今回ご紹介するのは、わら半紙のような優しい手触りがする、なんとも魅力的な鈴木さんのポートフォリオ。「おしゃれな冊子!」という第一印象が最後まで裏切られず、何度もめくりたくなります。「作品が自分らしさであるのはもちろんのこと、ポートフォリオごと自分でプロデュースする」という姿勢で制作されたポートフォリオを、さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
鈴木芙美乃 さん
東北芸術工科大学デザイン工学部グラフィックデザイン学科
制作会社に内定
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
手に取りたくなる、めくりたくなるビジュアルと仕掛けを表紙に
鈴木さん:自分のパーソナルアイデンティティでもある旗のモチーフを表紙のメインにし、旗をめくると目次になっているという仕組みにしました。表紙をめくるところからワクワクした気持ちでポートフォリオに触れてほしいと思ったため、目につきやすく、かつ手にとりたくなるようなビジュアルと仕掛けにすることを心掛けました。
大まかなトンマナを決め、自由なレイアウトで一冊の本をつくる
鈴木さん:一冊の本を作るような気持ちで制作することにこだわりました。ただフォーマットに収めるだけでは作品の良さや自分らしさを伝えることができないと感じたため、ある程度のトーンとマナーだけ決めその中で自由にレイアウトしました。一冊の中で統一感と動きの両方を持たせることで、見る人にとって飽きのこないものにできたと思います。
手で持った時の質感にもこだわりを!実物もたくさん挟む
鈴木さん:見た目だけでなく手で持った時の質感にもこだわりました。藁半紙のような、ややラフで柔らかさや温かみのある紙を使用しています。両面印刷しても透けないものを探すのには苦労しました。またパーソナルアイデンティティのレターヘッドや自主制作作品の写真集などできる限り実物のものを挟むことで、そのもののスケール感や質感・制作物一つ一つへのこだわりを感じてもらいたいと思いました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
デザイン制作会社、デザイン事務所、広告制作会社
●コンセプト
自分がどんな人間か、デザイナーとしてどうなりたいかを伝える
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自分がどんな人間か、どんな心持ちでデザインをしているか
(パーソナルアイデンティティ作品) - 特に興味があり、得意な分野
(エディトリアル/インフォグラフィックス/ブランディング) - こだわりが語れる学校課題作品
- 自主制作作品
- 自己紹介
- 裏表紙
▼CHECK!セクションごとにステイトメントをつける
SECTION1.わたしをデザインする
SECTION2.わかるをデザインする
SECTION3.価値をデザインする
SECTION4.魅力的なデザインをする
SECTION5.デザインを高める
編集部:ポートフォリオ全体を5つに分類し、セクションの冒頭に2〜3文でデザインへの取り組み方を記載しています。多様なジャンルの作品が続くなかでも、途中で何度も作者本人の考え方・価値観を捉え直すことができました。
●制作時期
大学3年の2.3月ごろ〜
会社を受けるたびに内容もデザインもアップデート
●制作プロセス
(1)作品のピックアップとブツ撮り
(2)Photoshopでブツ撮りデータをレタッチ
(3)InDesignとIllustratorでデータ制作
(4)学校のプリンターで出力
(5)学校の製本機で製本
●制作に使用したソフト
InDesign、Illustrator、Photoshop
●印刷 / 製本方法
全て学校で印刷、製本
●サイズ / ページ数
W215mm×H300mm / 60ページ
●制作にかかった費用
一冊作るのに6000円ほど
●制作するうえで参考にしたもの
大学の先輩のポートフォリオ
就活イベントや座談会などでいただいたアドバイス
●ViViViTページのこだわり、使い分け
鈴木さん:ViViViT(ビビビット)ページは、ViViViTを使用した選考フローなどもあったため、そちらで活用させていただきました。就活中は紙ポートフォリオをメインに使っていました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
鈴木さん:私はもともとエディトリアルデザインとブランディングに興味があったため「このポートフォリオ一冊で両方の力が活かせる!」というポジティブな気持ちが伝わるように、楽しみながら制作しました。作品が自分らしさであるのはもちろんですが、それを見る人にどう受け取って欲しいのか考え、ポートフォリオごと自分でプロデュースすればより自分らしい一冊になるのかなと思います。ぜひ楽しんで作ってください!
はたらくビビビット編集部より
鈴木さんのポートフォリオのコンセプトは「自分がどんな人間か、デザイナーとしてどうなりたいかを伝える」というもの。それを象徴するように、冒頭の作品はお名前の頭文字である「F」にちなんだデザインで、表紙にも使われています。表紙の「旗」部分は形に沿って切り取られており、第一印象から見る人を楽しませる仕掛けが施されています。
そして、中の作品レイアウトのバリエーションが豊か!全体感のわかるものや大胆にトリミングされたもの、角度をつけてレイアウトされたものなど、見る人を飽きさせずに最終ページまで連れて行ってくれます。しかしながら、設定されたトンマナのおかげで一冊全体には統一感があります。読者の皆さんも、レイアウトやデザインのヒントがたくさん見つかったのではないでしょうか。
鈴木さん、ありがとうございました!
(2019.12.9)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア