広告代理店って何?|仕事百科

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デザインを学ぶ学生に人気の就職先といえば、広告代理店を思い浮かべる方が多いと思います。ですが、人気業界とはいえ、仕組みや職種を理解しきれていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、広告代理店の中にどのような職種があり、具体的にどのような仕事をしているのかをご紹介します。
編集・執筆 / YOSHIKO INOUE,AYUPY GOTO

目次

  • 1. 広告代理店って何?
  • 2. 広告の種類
  • 3. 広告ができるまで
  • 4. 広告制作に関わる職種
  • 5. 最後に

1. 広告代理店って何?

広告代理店とは、広告を扱う会社の総称です。代理「店」と呼ばれていますが、一般向けに店舗が開かれているというわけではなく、企業間取引を行う会社です。そのため、広義で「広告会社」と呼ばれることもあります。
広告代理店は、新聞・テレビ・ネットなどの広告を掲載するメディア(広告主)と、広告を出したい企業(広告掲載主)を繋ぐ仲介のような役割を果たしています。広告代理店から見て広告掲載主はクライアントと呼ばれます。広告主・広告掲載主からの広告制作の依頼と、広告主から購入した広告スペースをスポンサーに販売することで広告代理店は利益を得ています。

2. 広告の種類

広告は、マス広告インターネット広告SP広告の大きく3つに分類できます。

●マス広告
マスメディア広告の略で、「マス4媒体」と呼ばれるテレビ・ラジオ・新聞・雑誌に掲載される広告を指します。特定の視聴者や読者に向けて広告配信ができ、より多くの人に広告配信したいときに効果的です。

●インターネット広告
ウェブサイトやアプリ、メール、バナー、動画などを用いて配信される広告です。対象者を絞って広告配信ができるため、費用対効果が高いと言われています。スマートフォンなどの普及により、近年急速に規模を広げています。

●SP広告
セールスプロモーション広告の略で、消費者を購買行動へ動かす販売促進が主な役割とされています。マス広告にもインターネット広告にも分類されない、折り込みチラシや屋外広告、電車の中吊り広告、キャンペーン、フリーペーパーなどを指します。

3. 広告ができるまで

広告ができるプロセスは広告方法や媒体によっても違いますが、ここでは広告代理店側の視点から、マス広告制作の大まかな流れを見てみます。

①クライアントによるオリエンテーション
企業(クライアント)側から広告を出したい商品についてオリエンテーションを受けます。商品の説明やターゲット層、売り出したいポイント、販売方法、広告予算、広告スケジュールなど、広告作りに関する諸条件や目標が具体的に提示されます。

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②オリエンテーションを踏まえた基本方針会議
オリエンテーションを踏まえ、どんな広告にするかという基本方針を代理店が社内で決めていきます。基本方針が決まったら、その内容に基づき制作チームが編成されます。

③制作チーム編成、売り出し方法の戦略会議
編成された制作チームで、制作する広告のコンセプトやプランを改めて考えます。オリエンテーションで受けたターゲット情報やクライアント情報を基に、広告の課題を見つけ、そこから課題解決のための戦略を練っていきます。デザイン案やコピー決めなどの立案作業がここで繰り返し行われます。

⑤クライアントにプレゼンテーション
クライアントから代理店に直接依頼する場合もありますが、多くの場合、クライアントのオリエンテーションには複数の代理店が参加しています。そのため、オリエンテーション後複数の代理店から広告案がプレゼンされます。クライアントはそこから、どの代理店に依頼するか決定します。

⑥制作開始
広告案がクライアントに採用されたら、いよいよ制作開始です。案件によって、制作会社へ外注するか代理店内の制作部で制作するかが決められます。代理店内に制作部があっても外注する場合や、クライアントから制作会社が指定される場合もあります。

⑦納品
広告完成後、クライアントの確認をとって納品です。TVCMの場合、オリエンテーションからオンエアまでの期間は約半年間とされています。

 

4. 広告制作に関わる職種

以上が広告制作の大まかな流れとなりますが、さらに細かく見ていくと、撮影のキャスティング、ロケーションハンティング、映像編集……など、たくさんのプロセスがあります。
では、広告制作に携わっている職種はどのようなものがあるのでしょうか。こちらも一部ですがご紹介します。

●クリエイティブディレクター
広告の企画立案から制作、納品まで制作に関わる全てをまとめる総責任者です。
クライアントの予算やプロモーション計画、市場やターゲットを理解し、広告制作の指揮をとります。多くは代理店の制作部に所属し、アートディレクター、CMプランナーなどからクリエイティブディレクターにステップアップする場合が多いようです。クライアントが代理店を通さず制作会社と直接取引することもあるため、制作会社にクリエイティブディレクターが所属している場合も多いです。
継続的に成果を上げ名前が知られていくと、クリエイティブディレクター指名でクライアントから仕事の依頼が来ることもあります。

●アートディレクター
広告のビジュアル表現をディレクション(統括)する責任者です。AD(エー・ディー)と略称されることもあります。
商品のコンセプトを基に広告やパッケージのデザイン決め、デザイナーやカメラマンなどに伝えて制作していきます。グラフィックデザイナーを経てアートディレクターになる人が多く、デザイン力に加え発想力や企画力も必要とされます。
(→アートディレクターって何?|仕事百科)

●コピーライター
広告の世界で言うコピーとは、一般に広告文字全般のことを言います。「その広告が何を伝えたいのか」ということを、言葉に起こす仕事です。広告を作る商品についてよく分析し、消費者を想定し、「商品を売るために伝えるべき言葉」を考えます。地道なリサーチと論理構成で、一見ひらめきのように思われがちなキャッチーなコピーがつくりだされています。

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●CMプランナー
TVCMの内容を企画し、提案する仕事です。提案が通ったらCMディレクターやカメラマン、コピーライターなどとともに制作していきます。
15秒や30秒という短い時間を使って、商品の情報を正確かつ魅力的に伝えなければならないため、アイデアの発想力が重視されます。提案のために絵コンテも描きますが、絵の上手さよりも発想力や企画力が大切なようです。クライアントへの提案を行うのもCMプランナーの仕事なため、プレゼンテーション力も求められます。

●CMディレクター
CMプランナーはCMを「考える」のに対し、CMディレクターは映像監督として実際にCMを「つくる」仕事です。企画・演出の絵コンテから、スタッフの選出、撮影、編集まで、制作現場を全て指揮します。監督とはいえ、クライアントの目的に沿った映像を撮らなければならないため、自分の世界観にこだわりすぎた作品をつくることはできません。現場監督として多くの技術スタッフや出演者などと関わるため、コミュニケーション能力や演出・演技指導力も必要とされています。

●カメラマン・ライトマン
カメラマンには、TVCMなど映像を撮影する映像カメラマンと、グラフィック広告などを撮影するスチールカメラマンの2種類があります。映像カメラマンは動画を、スチールフォトグラファー宣伝用の静止画を担当します。
ライトマンは、カメラマンの指示に従い、視覚効果を演出するライティングを行います。その広告のどこに光を当てどこに暗部を作るかは、カメラマンとライトマンが共同で決定します。

●CGデザイナー
広告のコンセプトに沿って、2D・3DのCG(コンピュータグラフィックス)でイメージを映像に表現する仕事です。Maya、Autodesk 3dsMax、After Effects、Photoshop、Illustratorなどのソフトを駆使し、CG制作を行います。近年では3DCGの技術の進歩とともに、マス広告からインターネット広告までさまざまな広告媒体でCGが使われています。TVCMの場合は編集段階で携わるため、映像エディターや他のデザイナーとコミュニケーションを取りながら進めていきます。

 

5. 最後に

消費者が広告を目にする時間は、TVCMでも長くて30秒、ポスターやバナーではごく一瞬と言われています。短い時間で消費者の心をつかみ、かつ商品の魅力が十分に伝わる広告を作るため、多くのリサーチと提案が行われているようです。また、多くの制作スタッフが携わっているため、広告代理店の仕事では、クライアントと制作チーム、制作チーム内のコミュニケーションが重要になるようです。

今回紹介した以外にも、広告制作にはたくさんの職種が関わっています。興味が湧いた方は、是非調べてみてください。

 

Yoshiko Inoue

著者紹介

井上佳子Yoshiko Inoue

女子美術大学卒業。 はたらくビビビットのインターンを経て、ビビビットに新卒入社しました。 2016年印象に残ったまんがは吉野朔実の「period」です。
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