みなさんは、先日開催されていた『2017年 武蔵野美術大学芸術祭』に足を運びましたか?あいにく台風の影響で大雨が降ってしまいましたが、そんな中でも、大型プロジェクトは動いていました。
それは【 武蔵野美術大学芸術祭2017プロジェクションマッピング 】です。武蔵野美術大学の芸術祭ではプロジェクションマッピングが恒例行事となっており、なんと今年は武蔵野美術大学生のみで行うという新しい挑戦がありました。今回は武蔵野美術大学芸術祭のプロジェクションマッピングについてクローズアップし、制作者の声も聞いてみたいと思います!編集・執筆 /OSARAGI, AYUPY GOTO
目次
- 1.武蔵野美術大学芸術祭とは
- 2.過去から現在の芸術祭プロジェクションマッピング
- 3.2017プロジェクションマッピング プロジェクトリーダー『清水良広さん』にインタビュー!
- 4.最後に
1.武蔵野美術大学芸術祭とは
【 武蔵野美術大学芸術祭 】は、祭典3日間で毎年約3万人を超える来場数を誇り、美術系大学の中でも国内最大規模の学園祭です。アートファンや地域の方々に支えられ、今年で40周年を迎えました。芸術祭ではキャンパス全体が美術館となり、“1日では回りきれない芸術祭”がウリです。大型テーマパークのような手の込んだ装飾も人気の一つです。
▼ 武蔵野美術大学芸術祭についてはこちら
武蔵野美術大学芸術祭 ホームページ
また、この芸術祭の企画・運営は芸術祭実行委員会によって行われ、基本的に学生に大学が助成・協力する形で進められています。学生の発表の場として、大学が一年で最も活気溢れる3日間です。
そして、今回レポートするのはこの三日間の芸術祭を締めくくる【 プロジェクションマッピング 】です!
2.過去から現在の芸術祭プロジェクションマッピング
まずは、過去に武蔵野美術大学芸術祭で行われたプロジェクションマッピングの様子をご覧ください!近年では芸術祭のテーマに合わせた【 プロジェクションマッピング 】を制作しています。
また、高さ16.5メートル、横幅11メートルという、美術館の巨大壁面を2つも使って毎年プロジェクションマッピングが行われています。みなさんがよく見るスクランブル交差点の中にあるモニターよりも大きく、圧倒的なスケールの演出で来場者を驚かせています。
▼ そもそもプロジェクションマッピングって何?
プロジェクションマッピングって何?|仕事百科
◎2015年
芸術祭テーマ:スパイ
引用:https://www.youtube.com/watch?v=20rGrjsn8Xoツイッターと連携し、#maufesで呟かれた呟きをリアルタイムで拾い、クールな画面がコンピュータのデータベースに潜入しているような雰囲気が伺えます。来場者もプロジェクションマッピングに参加ができ、楽しいイベントになりました。
◎2016年
芸術祭テーマ:妖怪
引用:https://vimeo.com/190075658
プロジェクションマッピングがはじまった直後の妖怪たちの練り歩きの様子が、中央のインフォメーションにマッチしていますね!少しおどろおどろしいですが、なぜか愉快な行進に注目です。
ご覧の通り、芸術祭のテーマごとに作品が作られ、毎年違った味が出ていますね!映像で見ても迫力が伝わってきます。
今までは技術面を補うために他大学の組織と協力をして制作をしていましたが、今回はなんと武蔵野美術大学生だけで作り上げたというのですから驚きです。一体どんな作品になったのか気になりますよね?
……今年のプロジェクションマッピングはこちらです!
◎2017年
芸術祭テーマ:ゲーム
今年の芸術祭のタイトル『ビ×ビット』のゲーム・RPGの世界観から、“リアルからピクセルへの収束”をコンセプトとして制作しているようです。1年生から4年生までの幅広い学年、学科の制作メンバーが自由な発想で映像を作り上げ、それを一本のプロジェクションマッピングにまとめて約15分間上映しています。
【上映タイムテーブル】
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“Museum Projection Mapping 2017” (00:00~07:55)
●00:38~01:52
制作 - 清水 良広 Yoshihiro Shimizu ( 映像学科3年 )
●02:22~04:21
ロボットアームモデリング/ロボットアームモーションデザイン - 石井 怜奈 Reina Ishii ( 映像学科3年 )
時計モデリング/色彩決定 - 水ノ上 花奈 Kana Mizunoue ( 映像学科3年 )
ディレクション/左画面制作/質感決定/効果音/コンポジット - 清水 良広 ( 映像学科3年 )
●04:08~05:12
ロボデザイン - 近藤 墨 Boku Kondo ( 映像学科2年 )
ロボコンセプトモデル - 石丸 史人 Fumito Ishimaru ( 映像学科3年 )
格納庫モデリング - 松島 友恵 Tomoe Matsushima ( 映像学科3年 )
壁崩壊モーション/ロボモデリング - 佐々木 海里 Kairi Sasaki ( 映像学科2年 )
ロボモデリング/ロボセットアップ/ロボモーションデザイン - 小笠原 康太 Kota Ogasahara ( 映像学科2年 )
ディレクション/色彩決定/質感決定/撮影/効果音/コンポジット - 清水 良広 Yoshihiro Shimizu ( 映像学科3年 )
●05:12~05:48
制作 - 藤原 夏郎 Natsuro Fujiwara ( 映像学科2年 )
●05:47~06:42
都市/機関車モデリング - 松島 友恵 Tomoe Matsushima ( 映像学科3年 )
火花/煙演出 - 照山 遥己 Haruki Teruyama ( 映像学科1年 )
ディレクション/質感決定/撮影/効果音/コンポジット - 清水 良広 Yoshihiro Shimizu ( 映像学科3年 )
●06:41~07:03
制作 - 彦久保 奈那 Nana Hikokubo ( 基礎デザイン学科3年 )
●07:03~07:17
制作 - 清水 良広 Yoshihiro Shimizu ( 映像学科3年 )
●07:17~07:30
制作 - 龍田 哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科2年 )
●07:30~07:54
制作 - 清水 良広 Yoshihiro Shimizu ( 映像学科3年 )
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MAU art festival 2017, Grand Finale Video “bibit” (07:56~ )
ディレクション/制作 - 清水良広 Yoshihiro Shimizu ( 映像学科3年 )
制作 - 林賢五 Kengo Hayashi ( 視覚伝達デザイン学科3年 )
制作 - 水口紋蔵 Monzo Minakuchi ( 映像学科1年 )
制作 - 龍田哲郎 Tetsuro Ryuta ( デザイン情報学科2年 )
学生だけで作り上げたとは思えない、クオリティの高い作品ですね!ここまで作り上げる為にどのような過程を踏んできたのでしょうか?そこで今回はプロジェクトリーダーの『清水良広さん』にお話を伺ってみました!
3.2017プロジェクションマッピング プロジェクトリーダー『清水良広さん』にインタビュー!
▼ そもそもVJって何?
VJって何?|仕事百科
◎プロジェクションマッピングにかけた“クリエイティブ精神”
台風の影響もあり準備も大変だったと思いますが、今回のプロジェクションマッピングはどういった点で苦労しましたか?
芸祭準備期間〜当日を記録した後半のダイジェストムービーは、投影日の朝に編集するという怒涛のスケジュールで作られており、腕の見せ所の1つです。
▲Adobe aftereffects、3ds Max、cinema4Dなどのソフトを駆使し、モデリング、モーションデザイン、BGMなどを全て学生自身が制作
ところで、他の美大芸術祭でもプロジェクションマッピングが行われていますが、そのプロジェクションマッピングと武蔵野美術大学芸術祭プロジェクションマッピングではどう違うのでしょうか?
先ほど学生主体でプロジェクションマッピングを上映するのは初の試みと聞きましたが、学生だけで企画が成功した理由は何であると思いますか?
また、台風が直撃する中、企画続行の為に尽力してくださった芸術祭執行部の皆さん、ご協賛くださったコロプラのクマ財団様など、成功へと導いてくださった方々には感謝してもしきれません。
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クマ財団奨学生 ホームページ▼ 奨学金について知りたい方はこちら
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▲清水さんが言っている『消失点』とは本来平行である2つ以上の線を平行でなく書く場合にそれが交わる地点のこと。この消失点を中央に設定すると鑑賞者が空間を把握しづらくなってしまう。
▲このように片側に消失点を設けることで空間の奥行きが把握できるように、2画面が同じ空間であることを認識できる!
― 二つの画面を使う武蔵野美術大学芸術祭のプロジェクションマッピングであったからこそ、この工夫ができたのですね!みなさんには実際にどのようにこの技が使われているか、再度動画で確認していただきたいです!
最後に
今回は【 武蔵野美術大学芸術祭2017プロジェクションマッピング 】についてクローズアップしました!今年のプロジェクションマッピングは他大学の協力を受けず、武蔵野美術大学の学生のみで行うという初の試みでした。プロジェクションマッピングというと、とても難しく、業者でしか扱えないのではないかと思われがちですが、このように周りのフォローを受け、自分たちの力だけで作り上げることも可能なのですね。また、今回 武蔵野美術大学プロジェクションマッピングのプロジェクトリーダーをしていた清水さんの場合、クマ財団というクリエーターを支援する奨学制度をうまく利用していました。この記事をきっかけに、みなさんの中でも“支援を受けながら制作をする”という選択肢が増えたのではないでしょうか。
10月29日のプロジェクションマッピング、筆者も雨の中見守っていましたが、当日はたくさんの人たちが訪れ、プロジェクションマッピングに釘付けになっている様子でした。熱い“クリエイティブ精神”を持っている武蔵野美術大学生に胸を打たれました。今後の清水さんの活躍、そして来年の武蔵野美術大学芸術祭も必見です!
(2017.11.15)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア