ビジュアル、見出し、説明文。情報の段階を整理し美しく読ませるポートフォリオ|プロダクトデザイナー

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今回ご紹介するのは、大手メーカー・プロダクトデザイナー職へ新卒入社したYさんの就活ポートフォリオです。「“ポートフォリオもプロダクト”という意識で、高いクオリティを目指して仕上げた」と話していました。
大手メーカー企業に務めることが出来るポートフォリオには、一体どんなこだわりが詰まっているのでしょうか。さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / YOSHIKO INOUE,AYUPY GOTO

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R.Yさん

金沢美術工芸大学 製品デザイン専攻卒業
2018年4月〜電気機器メーカー プロダクトデザイナー

PICKUP!

まず、ポートフォリオのなかで特にこだわった部分を教えていただきました。

情報の段階を意識し、ビジュアルで伝える

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Yさん:このページは、「1つのページに1つの内容」ということを意識し、気持ちよく読み進めることと、大胆で迫力のあるビジュアルを狙いました。
業界や企業によっても異なるかと思いますが、基本的にポートフォリオは、“限られた時間の中で素早く見られるもの”という認識で制作しました。特に製品やサービスの説明ページは、分かりやすいこと、美しいこと、見ていて楽しいことを重要視しました。
情報の段階は下記のように意識しています。こうすることで、見る側が気になった所は詳しく知ることができ、それ以外はテンポよく読み進めることができます。

①文字や文章を読まなくても伝わるビジュアル
②分かりやすくキャッチーな見出し
③過不足なく伝わる詳しい文章説明

作品ごとに「どの制作プロセスを見せたいのか」を選んで構成

yamada_3Yさん:製品やサービスの紹介だけでなく、制作プロセスを載せることも重要だと思っています。しかし、行ってきた制作プロセスをそのまますべて載せるのではなく、作品ごとに編集して構成し直すようにしました。例えば、造形にこだわった作品では模型製作のプロセスを強調したり、スケッチのスキルをアピールするためにあえてスケッチのみを一面に配置したページを作ったりしています。このページはポートフォリオの一番初めにくるプロセスページなので、普段どのように進めているのかを全体的に伝える構成にしています。

詳しい説明が必要な作品は、情報に段階をつける

yamada_2Yさん:この作品はIoT (Internet of Things) の視点から、カメラ (プロダクト) とサービスやシムテムを全体で提案するという内容だったので、サービスの内容や使い方などを説明する必要がありました。そういった作品の場合「一枚の画像で、一言で説明する」のは難しいので、イラストと文章を時間軸で構成し、ストーリー的に説明する方法をとりました。
しかし、専門的な知識を共有できている方には隅から隅まで見ていただく必要性は低いので、情報に段階をつけました。チェックマークの付いた部分(4,6,9)がこの提案で最も伝えたい内容、その次に内容の輪郭が伝わるような見出し、そして詳しい説明文という構成にしました。

ポートフォリオ一問一答

●制作した時期

毎課題ごと。本格的に印刷したのは、大学3年生の夏

●コンセプト

デザインへの熱意、造形力のアピール

●掲載した作品内容

プロダクトデザイン(それに付随したサービスやシステムも含む)、家電製品、家具、映像機器、日用品
今までの作品の中からクオリティが高い5つを選抜

▼作品のポイントを説明するページ。製品カタログのよう!

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●サイズ・ページ

A3横/45ページ

●作成に使ったソフト

Photoshop、CameraRaw、Illustrator、Keyshot、Rhinoceros、Indesign

●ポートフォリオの制作プロセス

【普段の課題のとき】

  1. 課題や自主制作で作品を制作
  2. 作品撮影、Photoshopで写真加工
  3. IllustratorやIndesignでA3横などにまとめる

【就活用につくるとき】

  1. 受けたい企業を考える
  2. その企業に対してどのようにアピールするか、どう見てもらいたいか考える
  3. ポートフォリオの構成を考える
  4. 過去のポートフォリオをIllustratorやIndesignで再構成する
  5. 必要に応じて作品撮影や加工を行う
  6. 出力などをして他人に見てもらう
  7. 修正改善をくり返す
  8. 最終的にインクジェットプリンターで出力
  9. キンコーズで裁断、製本

●印刷・製本方法

  1. 印刷用紙を購入
  2. A3ノビを印刷可能なインクジェットプリンターで印刷
  3. キンコーズでA3に裁断、くるみ製本

▼プロダクト系のポートフォリオは、A3横型のものが多い印象

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●制作にかかった費用

平均 約3000〜4000円 (自分で印刷したインク代込)

●制作するうえで参考にしたもの

雑誌 (特にレイアウトや写真の撮り方のトレンドなど)、メーカーが出している製品カタログ、メーカーの製品紹介のウェブページ、先輩のポートフォリオ、デザイン事務所のウェブページ、勢いのあるサービスや企業などのウェブページ (AppleGogoroBake.inc など)、その他いろんなウェブページ(CSS Design AwardPinterestGoogle Material Design Guidelinesなど)

●ポートフォリオを作る上でアドバイスをもらった人

教授、先輩、クラスメイト、企業説明会での担当者さん

●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス

ポートフォリオを人に見てもらうことで、作品について以外にもいろんなことを相手に伝えることができます。逆に言うと、いろんなことが伝わってしまいます。極端な例えかもしれませんが、ページ構成や、写真の撮り方、製本の仕上がりなどからも、その人の「人となり」が滲み出るものだと思っています。だからこそ、ポートフォリオは上手く活用すれば、自分を伝える手段と得るのではないでしょうか。
デザイナー志望であれば、ポートフォリオ上の作品以上に、ポートフォリオ自体の設計や表現こそが、デザイン力の評価や適正判断に直接影響してくるのではないかと思います。僕のポートフォリオもまだまだ未熟ですが、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

はたらくビビビット編集部より

就活前からポートフォリオを定期的に更新していたYさん。作品一つ一つについて「どんな情報を、どのように載せるか」の検討を重ね、見事わかりやすいポートフォリオに仕上がっています。情報の段階を整理する3つのポイントは、特に参考になるのではないでしょうか。ポートフォリオはもちろん、普段の課題作品のプレゼンボード等を作る際も活用できそうですね。
また、印刷方法は色の再現度が高いインクジェットプリンターを選び、自分で行ったそうです。いくつか印刷用紙を試し、実寸大を出力して手に取ったときの印象やサイズ感を確かめたと話していました。自分が伝えたい内容の純度を高めるため、さまざまな表現を試みたポートフォリオには、デザイン制作のヒントがたくさん詰まっていました。
ご協力ありがとうございました!

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(2019/07/29更新)

(2018.5.14)

著者

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井上佳子

はたらくビビビット編集長。 株式会社ビビビットの社員です。ポートフォリオづくりに役立つ情報発信を目指します。 Twitter

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