プロジェクトやイベント企画の経験をポートフォリオでアピールしたい!でもアウトプットが見えづらく、まとめ方がわからない……。そんな悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
アート展示の企画から設営までを担う「アートカタリスト」に内定したR.Sさんのポートフォリオを見ると、ある8項目でまとめられていることがわかりました。自身の経験からなる強みをしっかり理解し、それが表現されたポートフォリオです。さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / AYAKA SHIMOYAMA , YOSHIKO INOUE
ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント
■8項目を抑えるべし!プロジェクトをまとめるコツ
編集部:R.Sさんは冒頭のプロジェクトを「目的、ターゲット、スケジュール、担当箇所、解決策、実際の様子(写真)、フィードバックと改善策、自身の学び」の8項目でまとめています。その結果、プロジェクトがどんなもので、何のために、どのように進められたのか、高い解像度で理解できます。アウトプットの見えにくいプロジェクトも、この項目に沿って整理するときれいにまとまりそうですね!
冒頭のプロジェクトページをフルで掲載します。8項目の具体例を画像でご覧ください。
▼クリックすると拡大表示します!
PROFILE
R.S さん
千葉工業大学大学院 創造工学研究科 デザイン科学専攻
稲坂研究室 修士2年(2023年2月現在)
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
人柄を表す自己紹介ページは客観的な意見をもとに調整
R.Sさん:自己紹介ページは一番最初に見るページであり、人柄が出るページだと思っているので言葉選びにすごく悩みました。自分の考えや大事なことを過不足なく伝えられるように、たくさんパターンを作っていろいろな人に見せ、どう捉えられるのかを考えながら調整していきました。
興味を惹きたい“作品の冒頭ページ”は情報の取捨選択にこだわる
R.Sさん:「notocoro store」というプロジェクト(画像参照)は先輩の代から引き継いだものであり、前提の説明と自分たちの活動をどのように、どの程度詳しく説明すべきか悩みました。特に作品の冒頭ページは、情報を分かりやすく且つ興味を持たせられるようにレイアウトや情報量を試行錯誤しました。
イベント企画は成果がダイレクトに伝わる写真をメインに
R.Sさん:ハロウィンイベントの解説ページでは、素晴らしい成果が得られたことを伝えられるような魅力的な写真を選んでいます。文章は最小限にしながら、得られた成果や自身が学び得たことを伝えられるように制作しました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
UXデザイン、サービスデザイン、ディスプレイデザイン、空間デザイン、建築系スタートアップ(デジタルファブリケーション、コンピュテーショナルデザイン系)
●コンセプト
他分野に渡るスキルや知識をアピールできるポートフォリオ
R.Sさん:私はデザイン科としてユーザー体験を考えることや、グループプロジェクトの実行、マネジメントを行ってきました。一方で空間やものづくりにも興味があり、設計や制作、コンピュテーショナルデザイン系のスキルの習得も行ってきました。その多分野に渡るスキルや知識が自分の長所だと考えて制作しています。デザイン系の業界であれば空間設計や制作の経験のような「ものづくり」の観点で考えられること、空間系であればUX、UIの観点を持っていることがアピールポイントになると考え、業界に対して作品を絞るのではなく多様さを見せられるように意識しました。結果としてどこに出しても少し珍しいポートフォリオになったと思います。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介
- 目次
- プロジェクト企画制作運営(空間、グループワーク)
- イベント企画製作運営(グループワーク)
- 空間設計
- その他の作品
●表紙をつくるときに工夫した点
R.Sさん:表紙はあまり時間をかけられませんでしたが、シンプルで思いのこもったものにしようと考えて制作しました。実際に使用したのは、プロジェクト作品である「notocoro store」の制作に使ったデジタルファブリケーションの切削跡の写真です。自身がものづくりを大事にしていることや、今までやってきた軌跡という意味を込めました。
●制作時期
大学院1年生の3月〜7月
●制作プロセス
(1)作品をピックアップ
(2)miro等で情報整理
(3)Illustratorで作成
(4)先生などからフィードバックをもらいブラッシュアップ
●サイズ / ページ数
A3サイズ / 28ページ
●ポートフォリオ制作に使ったソフト
Illustrator、Miro、Rhinoceros、V-Ray
●印刷 / 製本方法
なし(データ提出のみ)
●制作にかかった費用
なし
●制作するうえで参考にしたもの
大学の先輩、同期のポートフォリオ
●ポートフォリオを使ったプレゼンで工夫したこと
R.Sさん:デザイン系の企業であれば空間系で得た知見や考え方を、空間系の企業であればデザイン系で得た知見や考え方をアピールできるように心がけました。
●制作中にもらったアドバイス
R.Sさん:研究室の先生や先輩、同期などに見せて、主に自身が伝えたいことと見た印象とのギャップを聞いて改善しました。また「取り組み内容を全て説明するのではなく、相手に伝えるべきこと、伝えたいことを選んで載せるべき」とのアドバイスをもらいました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
R.Sさん:一人で100%の状態を目指すのは非常に難しいので、とにかく50%でも70%でも作って誰かに見せましょう。とりあえず作る、とりあえず見せる、とりあえず出すの試行回数を増やすことが良いポートフォリオを作るための近道だと思います!
編集部:アウトプットのみならず、企画の過程までが詳しく伝わるポートフォリオでした!R.Sさん、ありがとうございました!
R.Sさんも使った!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2023.2.6)
著者
下山絢香
株式会社ビビビットの社員です。大学時代に学んだサービスデザインやUXデザインの知識を活かし、地域や学校に関係なく、すべてのクリエイターが納得のできる居場所を見つけられる世界を目指してViViViTの広報活動に取り組んでいます。
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