今回ご紹介するのは、美大を卒業し、IT業界のエンジニアとして働いている北原さんの就活ポートフォリオです。デザイン性の高さを突き詰めるよりも、“いかに面接でプレゼンボードとしての役割を果たすか”を重視してつくられています。
学生時代「何に・どう」取り組んだか、20ページでわかりやすくまとまったポートフォリオ。さっそく覗いてみましょう!編集・執筆 /YOSHIKO INOUE
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
デザイン・エンジニアリング両方のスキルがあることを伝えるために
北原さん:近年の選考では、ただエンジニアリングに関する知識や熱意があるだけでは印象が薄いと考え、“デザインとエンジニアリング両方の経験を持つエンジニアの必要性”や、“ならではの志望理由”を面接官の方に伝えたいと思っていました。ポートフォリオは、その手段として使いました。
「学生時代の活動」を分類してまとめた目次ページ
北原さん:学生生活の中で行ってきた仕事の内容を「Management」「Record」「Design」の3種類に分類しました。ポートフォリオを見ながら話をするときに、自分が話しやすくなるような構成で分類しています。「Management」では自分の所属している学科で学んだことを、「Record」では高校生から続けてきている活動のことを、「Design」では大学に入ってから挑戦したことを話せるような構成にしました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
広告・Web・IT業界
●コンセプト
シンプル
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- もくじ
- プロフィール
- マネジメントワーク(舞台制作)
- レコードワーク(記録映像・写真)
- デザインワーク
(冊子・イベントビジュアル・Webデザイン) - 奥付
●制作時期
大学3年生の1月頃
●制作プロセス
- 作品のピックアップ
- InDesignでデータ制作
- 印刷会社でプリント
- ファイリング
●サイズ / ページ数
A4横位置 / 20ページ
●制作に使用したソフト
Illustrator、InDesign
●印刷 / 製本方法
印刷会社でプリント / ファイリング
●制作にかかった費用
3000円程度
●制作するうえで参考にしたもの
友人からのアドバイス
●制作中にもらったアドバイス
北原さん:ポートフォリオ面談のイベントに参加して、全体のバランスやシンプルだからこそ気をつけるべき細かな余白の使い方等のアドバイスを教わりました。また、一緒に仕事をしていた友人が、ポートフォリオに載せたほうがいいコンテンツを一緒に検討してくれました。
●ViViViTページのこだわり、使い分け
北原さん:ViViViT(ビビビット)はポートフォリオサイトなので、紙媒体では伝えることが難しい作品の情報(動画のリンクなど)を多く掲載しました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
北原さん:私の受けた会社は、ポートフォリオ自体が必須ではない企業や面談形式の企業が多く、ポートフォリオは面接時の飛び道具的なアイテムとして制作しました。どの業種や職種でも、面接時にポートフォリオがあれば話のネタになります。自分が作った作品に対してどれだけ語れるか・言語化できるかが、ポートフォリオの肝ではないかなと私は考えています。
レイアウトの美しさや冊子の製本方法等で悩んだりする方が多いとは思いますが、一度これまで作った作品がどのようなものだったのか向き合ってみると、自分が本当にやりたいことや載せる作品がはっきりしてくると思います。
はたらくビビビット編集部より
このポートフォリオを使い、エンジニア職と映像クリエイター職の内定を得た北原さん。デザイナー以外の職種では、多くの場合ポートフォリオ提出が必須ではありません。ですがどんな職種の選考でも、「これまでどんな活動にどう取り組み、そこからどんなことを学んだか」を伝える必要があります。舞台やワークショップなどものづくりより“ことづくり”のアウトプットが多い北原さんのポートフォリオでは、それぞれの活動写真が美しくきれいにまとまっています。「デザイナーとしてのスキルをはかるため」ではなく「自身の制作や活動を言語化するため」という目的でポートフォリオを作成するときは、自身が語りやすい構成、見せ方で仕上げるのがおすすめです。面接でのプレゼンをシミュレーションしながら、説明しやすい写真の大きさや必要な情報、文字の入れ方などを検討してみてください。
北原さん、ありがとうございました!
(2020.6.22)
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア