今回ご紹介するのは、株式会社ビズリーチのデザイナー・武さんの就活ポートフォリオです。大学院に進学した武さんは、学部時代のポートフォリオをブラッシュアップして仕上げています。冒頭の2ページは、第一志望のビズリーチさんに向けて追加したのだそう。学芸員志望からデザイナー職志望に転換した背景や、自身のやりたいことをわかりやすく表現しています。
さっそく覗いてみましょう!
編集・執筆 / AYUMI TSUDA , YOSHIKO INOUE
武 穂波 さん
たけ ほなみ
2018年3月名古屋市立大学大学院 芸術工学研究科 情報環境デザイン領域修了
2018年4月〜株式会社ビズリーチ デザイナー
PICK UP!ポートフォリオのこだわり
自分の「これまで」と「これから」。思考のプロセスを詳しく記載
武さん:ポートフォリオ冒頭のこの2ページは、ビズリーチの選考中に追加しました。私が大学院に進学した目的はデザイナーになるためではなく学芸員になるためだったため、そこから進路をデザイナーに切り替えた意図を伝えたかったんです。大学院に進学したことで学んだこと・できるようになったこと、その上でなぜデザイナー就活にシフトしたのか、どんなことがしたくて就活をしているのかというCan(できること)とWill(やりたいこと)を、この2ページで丁寧に伝えました。
WEBデザインの作品を複数掲載し、提案の幅をアピール
武さん:紙媒体のポートフォリオには、7つのWEBデザインの作品を掲載していました。「芸工祭2014学祭サイト」「二人展“movable”PRサイト」「重機管理UI」のページに加え、他の4つはクライアントワークです。複数のWEBデザインを掲載することで、目的に応じたデザインの提案ができること、その幅を伝えることを意図しています。
それぞれのWEBデザインの目的と、そのために選択したデザインの表現方法を記載しています。
さまざまな媒体でも、目的に合ったデザインを提案できる力をアピール
武さん:WEBデザイン以外に「博物館の企画展パネル」や「キャプションデザイン」も掲載しました。媒体が紙や展示空間になっても、目的に応じたデザインを幅広く提案できるというのをWEBデザインとは違う切り口で伝えたいと思い載せました。
ポートフォリオ一問一答
●このポートフォリオを提出した業界
WEB業界
●コンセプト
WillとCanを伝える
▼名前の「武」にちなんでたけのこの形を模したアイコンを作り、ポイントに使用。堅苦しくない、親しみやすい印象になっているとともに、自分らしさも演出できている。
●ポートフォリオの構成
- 表紙
- 自己紹介
- WEBデザイン
- グラフィックデザイン
- イラスト
●制作時期
大学院2年春〜夏
学部の頃に制作した60ページ程のポートフォリオがあったので、その中から制作実績として載せられるものを精査し、新しく制作したものを追加していきました。
●制作プロセス
(1)WEBデザインで生かせるスキルの練度が伝わる実績をピックアップ
(2)クライアントワークの掲載可否確認
(3)Photoshopで画像を加工し、Illustratorでレイアウト
(4)研究室のプリンターで印刷(スーパーファイン紙を使用)
(5)ファイリング
▼手前が武さんのポートフォリオ。会社によって求める情報は違うと感じたため、順序や内容を差し替えやすいファイル製本を選択。
●制作に使用したソフト
Illustrator、Photoshop
●印刷 / 製本方法
レーザープリント / ファイリング
●サイズ / ページ数
A4 / 47ページ
●制作にかかった費用
4000円程度(ファイル代 + 用紙代)
▼グラフィックデザインの作品は後半に。
●制作するうえで参考にしたもの
はたらくビビビットのポートフォリオ百科、Pinterest
●ポートフォリオを作る上でアドバイスをもらった人
研究室の先生など
客観的な視点で見ても「分かる」構成になっているか、意見をいただいていました。
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
武さん:ポートフォリオを見る人が知りたい情報を取捨選択することが大切だなと思います。企業の担当者の人にとって何十人、何百人と出会う就活生の一人として、いかに限られた時間の中で正しく自分を知ってもらうかはポートフォリオにかかっていると思っていました。
採用において重視していることは企業ごとにさまざまだと思います。面談や説明会などを通してどんなことを大切にしている会社なのかを知りつつ、自分のやりたいこと・できることがどれだけその会社に貢献できそうなのか、合っているのかを伝えられると良いのではないかと思います。
はたらくビビビット編集部より
WEBデザイン作品中心に掲載されている武さんのポートフォリオ。志望業界に沿った作品が前半に分量多めに配置されており、WEB業界一本で就活をしていた武さんの志向がわかりやすくなっています。WEB以外の媒体の場合も、自身の強みである「目的に沿ったデザイン提案ができること」が伝わるような見せ方にし、ポートフォリオ全体を通してメッセージに一貫性があるように感じました。
また、制作プロセスの一つには「クライアントワークの掲載可否確認」というものも。アルバイトで制作した作品は、個人の実績としてどの範囲まで公開して良いのかなどを確認したそうです。その1アクションを行うことで、安心してポートフォリオを展開できますね。IT業界志望の方はもちろん、すっきりとしたポートフォリオに仕上げたい方にも参考にしていただきたいです。
武さん、ありがとうございました!
(2019.7.18)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア