市の京阪電気鉄道中之島線の駅の一つで、「光の教会」として知られる茨木春日丘教会や表参道ヒルズの建築を手がけた、大阪市出身の安藤忠雄(あんどう・ただお)氏によって設計され、2009年に完成しました。曲面の壁にはLED内蔵のガラスブロックが使用されており、細かい濃淡の光が表現できる造りとなってます。道路を挟んで、駅への出入り口が対となって建てられており、ホーム壁面には、近くにある大阪市中央公会堂をイメージしたテラコッタ(素焼きのレンガ)が使われています。2009年にはグッドデザイン賞、メセナアワード2009 文化庁長官賞を受賞しました。
近くのアートスポット
・大阪市立東洋陶磁美術館
・国立国際美術館
・絹谷幸二 天空美術館
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●最後に
駅は、旅行の出発・到着地や、中継地点として利用されることが多く、目的地への通過点として「おまけ」のような存在になりがちだと思います。ですが、駅自体に目を向けて見ると、実は駅が旅のメインとなるような、デザイン性の高い建築が沢山存在します。斬新で独特な駅の建築を目標に、ぜひいろんな場所に足を運んでみてはいかがでしょうか?
(2018.10.05更新)
(2017.9.10)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア