就職活動中に3冊もポートフォリオをつくった大熊さん。進路に悩みながらもポートフォリオのブラッシュアップを重ねるうちに、当初思い描いていた設計職ではなく、CGパース職への進路を目指しました。より専門性が高い分野に内定した彼女は、どのようにスキルを身につけていったのか。その努力の軌跡を一緒に見ていきましょう。
編集・執筆 / KOTARO YONEDA,AYUPY GOTO
PICKUP!
まず、ポートフォリオのなかで特にこだわって制作した部分を教えていただきました。
全て描き直したパース
大熊さん:ポートフォリオのなかで一番自信があるページは、ARCHICAD(アーキキャド)で立ち上げたCGパースのページです。デザインだけではなくて、レイアウトの部分でも見開きが上手くまとめられたと思ってます。
3Dソフト解説:ARCHICADって?
直感的な操作が特徴で、デザイン性に優れている。アトリエ系設計事務所で普及しており、モデリング機能を使い複雑な曲面の作成なども可能。
ARCHICAD 公式サイト
▲壁の素材感や照明まで丁寧に描かれている
▲SketchUpを使った温かみのある外観パース
3Dソフト解説:SketchUpって?
建物の形状や、外観などを直感的な操作で3D化できるソフト。建築物の設計に適した機能が充実しており、施主への提案や企画検討段階でよく使われる。
SketchUp 公式サイト
新しいことにチャレンジ
大熊さん:友達は選考用に図面を新しく書き直すということが多かったのですが、私は新しいソフトを使い、今までやってきた作品をCGパースで描いてみたらどんな風になるのか、楽しみながら描き直しました。
ポートフォリオ一問一答
●制作した時期
大学3年2月〜大学4年5月
●コンセプト
コンセプトは自分らしさ。卒業制作でもヨーロッパの古い住宅を研究しているのですが、冷たいものよりかは、暖かい雰囲気が好きです。表紙やページのレイアウト、フォントなどを自分好みのアンティーク調にして、見る人が楽しめるポートフォリオにしました。
●掲載した作品内容
住宅設計、店舗デザイン、インテリアデザイン、照明演出など
●サイズ・ページ
正方形(210×210)/10ページ、A4(297×210)/7ページ
▲いつでも企業の人に見せられるように、持ち歩きやすいサイズで鞄に忍ばせていた。
●作成に使ったソフト
Photoshop、Sketch Up、ARCHICAD
●ポートフォリオの制作プロセス
(1)表紙のデザイン
(2)写真などレイアウト
(3)ポートフォリオ用に、パースを描きなおし
(4)Photoshopで加工、編集
(5)学校で出力
(6)キンコーズで製本
●印刷・製本方法
紙は自分で選び、学校で印刷。製本だけキンコーズに依頼。
●制作にかかった費用
1冊2000円 3冊だと5000円程
●ポートフォリオを作る上で、アドバイスをもらった人
同級生。建築に関係のない一般の友人に見てもらって、パースの看板の大きさや、明るさなど気になる点のアドバイスをいただきました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
自分は特殊な作り方をしているのですが、サイズや載せる素材も、自分のやりたいようにやっていいと思います。自信がない図面を載せても、プレゼンでは上手く伝わりません。それよりも自分がイキイキと話せるパースのほうが、面接でも手ごたえがありました。人と違っても良いから自分の好きなポートフォリオを作るといいと思います。
はたらくビビビット編集部より
なぜポートフォリオが3冊もあるのか?大熊さんに尋ねてみました。
就活の始めたころ、彼女の志望はハウスメーカーの設計職。周りの学友が設計職を受けるからということで、「何となくその道に進むのかな。」と思っていたそうです。
しかし、ふと友達に誘われた会社説明会で、CGパースデザインという職種に出会い、その後ポートフォリオのブラッシュアップをする過程で、新しい表現方法であるCGパースにチャレンジ。一枚描いてみてその面白さに気づいた彼女は、CGパースデザインを職業にしたいと思うようになりました。スタイリッシュなパースから、手描き風のパースなど描きわけていて、多様な表現が見て取れます。
3冊のポートフォリオは、そうした思考と努力の跡。制作過程などを振り返ってお話を聞いていると、「悩んだこともあったけど、3冊をつくって楽しかった。」と答えてくれました。ポートフォリオ制作も成長のチャンス、皆さんも作品のブラッシュアップをしてみてはいかかでしょうか。
大熊さんご協力ありがとうございました。
ViViViTでポートフォリオをつくり、
3DCG系の求人を見てみる!
(2019/07/29更新)
(2017.10.11)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア