探究心と好奇心のままに横断的なデザインを行う|グラフィックデザイナー内定ポートフォリオ

「抽象的な思考プロセスで考えついた新しい概念やコンテンツを、親しみやすいアウトプットに着地させることが得意」という小笠原さんのポートフォリオ。作品の華やかな色合いや手にしたくなる形が私達を楽しませてくれます。
1作品見開き1ページで、作品ごとに写真や見せ方の工夫が。一体どんな気遣いが隠されているのでしょうか。編集・執筆 / YOSHIKO INOUE

ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント

■デザイン性と読みやすさが同居した、気持ちのよいデザイン

編集部:小笠原さんのポートフォリオはすべてのページレイアウトが全く同じというわけではありません。ですが統一感があり、気持ちよく感じるのはなぜでしょうか。よく見ると罫線や文字の扱い、画像の配置、飾り文字の作り方……これらのトーンが統一されています。
「オンライン面接の画面共有でもちゃんと読める文字サイズを設計した」「映像作品のQRコードはPDFの場合リンク画像にした」など読み手への配慮もあり、デザイン性の高さと読みやすさが同居しています。

■自身や作品についての冷静な分析

ポートフォリオ冒頭の自己紹介ページではデザインワークに対する自分の特徴や経験が簡潔に記載されています。記事最後のメッセージ部分でも言及されていますが、ポートフォリオをつくるまでの制作活動や学生生活を経て、自身のことをしっかり理解しているからこその見せ方や構成になっていると感じました。
▼自己紹介ページ

 

PROFILE

小笠原 勇人さん

多摩美術大学 統合デザイン学科 2022年春卒業予定
グラフィックを軸にしながらも、領域を問わない横断的なデザインをします。
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PICK UP!ポートフォリオのこだわり

プロセスは3コマ画像で明快に


小笠原さん:変化・動きを体験させるタイプの作品などは、3コマに動きを分けたプロセス写真で「何をどうするとどんな変化が起こるのか」を一目で伝えるように設計しました。

 

映像作品の見せ方に一工夫

小笠原さん:映像系の作品はQRコードを読み込むことですぐに動画サイトへ飛べるようにし、PDFデータで提出する場合はQRコード自体をリンク画像にすることで、デザインを変えることなくオンライン/オフラインの双方に対応するような導線にしています。
 

メインコピーで作品概要を一発表現


小笠原さん:その作品がどういったものかを理解してもらうために、情緒のあるキャッチコピーよりも、意図や機能を端的に表した一文を大きく配置しました。

 

ポートフォリオ一問一答

●このポートフォリオを提出した業界

グラフィック系を中心としたデザイン事務所

●ポートフォリオの構成

  • 表紙
  • 自己紹介ページ
  • グラフィック/アイデアを生かした商業的な作品
  • 視覚現象などを探求した実験的作品
  • 映像系作品
  • その他(UI/プロダクト/ブランディングなど)
  • グループワーク作品
  • 写真など個人的な一面を示す作品
  • 裏表紙

 

●コンセプト

特定の領域への強烈なこだわりではなく、フラットな視線と興味を持って領域を気ままに横断する自分の姿勢を示す

小笠原さん:上記の意味で、ある種そっけなく感じるようなポートフォリオを目指しました。サイズはA4と手軽な大きさ、一つの作品に割くページ数も2ページまでとしています。
その代わり多様な領域を矢継ぎ早に切り替えて見せ、その幅広さ、総合的な作品数、一つ一つの面白さ、クオリティの高さなどで勝負することを目標にしました。無数の変わり種のポートフォリオが並ぶ中で「いろいろなものがあったけど、結局あれが一番良かったな」と思われるような佇まいを目指しています。

●制作時期

大学3年生の2月頃〜4年生の7月頃

●ポートフォリオ制作に使ったソフト

Illustrator / InDesign / Photoshop

●制作プロセス

(1)InDesignでレイアウトの基本ルールを構築
(2)作品をピックアップ・文面の用意
(3)流し込み・順番の差し替え
(4)印刷
(5)製本

●サイズ / ページ数

A4横位置 / 48ページ

●印刷 / 製本方法

大学のプリンターで印刷 / 手製本(両面テープで全ページの片端を接着させ、裁断機で四辺を整える方法)

●制作にかかった費用

ほぼゼロ(紙・両面テープ代程度)

●制作するうえで参考にしたもの

書籍「VISUALIZE60」(日本デザインセンター)

●制作中にもらったアドバイス

小笠原さん:「日本語フォントに入っている欧文・英数字をそのまま使うのはタイポグラフィ的に正統派ではない」と現役のデザイナーさんに教わったので、和文と欧文・英数字を違和感のないように混ぜ合わせた合成フォントを用意しました。

●ポートフォリオを使ったプレゼンで工夫したこと

小笠原さん:オンラインでポートフォリオプレゼンをする場合もあったので、画面共有でもちゃんと読めるように文字サイズをあらかじめ設計しました。

●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス

ポートフォリオを編集する時には、自分の作品たちに順位をつける必要があります。
それをするには作品への冷静な自己評価が必要です。
冷静になるには自信が必要です。
自信を手に入れるには、それ相応の経験が必要です。
なので、自分はポートフォリオや面接のことに気を揉むよりも先に、いろんな作品を作っておくことが重要だと思います。そして、それを無理せず続けるには自分が楽しいと思えることが必須です。
自分は何をしている時に楽しいのか、それを時間のあるうちによく確かめておくことが、結果的にポートフォリオを作る時の自分の後ろ盾になってくれるような気がしています。がんばって!

 
制作一つひとつを楽しみながら自信をつけていきたいですね。
小笠原さん、ありがとうございました!

▶小笠原さんのポートフォリオ制作の裏側も聞ける!配信イベントを11/13開催

 
小笠原さんも使った!ViViViTでポートフォリオをつくってみる

 
 

(2021.10.15)
Yoshiko Inoue

著者紹介

井上佳子Yoshiko Inoue

はたらくビビビット編集長。 株式会社ビビビットの社員です。ポートフォリオづくりに役立つ情報発信を目指します。 Twitter
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