どんな作品も美しく支える、“普遍的な入れ物”としてのポートフォリオ|UIデザイナー

今回ご紹介するのは、UIデザイナーの門田さんのポートフォリオです。ポートフォリオデータと別に、コマ撮りしたgif画像も用意していた門田さん。就活時に使うプレゼンツールにとどまらず、「将来的に作品を追加したり内容の柔軟性を持たせたり、普遍的な入れ物としてのポートフォリオを目指した」と語りました。細部までこだわりが詰まったハイクオリティなポートフォリオは、UIデザイナー志望の方はもちろん、グラフィックデザイナー志望の方など多くの方に見ていただきたいです。さっそく覗いてみましょう!編集・執筆 /YOSHIKO INOUE

 

門田 優 さん

1996年宮城県生まれ。東北芸術工科大学プロダクトデザイン学科卒業後、主にUI系のデザイナーとしてビジュアルデザインスタジオ WOWに入社。在学中は、個人的にグラフィックを作ったり、UI系のインターンに参加したり、卒業制作では3Dプリンタを用いてフォントをモチーフにした食器を作ったりと、幅広い領域で制作をした。
ポートフォリオサイトBehance

 

PICK UP!ポートフォリオのこだわり

“埋もれない”ための普遍的でミニマルなデザイン

門田さん:ポートフォリオの佇まいそのものが作者の人間性や創作に対する意識を表現すると思い、エディトリアルデザイン、ブックデザインを本気でやるつもりで作りました。
いろいろな分野の作品を一つの作品集にまとめるにあたり、ポートフォリオ自体は普遍的でミニマルなデザインにしたいと思いました。けれども、多くのポートフォリオの中で空気にならない、印象深さに繋がる存在感を出したくもありました。
その考えに基づき書体はHelvetica Neue、中ゴシック、見出しゴを選び、製本はバインダー形式をとっています。バインダーで厚みと硬さ、紙と金具の素材感のコントラストを出しています。また各セクションの見出しページは右側にタブをつけて、どのページを開いているときでも別セクションに移動できるようにしました。
 

どんな作品にも対応する美しいフォーマット

門田さん:将来的に作品を追加したり内容の柔軟性を持たせたりできる、普遍的な入れ物としてのポートフォリオを目指しました。そのためページ数は入れず、作品を紹介するための統一されたフォーマットを作りました。すべての要素を最初に定義したグリッドシステムに基づいて設置し、強力な統一感を出しています。
 

作品を魅せる余白・レイアウトの検討を重ねる


門田さん:全体のシンプルさと統一感、素材感にも気を使っています。作品を見せるための心地よい余白や、邪魔にならないレイアウト、フォント選択などにこだわりました。使う写真も明るさや色味を丁寧に調整し、印刷したときにありがちな、暗すぎる・解像度が足りないといったことがないように注意を払いました。

 

ポートフォリオ一問一答

●このポートフォリオを提出した業界

デザイン業界

●コンセプト

ミニマルながら存在感のあるポートフォリオ

●ポートフォリオの構成

  • 表紙
  • Profile
  • Graphic(自主制作や大学課題)
  • Interactive
    (インターンでの作品や大学課題)
  • Product(大学課題)
  • Photo(自主制作)

 

●制作時期

構想:大学3年生の9月〜
制作:大学3年生の1月〜4年生の5月

●制作プロセス

1. 作品をピックアップ
2. 仕様、デザインの方向性検討
3. InDesignで試行錯誤(文字組みなどフォーマットを作る、何度か作り直す)
4. 学科のプリンタで印刷
5. 規定のサイズに裁断
6. 製本、ファイリング

●サイズ / ページ数

A4 / 87ページ

●制作に使用したソフト

InDesign、Photoshop

●印刷

市販の少し厚めの紙(レーザープリンタ用)に手差しで両面印刷

●製本

市販のバインダーに印刷した紙を貼ってカスタマイズ

▼想定のデザインに合うバインダー(この場合は外側が白、内側が黒)のものを選び、完全オリジナルのように見せた

●制作にかかった費用

バインダー代、紙代、印刷代合わせて4,000円ほど

●制作するうえで参考にしたもの

図録、海外のポートフォリオや雑誌、ブランドのコンセプトブックなど
mane tatoulian graphic design branding
Paco Rabanne Visual Identity Guidelines
Neue Grafik
niko and… Essential Dictionary
New York City Transit Authority 1970 Graphics Standards Manual
The Most Beautiful Swiss Books 2016
SUBTLE―サトル かすかな、ほんのわずかな

●ViViViTページのこだわり、使い分け

門田さん:ViViViT(ビビビット)とBehanceはWEBポートフォリオとして、企業側からの連絡手段として使っていた。紙ポートフォリオは実際に面談や面接に行ったときに見せたり、卒展で自分のブースに置いて見てもらったりするのに使った。

●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス

門田さん:こだわればこだわるほど良いと思います。1回で満足いくものを作るのは難しいので、改善を繰り返しながら作っていきましょう。ポートフォリオ自体が自分の代表作になるくらいの気持ちで。

 
 

はたらくビビビット編集部より

プロダクトデザイン学科に在籍し、現在はUIデザイナーとして働く門田さん。ポートフォリオの厚みや凝った装丁から、作品の質と量はもちろん、制作にかける熱のようなものが静かに伝わってきました。
門田さんは、このポートフォリオのゴールを「就職活動での内定獲得のため」という一時的なものではなく「将来的に作品を追加したり内容の柔軟性を持たせたりできる、普遍的な入れ物」と設定しています。そんな“普遍さ”を成立させるべく、参考資料は海外のポートフォリオやコンセプトブックなど多種多様。クオリティラインがかなり高く設定されています。
ポートフォリオは「作者の人間性がにじみ出るもの」と言われる分、制作の際は「自身を表現する、美しくセンスのあるものをつくらなければ」というプレッシャーを感じてしまうものです。門田さんもそんな高い意識を自分に課し、人並み以上の試行錯誤を繰り返して、納得のいくポートフォリオを完成させたのだと思います。
門田さん、ありがとうございました!

 

門田さんも活用した!ViViViTでポートフォリオをつくってみる

 
 

(2020.7.14)
Yoshiko Inoue

著者紹介

井上佳子Yoshiko Inoue

はたらくビビビット編集長。 株式会社ビビビットの社員です。メディアを通し、制作活動やデザイナーの就活に役立つ情報を発信していきたいです! Twitter
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