日本に古くから伝わる、和装本をご存知でしょうか?和装本とは、日本の伝統的な製本された本のことをいいます。和装本の本の綴じ方やかたちは、どれも非常に美しく、日本人が古くから書物を大切にしてきた思いが伝わるものです。また、普段私たちがよく手にする、文庫本やハードカバー本といった並製本・上製本とは違った、本の高貴さや温もりを感じるものばかりです。今回はそんな、日本伝統の本の装幀、和装本についてご紹介していきたいと思います。
編集・執筆 / ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO
● 日本伝統の本の装幀について
和装本とは
和装本とは、日本伝統の製本方法で製本された本のことをいい、和本と呼ばれることもあります。小口袋が多く、とじ、表装には種々の工夫がこらしてあります。和装本は大きく二つの製本方法に分かれています。
●糊を使った製本
・巻子本 ( かんすぼん )
紙を何枚かつないで、軸と表紙をつけた巻物。書物の装幀としてもっとも古くから伝わるものです。
・折本
巻子本を端から一定の幅で折りたたんでいき、前後に表紙をつけたもの。
・旋風葉( せんぷよう )
折り本の前と後ろの表紙を1枚の紙、または布に貼り付けて全体をくるむようにしたもの。
●糸を使った製本
・四つ目綴じ
袋綴じ本の綴じ目が4つあるもの。
・五つ目綴じ
袋綴じ本の綴じ目が5つあるもの。朝鮮綴じ、五針眼訂法ともいいます。
・康煕綴じ ( こうきとじ )
四つ目綴じの角きれの部分に、糸を縦横に掛けたもの。中国清朝の、康煕帝が始めたといわれています。
・麻の葉綴じ
綴じ上がった糸の模様が麻の葉模様を見立てていることから、麻の葉綴じと呼ばれています。糸の模様が装飾的な綴じ方です。
・亀甲綴じ ( きっこうとじ )
綴じ上がった糸の模様が亀の甲羅に似ていることから、亀甲綴じと呼ばれています。
● 本の箱、帙・函とは?
函(箱)
<引用 | http://www.fukushi-seihon.com/book06 >
函(箱)とは本を保護するために作られた紙函のことをいいます。函(箱)の形態には、共蓋式箱(被せ蓋式)、サック式函(差し込み式)・蓋付き本函・夫婦函などがあります。差し込み式のものは「函」、共蓋式(重箱型)のものを「箱」と区別しています。
帙
帙とは、和装本を包んで保存する装具のことをいいます。厚紙を芯とし、表に布が貼られています。帙には、無双帙、鏡帙、しほう帙、つばくろの種類があります。
・無双帙(巻帙)
<引用 | https://www.k-shokoan.jp/布張りケースのページ/ >
標準的な帙の仕立て方で、上蓋、中蓋、底の三つの部分が溝で接合されています。
・四方帙
<引用 | https://www.k-shokoan.jp/布張りケースのページ/ >
四方帙は同じ著者の複数の本や、同じ傾向の本を一つにまとめるように作られたもの。形としては、無双帙の底の部分、天地に羽(袖)が付いています。また、上蓋から帙紐を通して爪がつけてあります。
・燕(つばくろ)
<引用 | http://rangai.shop-pro.jp/?pid=77863801 >
四方の蓋の部分がつばくろの羽の形に似ていることから呼ばれています。2本の結びがつけられています。
● 和綴じ製本をやってみよう
今回は針と糸を使って四つ目綴じをしてみたいと思います。
▼ 用意するもの
- 糸
- 針
- マスキングテープ
- のり
- 洗濯バサミ
- 中身( 本文、表紙、裏表紙 )
印をつけます
上と端から1センチのところに印をつけます。その1番目と4番目の間を三等分し、印をつけます。穴を開けます
先の尖ったもので印のところに穴を開けます。端をとめます
本文の中身を今回はマスキングテープでとめます。中身がずれないようにきっちりとめましょう。糸を通します
内側の穴からひとふで書きの要領で綴じていきます。糸がゆるまないように引っ張りながら綴じましょう。最後はきつく縛り、結び目を穴の中に押し込むようにして糸を切ります。完成です
意外と簡単に、和綴じができます。ぜひ違う綴じ方にも挑戦してみてください。
● さいごに
みなさんがよく手にする並製本や上製本以外にも、さまざまな製本方法や装幀のかたちがあります。今回は和装本について触れてみましたが、洋書の本の装幀も美しいものが多くあります。ぜひ図書館などを訪ねて、日本の和装本や色々な本の装幀に触れてみるのはいかがでしょうか。また、ポートフォリオなど自分の作品に繋げてみるのもいいかもしれません。
▽ 製本知識を深めたい方は
あなたはいくつ知ってる?製本知識をマスターしよう
(2017.3.1)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア