プロトタイプって何?|仕事百科

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課題制作や自主制作をしていく中で必ず作るプロトタイプ。美術、デザインの勉強を始めたばかりの学生にとっては、プロトタイプがどのようなものなのかイメージするのが難しいのではないでしょうか?今回はそんな学生に向けて「プロトタイプとは何なのか」を解説していきたいと思います。
編集・執筆 / HIRATA, AYUPY GOTO
イラスト / Miyagi Takumi

目次
  1. プロトタイプとは
  2. プロトタイプの種類
  3. プロトタイプを作るメリット
  4. 最後に


 

1.プロトタイプとは?


プロトタイプとは、商品やサービス等の試作品のことを言います。プロダクトデザインだけでなく、手書きのスケッチや、アプリで描いたデジタルの絵、HTMLで作成したものまで、様々な形があります。商品やサービスのプレゼンテーションの場にプロトタイプを持ち込むことで、言葉だけでは表現できない内容や仕組みを説明することができます。UIUXデザインの分野では「Prott」「Adobe Experience Design」など、プロトタイプを作るためのツールも存在します。
「プロトタイプ」と似たような言葉として、スケッチやワイヤーフレーム、モックアップ、カンプがあります。

●スケッチ

紙にフリーハンドで描いた絵、設計図のことです。ブレインストーミングの準備として用いられることが多いです。簡単なスケッチでも、図にすることで言葉よりもしっかりとアイデアを表現することができます。

●ワイヤーフレーム

WEBサイトやアプリにおける基本的なレイアウトの設計のことです。サイトのどの位置に画像を配置するか、どこに記事、広告を置くのかといったようなことを考えて、図にしていきます。WEBデザインを外注する際、方向性を伝える場面で役立ちます。

●モックアップ

直訳すると「模型」という意味です。プロダクトデザインにおいて製品の外観デザインの試作・検討の際に作られるものです。プロトタイプとはほとんど同じ意味です。

●カンプ

「comprehensive layout」が省略されたもので、「comprehensive」には「包括的な」「総合的な」といった意味があります。デザインカンプは完成品の見本のことを示します。ワイヤーフレームがWEBサイトの基礎になるのに対し、カンプは実際にデザインを組み込んだものを言います。画像の配置だけでなく、どんな雰囲気の写真カットを組み込むのか、サイト全体のトーンアンドマナーはどうするのかを決めた、完成品に近いものを指します。

 
 

2.プロトタイプの種類


プロトタイプについて調べると、プロトタイプの中でもいくつか種類があることがわかりました。種類によって用途が大きく異なりますので、参考にしてみてください。

 

①ファンクショナルプロトタイプ

動作を検証するためのプロトタイプのことです。アプリ開発で言うと、アプリ機能の動きをシミュレーションをするものになります。UIUXの分野で使用される、ペーパープロトタイプという、紙にインターフェイスを設計しテストする手法も、このファンクショナルプロトタイプに含まれます。


▲ ペーパープロトタイプの例。
Paper Prototype Demonstration – Pinterest Mobile App Redesign

②デザインプロトタイプ

ファンクショナルプロトタイプを、より具体的にデザインしたプロトタイプのことをいいます。PhotoshopやIllustratorのようなソフトを使って制作します。アプリ開発を例にあげると、アプリ機能の動きを確認するためのものではなく、ユーザーが製品についてのイメージをより身近に感じられるところまでデザインしたプロトタイプです。デザインやディテール(UI画像や形、重さなど)まで、完成品のイメージとほぼ同様に作成します。

③コンテクスチュアルプロトタイプ

カタログやプロモーションビデオ、コマーシャルなど、ユーザーが商品を使う状況設定をして、疑似体験できるようなプロトタイプのことです。コンテクスチュアル(contextual)には「前後の関係上の、背景上の、場面上の」という意味があります。この意味どおり、商品やサービスを通してどんな体験ができるのかという「ストーリー、意味性」をユーザーに感じさせるもののことを言います。

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3.プロトタイプを作るメリット


プロトタイプをつくることは、制作活動においてどのような利点があるのでしょうか。実際のデザイン業務の場だけでなく、学校課題や自主制作の場面でも活用することができます。
 

●完成品のイメージが相手に伝わる


商品の雰囲気や写真だけでなく、デザインプロトタイプのように実際に形にしてみて、ファンクショナルプロトタイプで機能を検証し、コンテクスチュアルプロトタイプで商品の概要を説明することで、よりわかりやすくクライアントや上司に商品について共有することができます。

学校の課題制作でも、どんなものが作りたいのか教授に提示する際、資料だけでなく、実際に“もの”に触れてもらう方が作品の意図を理解してもらえる可能性が高くなります。
 

●早期に失敗を改善できる


プロトタイプを作ることで、早期に改善点を発見することができます。プロトタイプなしで作り進めると、後から不具合が見つかったときに、改善の時間がかかってしまいます。簡単なプロトタイプを制作して何度も作り直すことで、クオリティの高い商品やサービスを作ることができます。
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課題制作では、できるだけ早めにプロトタイプを制作することをおすすめします。そうすることで、改良をたくさん重ねることができ、効率よくブラッシュアップができます。
 

●認識のずれを防ぐ

商品やサービスをどのようなデザインにするか、コンセプトはどういったものか等の細かい情報を文字のみで共有すると、開発チームメンバー内で意識の食い違いが起こりがちです。プロトタイプを作ってものに実際に触れ、機能、サービスを経験すると、チームメンバーで認識をすり合わせながら開発を進めることができます。

この「チームメンバーの認識のずれ」というものは、学生のグループ制作の中でも度々起こります。考えが異なったまま制作を進めてしまうと、完成品のデザインがちぐはぐになってしまうことがあります。そのようなことを防ぐためにも、まずはプロトタイプを制作してグループ全員の認識を一致させる必要があります。
 

 

4.最後に


制作にはプロトタイプが欠かせないということがお分かりいただけたかと思います。制作中に行き詰まったら、まずは手を動かしてプロトタイプをつくってみると、制作のヒントを得られるかもしれません。自分の考えを人に伝える時や、多くの人とシェアするときにもプロトタイプを活用してみてくださいね。
 

(2018.5.16)
ひらた はな

著者紹介

平田華ひらた はな

多摩美術大学情報デザイン学科所属。紙媒体を中心に作品を制作中。
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