美大を卒業後、ゲーム開発現場で活躍するクリエイターとは!?社内全ゲームに携わったアニメーターに密着。

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グリー特集

GREE creators special interview! 第1弾は、グリー株式会社でアニメーターとして働く赤堀さんにお話を伺いました!美大を卒業してグリーに入社した赤堀さん、今年で働きはじめて3年目ということですが、これまでどのようなお仕事を経験してきたのか、また、美大卒業生はゲーム開発現場でどのように活躍できるのか。お仕事に密着しました。編集・執筆 / AYUPY GOTO

赤堀 このみ
あかほりこのみ

Animator

グリー株式会社 アニメーター 2013年4月入社
静岡県出身 女子美術大学メディアアート学科卒業

入社3年目にして、
社内で開発している数多くのゲーム制作に携わる。
足りていないからこそチャンスがある、アニメーターの仕事。

― 美大を卒業後グリーに入社した赤堀さんは、現在どのようなお仕事や働き方をされているのでしょうか。

赤堀さん:私はグリー株式会社の新プロダクト「アナザーエデン」で、アニメーターとして働いており、”Spine” というキャラクターアニメーション制作ソフトを使ってキャラクターモーションを担当しています。アニメーターの主な仕事は、ゲームに登場するキャラクターの“モーション”や、お客さまがアイテムを購入する場面の“演出(エフェクト)”を作ることです。アクションスクリプトなどのプログラミング言語を使うこともあります。私はゲームの企画作りから関わったり、ゲームイラストも描いたりしています。

― プログラミングの技術をつかってアニメーションを制作されているんですね!なぜ、今のお仕事を担当することになったのでしょうか。

赤堀さん:私は短いスパンで多くの部署に携わってきました。入社して半年は、アバターのデザインチームでキャラクターのイラストを描く仕事をしていたのですが、そこから異動した後は、グリーで開発しているWebゲーム制作に全て携わり、各ゲームのチームに入ってはアニメーションを作ったり、イラスト制作をしたりしていました。手が足りていないチームがあれば駆けつけるような働き方だったので、突撃隊と呼ばれていましたね(笑)。そうやって、いろんなゲームに携わっていくうちに、アニメーションだけでなく「キャラクターモーションも作れるようになりたい、勉強したい!」と思うようになり、上司に相談してみたら、現在の仕事を担当させてもらえるようになりました。

赤堀さんが携わってきたお仕事

アバター部署で制作した制作物の一部

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モンプラのキャラクターイラスト イメージラフ
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モンプラのガチャシーンアニメーション
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― 2〜3年でこんなに多くのコンテンツに携わることができるのですね!それは会社の意向で異動しているのでしょうか。

赤堀さん:基本的には会社の意志決定に基づき異動しています。いろんなチームに入って様々なゲームに携わることで、たくさんの人と関われますし、表現の幅も増えて技術的にも成長できるので、部署異動はとてもポジティブなものだと思っています。異動が多くて大変そうだねと気にかけてくれる人もいるのですが、こんなにいろんなゲームに携われるチャンスはないと思うので、私はラッキーだと思っています(笑)。

― 確かにほぼ全てのゲームに携われる経験はなかなかできないですね。

赤堀さん:ソーシャルゲーム業界全般的にアニメーターが足りていないんです。なので一人が横断的にいろんなチームをまわってアニメーションを作る必要があるんですよね。期待されたり頼りにされたりするのはありがたいことですし、チャンスでもあります。これほどいろいろな仕事を任せてもらえる会社は、なかなか無いのではないでしょうか。

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課題はすべて倍返し!
“絶対に誰にも負けたくない”という
強い思いが、私を変えて成長させた。

― 学生時代はどのような活動をしていたのでしょうか。

赤堀さん:昔から絵が好きだったことから、美術専門の高校に入学しました。その高校では、絵画や彫刻など様々な専門分野があり専攻を選べたのですが、当時仲の良かった先生から「仕事にしやすいのはデザインだ」という話を聞いて、何もわからなかった私はデザインを専攻しました。高校時代は、主にデッサンや平面構成などデザインの基礎を身につけ、アニメーションや立体など様々な表現をざっくばらんに学びました。
とにかく努力するのが嫌いで、生徒の中でもどちらかというと問題児だったと思います。デッサンの授業では鉛筆を削るのがめんどくさいからとシャーペンで描いてましたし(笑)あまりにも自由すぎるので先生には呆れられていたことを覚えています。

― シャーペンでデッサン!それは確かにすごいですね(笑)高校卒業後の進路はどのように考えたのでしょうか。

赤堀さん:大学受験のための勉強や準備などは特にせず、高校に指定校推薦枠があったので、その枠の中から入れる大学を探しました。デザインを学びたいという気持ちはあったのですが、工業デザインや広告など学ぶ内容を絞りたくないとも思い、幅広く学べる場所はないかと探していたところ、出会ったのが女子美術大学のメディアアート学科です。平面デザイン、立体、映像と、いろんなものが作れると聞いて楽しそうだと思い、高校に推薦してもらって面接を受けたら、メディアアート学科の先生ともすごく気が合ったので、そこからは迷うことなく入学することを決めました。

― 女子美術大学に入学してから、どのようなことを学び、経験しましたか。

赤堀さん:高校時代とはうって変わって、課題や課外活動に全力で取り組んだ4年間でした。美術専門の高校から美大に入学したので自分はできるほうだと思い込んでいたのですが、入学して周りを見れば絵のうまい子や、発想が面白い子がたくさんいて、このままの自分ではダメだと気付いたんです。とにかくマイナス思考で、自分の作るものが全部大嫌いだったので、自分の作品に誇りを持てるようになりたい、そのためにクラスで1番良い成績を取ると決めました。
私、こうみえて負けず嫌いなんですよ。成績は必ずオールAかSを取れるように、レポートを出すなら人の2倍出したり、課題作品も1点提出するものだったら3点提出したりと頑張りました。また、先生を拘束して「私のデザインは何がダメか教えてください」という議論を4時間したこともあります。結果、先生たちにはかなり変人扱いされましたね(笑)
あと、課題だけだと発想力も狭まり、オリジナルの作品が作れなくなると思い、課外活動も定期的に行っていました。地元が静岡県にある小さな城下町なのですが、町おこしとして一軒家を借り、全国から作家さんを招待して毎年作品の展示会を行っているんです。そこに展示するための作品を、いつもコツコツ作りためていました。

― 当時はなりたい職業や将来の夢などはあったのでしょうか。

赤堀さん:大学に入学したころは絵本作家になりたいと思っていました。でもだんだん絵を描くだけでは物足りなくなってしまって、そこから立体作品も制作するようになったんです。卒業する時には2Dよりも3Dのアーティストになりたいと思うようになっていました。

― 大学3年生の終わりに近づくと就職活動がはじまると思うのですが、赤堀さんはどのようにして就職活動に取り組んだのでしょうか。

赤堀さん:それが、就活はほとんどしていなかったんです。絵を描ける仕事がしたい、といろいろ調べてはいたのですが、専門が絞られすぎている仕事は魅力的に思えなくて。どうしようかと思っていた時に、なんとなく参加したクリエイター職向けの採用イベントでグリーに出会いました。イベント会場にいたグリーのデザイナーさんが、アバターのデザインを担当している人で、今まで描いたイラスト作品を見せてもらったのですが、そのイラストがすべて、AdobeのIllustratorを使って描いていると聞いたんです。それまでIllustratorはデザイン制作で使うものであって、イラストを描くツールではないと思っていたので、この技術は盗むしかないと思い、グリーにエントリーすることを決めました。また、たまたま高校の時からグリーのゲームでずっと遊んでいて、アバターイラストがすごくかっこいいと思っていたので、デザイナーさんに会えたのはすごく嬉しかったですね。
エントリーしてからはトントン拍子で選考が進み、4年生の4月には内定をいただくことができました。積極的に就活をしていなかったのに、あっという間に決まって、大学のみんなにすごく驚かれました。

― グリーの選考で、どういった点が評価されたと思いますか。

赤堀さん:大学の授業で、面接に受かりたければ、かっこいいポートフォリオを作れ!と言われていたので、A3サイズのポートフォリオをパッケージからデザインして全て作りました。また、趣味で作っていたフュギュアと絵本の実物も、面接の際持参しました。当時、面接を担当してくださった方に「あれだけ大量の作品とポートフォリオを持ってきたのは、赤堀さんくらいですよ。」と入社してから言われましたね(笑)。多分その物量から、ものづくりに対する熱量が伝わったのではないかと思います。

赤堀さんの就活ポートフォリオ

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― グリーに入社してみて、同期や社内環境の印象はいかがでしたか。

赤堀さん:同期は優しくてパワフルな人ばかりです。何かわからないことがあればお互い教え合いますし、私はお酒が好きなので、同期や同じ部署の先輩たちともよく飲みに行っています。
会社全体の雰囲気は、みんな暖かくて、とてもアットホームな感じですね。入社当時、Illustratorをあまり使いこなせなかったのですが、先輩方が手とり足とり教えてくれたおかげで、今ではIllustratorを使って自由にイラストが描けるようになりました。学びたいと思った技術があれば丁寧に教えてもらえる環境がグリーにはあると思います。

― 社内のクリエイター同士で交流はありますか。

赤堀さん:交流は多いですよ。グリーには「パワーランチ」という制度があって、ランチをしながら「アニメーターの私はこういうツールつかって、こういう風にアニメ作っています」とお互いの仕事内容を発表する場があります。普段業務で関わりのない他部署の人たちと一緒にご飯を食べる「シャッフルランチ」なんてものもありますね。業界で活躍されている外部の方を講師として招待し、情報交換をする「GREE Creators’ Meetup」も開催してます。

本業に活かすために始めた趣味。
本当にものづくりが好きだから、どんな努力も苦ではない。

― より良い作品を作るために、日頃から努力していることはありますか。

赤堀さん:アニメーションを作る上で立体感をつかむために、週に1個、趣味でフィギュアを作っています。髪の自然な動きや身体の肉付きなど、作りながら構造を学んで、そこで得たことをアニメーション制作にも活かしています。大体、金曜日の夜から作りはじめて、2日間程かけて完成させています。キャラクターは全て私のオリジナルデザインです。

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― すごくかわいいですね!毎週1個作るなんて、趣味にしてはストイックすぎる気もしますが。それは勉強のためだけに作っているのですか。

赤堀さん:せっかくなので作品として作り上げますが、作ってどうしたいなど得に目的があるわけではないので、タイミング良く展示会の予定があれば、展示するくらいですね。普段は家やオフィスの机に並べていますよ。今ではわたしがフィギュア制作していることを、同僚にも知られてしまっているので「赤堀さんは家でずっとフィギュア作ってるから、飲み会に誘っても来てくれない」といじられています(笑)。

― 入社してから、思い出に残っている出来事はありますか。

赤堀さん:イラストとアニメーションの仕事それぞれにあります。イラストですと、入社したばかりの頃、私はゲームイラストの制作経験もなく、右も左もわからない状態でした。初めて任された仕事は、Illustratorを使ってアバターのイラストを描いてくださいというものだったのですが、Illustratorを扱う技術もなければ、アバターを描く表現力も追いついていなかったので、そこから猛勉強しました。過去に制作されたイラストを観察したり、先輩の技術を盗みながらたくさん描いたのですが、なかなか良いイラストが描けなくて「作り直し」と、跳ね返される状態が続いたこともありました。失敗や勉強を積み重ね半年くらいたった頃に、私の描いたアバターアイテムが、人気アイテムとしてヒットしたんです。すごく嬉しかったですね。また、アニメーションの方では、アニメーションの部署に異動して2〜3ヶ月くらいたった時に、「モンプラ」というゲームで新しくガチャのアニメーションを作ることになり、簡単なアクションスクリプト(プログラミング)と、絵コンテ、アニメーションをすべて私が担当することになりました。私は完全に右脳人間なので、プログラミング部分でものすごく躓いたのですが、周りの先輩方やエンジニアの方にたくさん指導していただいて、なんとか完成させることができました。出来上がったガチャアニメーションを見た先輩方から、たくさんほめていただいた時は、本当に心の底からうれしくて、自信につながりました!

― グリーさんで働く魅力を教えていただけますか。

赤堀さん:グリーは社員が約1500人程いるメガベンチャーで、自由がなさそうとか、望んだ仕事ができないと思われる方もいるかもしれません。でも全然そんなことはないんです。確かに大きい会社になればなるほど、クリエイターの自由度が少なくなることが多いと思いますが、その点でいえば、グリーは何でも挑戦させてくれる環境があります。実際、私はアニメーターですが、キャラデザの仕事をやりたいと言えば任せてもらえました。この前驚いたのは、会社の広報の方に「赤堀さんってフィギュア作れるよね」と、突然声をかけられて「作れます」と返事をしたら、「社内報のオリジナルキャラクターのフィギュアを作ってもらえませんか?」と依頼がありました。元々フィギュア制作は趣味だったのですが、何か好きなことや得意なことを持っていれば、そういった仕事の話も舞い込んできます。また、チャレンジしたいことがあって部署異動を望む場合も、上司が親身になって相談に乗ってくれて、話を聞いてくれます。もちろん会社なので100%希望が通るわけではありませんが、そういった自由度は、他社よりもあるのではないかと思います。

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赤堀さんが作ったグリーの社内広報キャラクター

― 大学生の頃、自分の作ったものが嫌いだったとおっしゃっていましたが、今は乗り越えられたのでしょうか。

赤堀さん:当時は自分の描く2Dイラストが嫌いでした。ですが、フィギュアを初めて作った時に、思ったよりも良いものが作れて、新しい作品をどんどん作っていくうちにクオリティも上がり、自分の作品に少しづつ自信がもてるようになりました。フィギュアを作ったことで、奥行きや構図の作り方も徐々に身についていって、2Dイラストもだんだんとよくなってきたんじゃないかなと思います。昔作ったものを見ると、クオリティの低さにがっかりしますが(笑)結局、努力できていなかった自分が嫌だったんじゃないかと思います。努力して技術を磨いて作品のクオリティを上げることができれば、自分も作品も少しづつ好きになれると思います。

― 今後、クリエイターとしてどう成長していきたいと考えていますか。

赤堀さん:10年後はキャラクターモーションの達人と呼ばれていたいですね。人に教える力もつけたいですし、モーションも自分らしい味や表現ができるようになりたいです。“赤堀さんが作ったモーションだ”と、世間の人が見てもわかるような、私ならではの表現が作れたら嬉しいです。ただ、正直私は技術に対して浮気性なので(笑)もしかしたら何か別のことにチャレンジしているかもしれませんね。
また、個人の目標としては、ヨーロッパやインドに多く存在するビビットな色合いの表現が好きなので、将来的には外国で仕事をしつつ、海外の色合いを取り入れた作品を作っていきたいと思っています。

― 最後に、将来に悩んでいる学生に向けて、なにかメッセージがあればお願いします。

赤堀さん:会社の上司がポロっとこぼした「なんとかなるために、なんとかするんです」という一言が、自分の頭の中に強く残っています。この言葉ってすごいと思うんですよね。私なりに深堀してみたのですが、なんとかなる!と言っているだけでは、結局出来上がるものってゼロだと思うんです。だから、なんとかなるためになんとかする努力をして、1を生み出すことってすごく大事なことだと思います。私が学生の時、なんとかなると思ってなんとなく過ごしていたら、何も成果がでなくてダメだったことがよくありました。でもなんとかするために、極端な話、徹夜をしたり、他の人がやっている以上の努力をすることで、今までできなかったことが少しづつできるようになって“なんとかなる”のだと思っています。この“なんとかなるから頑張れ精神”は学生のうちに気づいてほしいです。なんともならないって諦めたら、そこで試合終了じゃないですか。学生のうちにやり切れることは全部チャレンジしてしまって、いろんな技術を触ったほうがいいと思います。例えば、絵が好きだからって絵を描いているだけだと、クリエイターとして社会で生き残るのは難しいかもしれません。なので、絵が描けるようになったら次を見つけないといけないと思いますね。絵が描けた次は、ストーリーを含めた漫画を描く、漫画が描けた次は動きのあるアニメーションを作る、アニメーションが作れた次はグッズ展開を考えて、立体を作ってみよう…とか!派生するものをどんどん作ってみて、技術を高めていったほうが、これからの人生なんとかなるんじゃないかなって思います。

― 何気ない「なんとかなる」という言葉に、パワーや意気込みを感じました。赤堀さんお話ありがとうございました!

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Ayupy Goto

著者紹介

後藤あゆみAyupy Goto

はたらくビビビット編集長。 フリーランスで“『ツクル』を仕事にしたい未来の子供たちのために。”を、コンセプトとして活動。クリエイター支援、スタートアップ支援を行っています。おばあちゃんになるまでに美術館をつくるのが夢です 。
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