皆さんは、道を歩いているときや、書店で本を探しているときに、「買うつもりはなかったけれど広告の言葉に惹かれて、つい買ってしまった。」という経験をしたことはありませんか?一度見るだけで、脳裏に強く印象づける”言葉”を扱う仕事であるコピーライター。今回はその仕事内容から活躍の場まで、幅広くご紹介します。
編集・執筆 / tamachanz, AYUPY GOTO
イラスト / Miyagi Takumi
- コピーライターとは
- 活躍の場・有名なコピーライター
- 優れた言葉を生み出すには
- 話題の書籍
- 最後に
1.コピーライターとは
コピーライターとは、広告業界において、消費者に商品に対する興味や購買意欲を促すための文章(コピー)を作成する職業の人々のことを指します。彼らは商品のブランディング(マーケティング)の際、その商品に関する"言葉"に全責任を持ち、アートディレクターやクリエイティブディレクターなどの様々な役職の人たちと打ち合わせを重ねながら、消費者の潜在意識に訴えかけるような印象深い文章を作成していきます。
◆仕事の流れ
皆さんは、コピーライターという仕事にどのようなイメージを抱いていますか?
彼らはただ紙(あるいはPC)とペン、そして一瞬のひらめきで短時間のうちに文章を作成し、報酬をもらっているのでしょうか?
実はそうではないのです。コピーライターの方々の多くは、以下のような流れで仕事をしています。
以上が大まかな仕事の流れです。企業に勤めるコピーライターは、文章を作成するスキル以外にも”マーケティングに関する知識”や”商品の機能性への理解”が必要だということがわかります。
企業に属さず、フリーランスとして活躍する場合には、より一層これらのスキルが磨かれていないと一人前とは言えません。
◆コピーライターと小説家の違い
小説家は、小説を書くときにターゲットやマーケティングなどを意識することはありません。また、読みたいと思う読者が、自然と自分の意志で本を買っていきます。コピーライターの場合、表現にある程度の制限がかかっており、商品を買う気がない人間に興味を持たせることを目的とした文章を考えます。
2.活躍の場
近年、コピーライターの仕事はCMのキャッチフレーズを考えること以外に、商品のネーミングや作詞、執筆など多岐にわたります。次に紹介する方々はCMのキャッチフレーズ等、その他の場所で幅広く活躍しています。
◆有名なコピーライター
・糸井重里
株式会社ほぼ日の代表取締役であり、コピーライターとして作詞やWEBサイトのエッセイの執筆など、文字を扱う仕事を幅広く行なっています。彼の書く文章は、日常の当たり前を少し特別に感じられるような風合いで書いており、読む人の心を穏やかにします。
・山本高史
引用:http://www.asahi-aaa.com/special/interview/nowthen_03.html
「ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ」(オリンパス)や、「未来は、希望と不安で、できている。」(三井住友海上)など、素朴な面を持ち合わせつつも、人の心にさりげなく染み渡る文章を書きます。数多くの広告に関する賞を受賞する実力者であり、コピーライターとしての仕事にとらわれない考え方を持っています。
・仲畑貴志
引用:https://copy.sendenkaigi.com/lecturer/
サントリーのコピーを多く手がけてきた方ですが、「心も満タンに」(コスモ石油)などのCMでよく耳にするキャッチコピーも手がけています。
世間一般の人たちが普段思っていることを全員に共感できるように伝えるのが得意な方のように思えます。
・谷山雅計
引用:https://copy.sendenkaigi.com/lecturer/
『広告コピーってこう書くんだ!読本』の著者である谷山さんの書く文章からは、頭がとてもいい方なのだなという印象を受けます。コピーライターという仕事は、商品に対して何案もコピーを書くので、自然と頭が鍛えられるそうです。
・児島令子
引用:https://copy.sendenkaigi.com/lecturer/
女性であれば、誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか?「明日、何着て生きていく?」(earth music & ecology)というキャッチフレーズは、洋服屋さんが立ち並ぶショッピングモールで目を引く仕様になっていました。
3.優れた言葉を生み出すには
コピーライターの方の多くは、インタビューや自身の著書などで、1つの商品につき、たくさんコピーのアイデアを書いたとおっしゃられています。言葉は使わなければ上達しません。それ以上に自分の中で語彙力が育っていなければ、言葉を使うこともできないのです。
また、コピーライターは世間の流行にある程度敏感である必要があります。
あまりに世間を意識しない文章は、小説やエッセイでは興味深い内容になるかもしれませんが、消費者の購買意欲を促進するという点では、最良の文章とは言えません。
電車の中や、好きな漫画の中など、自分が良いと思った言葉をスマホやメモ帳に書き留めておくと、いつか忘れた頃にそこからアイデアが生まれることもあるので、常にアンテナを張っておくことが大切です。
4.話題の書籍
言葉を扱う仕事をしているだけに、やはりコピーライターの方が書かれる作品は、伝え方に工夫があり、内容の面白さと同時に参考になる点が多くあります。会話やプレゼンなど、日常で使えるような言葉のフレーズが紹介されている本をいくつかご紹介します。
○『「言葉にできる」は武器になる。』梅田章司
引用:https://www.amazon.co.jp/「言葉にできる」は武器になる%E3%80%82-梅田-悟司/dp/4532320755
○『伝え方が9割』佐々木圭一
○『新・コピーライター入門』
引用:https://www.amazon.co.jp/新・コピーライター入門-中村-卓司/dp/4885531756
○『広告コピーってこう書くんだ!読本』
引用:https://www.amazon.co.jp/広告コピーってこう書くんだ-読本-谷山-雅計/dp/4883351793
5.最後に
言葉は人の心を動かす力を持っています。そんな力を持った言葉を用いることで、人を傷つけることもできますし、別の使い方をすれば、人を救ったり喜ばせたりすることができます。コピーライターの仕事は広告業界でも重要な役割を担っているので、興味が湧いた方は自分の気になる言葉を集めて、コピーを考えてみてくださいね
(2017.11.29)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア