春から紙製品・文具業界にて商品企画とデザインの仕事に従事する佐々木さんのポートフォリオをご紹介します。カラートーンやタイポグラフィがおしゃれですよね。
プレゼンテーションの大鉄則「結論ファースト」を落とし込んだ構成は、初めてのポートフォリオや作品単体のプレゼンボードをつくる方にもぜひ考にしていただきたいです。編集・執筆 / YOSHIKO INOUE
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ここを見て!ポートフォリオの注目ポイント
■ポートフォリオ初挑戦の方も参考にしやすい構成[結論・具体・学び]
編集部:「まず結論から言う」=結論ファーストでつくられた佐々木さんのポートフォリオ。特に2作品目のふりかけ容器のページは、初めてポートフォリオを制作する方やまずは1作品分まとめてみたいという方にも参考にしていただきたい、とてもわかりやすい構成です!
POINT! 製品タイトルに加え特徴+概要を説明した「〜なふりかけ容器」という部分が、作品をひと目見たときの理解度を大きく促進させています。
製品や作品のタイトルは多くの場合世界観を表した言葉になっており、必ずしも用途や意味が説明されているわけではありません。世界観を表す抽象的な言葉と、機能を表す説明的な言葉がうまく組み合わさると初見の人にも伝わりやすいでしょう。
POINT! プロセスやスケッチをただ記載するだけでなく「試行錯誤の結果、どんなデザインにしようと思ったのか」「どうしてその方向性にしたのか」を簡潔に記載しています。なお、テーマに関する前提情報の説明が要る場合は「テーマ」の部分に記載しておきましょう。記載方法は、記事後半に掲載している伝統工芸「OKU」の作品が参考になります。
POINT! 制作の振り返りや今後に関してまで記載している方は少ないですが、読み手(企業の採用担当者)にPDCAの視点や伸び代を伝えるのにとても有効です!ポートフォリオのうち1作品でも良いので入れると良いでしょう。ポートフォリオは作品集ではなく「制作を通してなにを学んだのか」をプレゼンする資料としての役割も大いにあるからです。仮にそのデザインの結果が大成功ではなかったとしても、「そこで得た学びを次のデザインにどう活かそうとしているか」が伝わると、読み手はあなたの仕事への姿勢を伺うことができます。
それではご本人にもお話しを聞いていきましょう!
PROFILE
佐々木 りの さん
東北芸術工科大学デザイン工学部プロダクトデザイン学科卒業
2023年4月から紙製品・文具業界にて商品企画職(企画職中心にパッケージなどのデザインや他の業務にも携わる予定です。)
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
結論ファースト!まずは完成作品を見せ→プロセスを説明
佐々木さん:ハンドクリームのブランディングデザインページはとにかく雰囲気作りと画面のギャップを作るのを意識してました。 結論ファーストをポートフォリオでも意識してたので、最初に「これが考えて出来上がったもの!」と載せた後に「実はこういう経緯と意図で……」という流れに話を持っていけるようにしていました。
グループワークのページで働くシーンを想像してもらう
佐々木さん:UI/UXに関してはグループワークが主体だったので、全てのプロセスを載せた後自分はどういう役割で取り組んだか・どういうことをしたかを載せています。働く時の具体例になれば良いなという意識で作りました。
佐々木さんのポートフォリオをフルページで見る!
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ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
文具業界、生活雑貨業界(製品デザイン中心)
●コンセプト
「こういった考えで私は取り組みます」「こういうデザインが好きです」が伝わるポートフォリオ
佐々木さん:作品数などに重点を置かず、ひとつの作品のプロセス(どんな考えで最終形に至ったのか)を魅せることを大事にしていました。自分を知ってもらう媒体になるため、自分の考え方や取り組み方、好きなデザインを伝えたかったです。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- デザインコンセプトおよびポリシー
- 自己紹介
- 産学連携制作物(伝統的工芸品)
- 産学連携WS制作物(生活雑貨)
- インターン制作課題(自動車CMF)
- ブランディングデザイン
- グループワークUI・UX制作課題
- 裏表紙
●制作時期
大学3年の6月頃〜大学4年の9月頃
●制作プロセス
- 作品をピックアップ
- illustratorでデータ作成
- 印刷所でリング製本
●ポートフォリオ制作に使ったソフト
Adobe Illustrator、Photoshop
●サイズ / ページ数
A4 / 46ページ
●印刷 / 製本方法
リング製本(A4横)
●制作にかかった費用
約6000円
●制作するうえで参考にしたもの
デザイン雑誌(casa BRUTUSなど)、大学の先輩方のポートフォリオ、友人・教授からの意見
●ViViViTページと紙ポートフォリオの使い分け
佐々木さん:紙のポートフォリオは「自分から企業を選択して見てもらう」のに対してViViViTは「企業の方に選択してもらって、見てもらう」だったので、「なんか気になるな」と思ってもらえるように意識してました。わざと文字が載ってないビジュアルだけの表紙にしてみたり、キャプションに紙では言ってないことを記入したりなどして使い分けてました。
●制作中にもらったアドバイス
佐々木さん:大学のゼミの先生などに1ページずつ見てもらって、余白の空間や言葉遣い(「お子さん」を「子ども」にするなど)、プロセスの一貫性などの指摘をいただいてました。そのため、言葉の言い換えを行ったり、余白の調整やプロセスが伝わりやすいように思いきってレイアウトを変えたりして改善してました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
佐々木さん:ポートフォリオを作り始めるときはどうしても「うまく作らなきゃ」と不安に思うかもしれませんが(私もそうでした!)、まずはデザインにこだわらず載せる情報だけでもレイアウトして作ってみてください。(例:ViViViTだと1作品ごとにあげられるので、ファイルひとつだけ作ってみるとか)
1つ出来上がったら、同級生の作品や先輩のと見比べてみると自分のポートフォリオを客観的に見ることができます。
「なんか私の文字小さくないか?」「このプロセスだとつながりがわかりにくいな」など気づきが豊富に浮かんできます。それがブラッシュアップに繋がって、気づいたら最初よりも良いものになります。良いものになると自然と愛着が湧くので、編集するのも楽しくなります。
客観的に見るときは「このポートフォリオの作者と一緒に働きたいか」という企業側の目線も大事に向き合ってください。周りの人に見てもらうことも忘れずに。
根性のいる作業になるかもしれませんが、出来上がると自信に繋がるので、ファイトです!
編集部:佐々木さん、ありがとうございました!
佐々木さんも使った!ViViViTでポートフォリオをつくってみる
(2023.2.15)
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