現役デザイナーがつくる!未来のデザイナーを育てるインターン

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各企業が毎年開催する学生向けのインターンプログラムですが、一体誰が考えてつくっているのか考えたことはありますか?
DeNAが開催したデザイナー向けのサマーインターンでは、すべてのプログラムを現場で活躍するデザイナーが企画していると伺いました。デザイナーがつくるインターンとは何なのか?他社のインターンとは何が違うのか? 今回はその意図を探るため、DeNAのサマーインターン設計者を直撃したいと思います!
編集・執筆 /AYUPY GOTO

● DeNA 2017 SUMMER INTERNSHIP とは

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「おもしろい」をデザインする
「DeNA 2017 SUMMER INTERNSHIP」とは、DeNAが主催するデザイナー向けのサマーインターンです。ゲーム開発をビジュアルで牽引する人材を育成すべく、「ビジュアル設計の考え方」「魅力的にデザインする方法」が学べるインターンとなっています。ゲームのビジュアルデザインについて、ワークショップを通じて学び、現場のトップデザイナーの下で、ゲームのビジュアルをグループで作成し、より「おもしろく」デザインする楽しさを体験していただくことができます。
「DeNA 2017 SUMMER INTERNSHIP」詳細はこちら

なぜ、現場で活躍するデザイナーが
インターンのプログラムを考えるの?

「今回のプログラム内容はすべて私が企画しました。」
そう答えるのはDeNAのゲーム制作現場で活躍する、アートディレクターの大山さんです。 一般的にインターンのプログラムは、採用担当者が考え、企画されることが多いようですが、なぜDeNAは現場のデザイナーが責任を持ち企画しているのでしょうか。

大山 晃央おおやま あきお

ArtDirector

2013年、コンシューマゲーム会社からDeNAに中途入社。
主に新規アプリゲームのアートディレクターを担当。過去に担当したタイトルは『ダンジョンポッパー』『パズレス』など多岐にわたる。

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― 大山さんは会社でどのようなお仕事をされているんでしょうか?

大山さん:アートディレクターという肩書きですが、最近では“ゲーム体験を設計する”仕事をメインにしています。少し抽象的で、いわゆるデザイナーのイメージとは異なるかもしれませんが、ゲームの「面白さ」を理解し、それを適切なビジュアルでユーザーに届けるのが、ゲームにおけるアートディレクターの仕事だと考えています。

― そんな大山さんですが、なぜ今回のサマーインターン企画を設計することになったのでしょうか。

大山さん:絵やデザイン、ツールの使い方を教えてくれる場は数多くあるのですが、ゲームのビジュアルデザインの基礎を学ぶ機会は多くありません。このことはゲーム業界にとっての課題だと感じていました。そこで、自分がこの業界で経験として得てきたものを体系立てれば、技術として後進に伝えられるのではないか、と思い立ったのがきっかけです。

絵を描くこと”だけでなく、
ゲーム作りそのものを好きになってほしい。

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― インターンに参加したみなさんには、このインターンを通して何を学んでほしいという思いがあったのでしょうか。

大山さん:ゲーム開発は、絵を描くことだけではなく、いろいろなことをやるんです。それを知って、よりゲームを好きになってほしいと思っていました。

― インターンプログラムを考える上で、特に意識したことはありますか。

大山さん:新卒採用に携わるようになってから、学生さんのポートフォリオを見る機会が増えました。最近の学生さんの制作スキルは上がっていて、一見すると商品レベルの印象の作品も多いです。
しかし、よく見るとモチーフが「ゲームっぽい」だけで、「ゲームの絵」ではないと感じられる作品が多いのも事実です。絵の構成要素に必然性が無いのです。
なぜそういった絵が散見させれるか。それは、ゲームのビジュアルに対する理解が無いからだと考えました。私たちの世代は、ゲームの黎明期からずっとゲームに触れてきました。当時のマシンスペックでは表現が制限されていたため、ゲームを構成する各要素が把握しやすかったと言えます。その後、スペック向上によりビジュアルが肉付けされても、我々の世代はその過程を見ているので、そのベースとなる骨組みをイメージしやすいのです。しかし、今の学生さんたちは、はじめから美麗なゲームグラフィックに接して育ってきているので、ゲームの骨組みにまで意識が行きにくいのでは、と考えました。また、それに併せ「美麗=ゲームっぽさ」みたいなイメージが醸成された印象もあります。なので、今回のインターンでは、まずクラシックゲームに触れてもらい、ゲームの要素を分解しながら骨組みの理解をするところから始めました。

― インターンプログラムの設計をして良かったことを教えてください。

大山さん:私はこれまで、絵作りにしか興味のないデザイナーが、ゲーム開発の現場で苦しんでいるのを幾度となく見てきました。なので、このインターンを通して、学生さん自身が、絵を描くことだけが好きなのか、ゲーム作りが好きなのか見極めてほしいという狙いもありました。
参加者は美大・芸大生が多く、絵を描くことが好きな学生さんが多かったのですが、最終的に参加者全員がゲームを作ることに興味を持ってくれたのは嬉しかったですね。今回のインターンを通して、ゲーム業界に良い人材を送り込むきっかけができた手応えも感じています。
今回のインターンは、DeNAに入ってもらうことよりは、参加した学生さんが我々に接したことによって成長し、ゲーム業界に入って、面白いゲームを沢山作るようになったらいい…そんな思いが一番強かったです。
これだけ言うと綺麗ごとのようですが、人材は流動的なので、中途採用でDeNAに入るかもしれませんし、協業している会社さんに入っても一緒にゲームを作ることができます。長期的に見れば、新卒でDeNAに入社しなくとも、今回学生さんたちと築いた関係は、ずっと活きていくものだと思っています。

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― 大山さんのような現場のデザイナーが、インターンプログラムを作る利点を教えていただけませんか。

大山さん:ゲームのデザイナーを目指している学生さんに必要なものがしっかり提供できるインターンになると思います。採用担当者だけで、プログラムをつくると、ほしい人材像にだけ刺さるような表面的なインターンになりがちで、業界に正しく良い人材を入れるものにならない可能性が高いです。しかし、デザイナー自身が企画することで、デザイナー志望の学生さんをちゃんと見て、本質的にどのように成長させるべきか考えられたインターンになると思います。

― 学生を教育する場所に立つことへの、やり甲斐や思いがあれば教えてください。

大山さん:なぜ、今回このような課題を作ったのか思い返してみると、私の大学時代まで話は遡ります。私は美大でデザインを学んでいて、周りには技術とセンスを兼ね備えた優秀な友人が沢山いました。彼らはゲームもよく遊んでいたので、「こんな優秀な人たちがゲームを作ったら、すごく面白いものができるに違いない」と思っていたのですが、彼らが選ぶ進路は広告代理店や映像系で、ゲーム業界には進みませんでした。
彼らと接して感じたのは、ゲーム開発が彼らの目から見ればリスペクトの対象じゃないということでした。また、大学ではゲーム作りを教わることがないので、自分には関係の無い業界、つまり学んだことが活かせない仕事だと捉われていたのです。
そういった優秀な人材にゲーム業界が振り向いてもらえないことに、ずっと問題を感じていたので、”今”優秀な学生さんたちに「ゲームの仕事はイケてる」「学んできたことを活かせる場だ」ということを伝えたい、それが今回の課題作りの根底にあった思いです。
そもそも、皆さんが絵を描くことが好きなのは、誰かに「うまいね」と言われたり、あるいは「くだらね~」と笑ってもらえたりと、「人の感情を動かす醍醐味」を知っているからだと思います。そして、ゲーム開発はその行為の集積と言えます。つまり、絵を描くこととゲーム開発の根っこは一緒なんです。なので、少しでもゲーム開発に興味があれば、気負うことなくゲーム業界の門戸を叩いてほしいと思います。

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― 大山さんの今後の目標を教えてください。

大山さん:DeNA、さらに言うとモバイルを代表するゲームを作りたいというのが、今の1番の目標です。我々が面白いゲームを世に出せば、若い才能はゲーム業界に振り向いてくれると信じています。一方で、今回のインターンのように、参加してくれた学生さんたちが将来面白いゲームを作れるような成長の場を、これからも提供していきたいと思っています。
ゲームにはもっと可能性があると思っています。これまで世に出た全てのゲームと、若い才能がブレンドされて、新しく多様なゲームが生まれていく……。これは、とてもワクワクすることですし、私自身そういったゲームをたくさん遊びたいです。そのために私ができる手伝いを、今後もしていきたいと思っています。

● 最後に

物腰が柔らかな大山さんですが、今回のインタビューを通してゲームに対する熱意を強く感じました。デザイナーがつくるインターンプログラムは、一つ一つの課題に学生さんが成長できる学べる要素が盛り込まれていて、現場で制作に携わっている人間だからこそつくれる、デザイナーのための成長プログラムとなっていました。自社の採用のことだけを考えず、ゲーム業界の将来のために取り組まれている姿勢にとても感銘をうけました。
DeNAや大山さんが今後ゲームデザイナーのためにどのような企画を打つのか楽しみです!

近日開催予定のインターン情報

DeNAでは、デザイナー・プランナー向けのインターンを定期的に開催しています。将来ゲームクリエイターとして活躍したいと考えている方は、是非一度エントリーしてみてはいかがでしょうか。

▼「ゲームグラフィックスコース

ゲーム開発をビジュアルで牽引する人材を育成すべく、
「ビジュアル設計の考え方」「魅力的にデザインする方法」を学べるインターンシップを開催します。

開催日時:2017年8月中旬(募集期間:2017年5月中旬~7月中旬)
募集人員数:15名程度
開催会場:株式会社ディー・エヌ・エー 渋谷オフィス(本社)
待遇:遠方の方には、交通費・宿泊費を支給
応募資格:大学院・大学・短大・専門学校・高等専門学校に在学中の方(全学年対象)
エントリーはこちら

▼ゲームプランニングコース

「なんとなく」企画を作るのではなく、「おもしろさ」を狙って企画を作る方法を学んでいただきます。
ゲームのプランナー志望の学生のみならず、エンジニア、デザイナーなど、
ゲームクリエイター全職種を目指す学生に向けた企画集中講座です。

開催日時:2017年8月中旬(募集期間:2017年5月中旬~7月中旬)
募集人員数:10名程度
開催会場:株式会社ディー・エヌ・エー 渋谷オフィス(本社)
待遇:遠方の方には、交通費・宿泊費を支給
応募資格:大学院・大学・短大・専門学校・高等専門学校に在学中の方(全学年対象)
エントリーはこちら
また、過去に開催したDeNAのインターンに参加した学生さんたちが、一体どのようなゲーム画面を制作したのか「DeNA Creators Blog」で詳しくご紹介しています。気になる方は是非チェックしてみてください。
『Game Graphics Boot Camp』開催レポート

(2016.10.12)

著者

後藤あゆみ

はたらくビビビット編集長。 フリーランスで“『ツクル』を仕事にしたい未来の子供たちのために。”を、コンセプトとして活動。クリエイター支援、スタートアップ支援を行っています。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢です 。

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