ポートフォリオを作る際、「テンプレート」を用いるととても効率的に作り進めることができます。
今回は、大学生時代から今に至るまでポートフォリオのブラッシュアップを続けているライターの牧村(社会人3年目で、グラフィックデザイナーとUIデザイナーとして商業デザイナーの経験を積んでいます)が、テンプレートによる「レイアウトの型」をご紹介します。
執筆 makimura / 編集 YOSHIKO INOUE
テンプレートとは?ポートフォリオづくりがどう捗るのか
テンプレート(template)とは、日本語の意味で言うと「ひな形」のことです。下の画像のように、どこにどういう情報が入るのかあらかじめ決めておくフレームのようなものを指します。(以下テンプレ)
テンプレの使用は、ポートフォリオづくりが楽になるだけでなく、次のようなメリットがあります。
・ポートフォリオ全体に統一感が出る
作品ごとにバラバラなレイアウトになることがないので、ポートフォリオ全体に統一感が出て、読み手に整った印象を与えるとともに、読みやすさが向上します。
・時短になる
テンプレを用いず作品ごとにレイアウトを考えていくと時間がかなりかかるので、初めてのポートフォリオをまずは完成させたい人、急ぎでポートフォリオを作る必要がある人にもおすすめです。
・プレゼンしやすくなる
面接の際に作品について尋ねられた際に、テンプレによってレイアウトが統一されていることでプレゼンしやすい資料としてポートフォリオを活用することができます。
一方で注意点もあります。
ポートフォリオのレイアウトがテンプレ一辺倒だと、単調で作品ごとの魅力や雰囲気を損ねてしまう可能性があります。なので、ときにはテンプレからはずしたレイアウトを意識したり、カラーや装飾などの小さな要素を作品ごとに変化させる工夫も大事です。
とはいえ、まずはテンプレに則って作品をレイアウトしてみませんか。ここからは、作り方を三段階に分けてご紹介します。
こうつくる!テンプレートの作り方一例
他の作り方もありますが、筆者が実践している作り方です。ぜひ参考にしてみてください。
①コンセプトを決める
コンセプトを、ここでは2つ考えます。
・「自分の見せ方」のコンセプト
・「ポートフォリオ自体」のデザインコンセプト
まず「自分の見せ方」のコンセプトは、選考において自分自身をどう見てもらいたいかというものです。企業が自社の事業や雰囲気とマッチしているか判断してもらうために必要なものです。
例えば、「ロゴや広告の制作が得意な人」「チームワークを大切にものづくりをするのが得意な人」「造形力で勝負したい人」などなど……。
難しく感じる場合は気になっている企業を調べてみたり、自身の得意や好きを振り返ってみると考えやすくなると思います!
続いて「ポートフォリオ自体」のデザインコンセプトはポートフォリオの全体の雰囲気をそれぞれの作品にマッチさせるために必要なものです。
例えば「青を基調とした構成、本文には游ゴシック体、英数字はFutura」「制作の海」「楽し気に、シンプルに」など。(後半2つは、本メディアで紹介している内定者ポートフォリオからの引用です。ぜひ見てみてください。)
それぞれの作品のカラーやフォント、雰囲気を振り返って全体と相性の良さそうな、もしくは邪魔しなさそうなものを選定していきましょう。
②ポートフォリオで使用したい素材を並べる
テンプレのデザインを検討する前に、ロゴや写真、イラストなど自身の作品を整理しましょう。やみくもにテンプレだけ作ってしまうと、いざ作品を当てはめる際にうまく配置できない……という失敗に陥ってしまいます。
並べたい素材は揃っているか、この素材は必要かという吟味をしておきましょう!
③コンセプトに照らし合わせ、素材をレイアウトする
①で考えたコンセプトを生かし、②で並べた素材に優先順位を付けます。
優先順位というのは、「企業に見せたい順序付け」のこと。例えばグラフィックと広告が強みというコンセプトであれば、ロゴや写真が目立つようなレイアウトにするなどです。「この作品で自分をアピールするには、なにを押し出すべきだろう」と考えてみましょう。
配置の例をいくつか挙げてみました。参考にしてみてください!
■ロゴを中心に見せる配置(グラフィックに強みが見える)
■写真を中心にバランスよく見せたい配置(ダイナミックな写真に惹かれる)
■ロゴを中心に見せる配置(シンプルなグラフィックが好きそう)
■バランスよく見せる配置(余白が少なくボリューム感がある)
このように大まかでいいので枠でさまざまなレイアウト案を考えてみましょう。そして枠だけでなく実際に素材を当てはめてみて、①で考えたふたつのコンセプトにマッチしているかを判断してみましょう!
■完成案
テンプレを使うことでポートフォリオ作りが楽になったり、クオリティ向上が可能になります。もしポートフォリオ作りに悩んでいたり、改良を考えているのであれば、一つの手段としてテンプレの活用をお試しください!
(2024.4.30)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア