頭の中に思いついたことをメモしておく【アイデア帳・ネタ帳】は、ものづくりする人にとっては欠かせないアイテムですよね。
朝起きた瞬間、お風呂に入っている最中、ご飯を食べている時、通学している電車の中で、授業中に……。アイデアはいつどこで降ってくるかわかりません。そしてそれを書きとめるアイデア帳は、何年も前になにげなくメモしたことが数年後に急に形になったり、後で読み返すと自分でも当時の自分が何を考えていたのかかわからなくなったり。人に見せることを想定して書いていないアイデア帳やネタ帳は、人によって書き方がさまざまです。
さて、今回は、気になるけれど普段はなかなか見ることができない他人の、それも美大生の【アイデア帳・ネタ帳】を覗いてみたいと思います。素晴らしい作品は、一体どのような思考の先に生まれてきているのでしょうか?
編集・執筆/NISHIDA, AYUPY GOTO
○美大生の頭の中ってどんな世界?
≪全国の大学生の約3%!芸術を学ぶ大学生の放課後≫の記事によれば、日本全国で芸術に関することを学ぶ大学生はたった3パーセントしかいないそうですが、そんな希少な存在である美大生・芸大生の頭の中がどうなっているのか、知りたくはありませんか?
黙々と制作に没頭し、次々と独自の世界観で作品を生み出していく。頭の中にとんでもない宇宙を飼っていそうで、想像力が豊かで少し個性的な人たち……。彼らの脳味噌がどのような理屈や思考回路をたどって作品を作っているのかは、なかなか他人からは理解し難いものです。
でも、そんなミステリアスな彼ら・彼女らの思考の辿る道筋を、アイディア帳・ネタ帳の1ページから少しだけ覗いてみることはできます。それが皆さんの制作のヒントにもなるかもしれません。
さあ、一緒に美大生の頭の中の宇宙を覗きに行ってみましょう!
綺麗に図解? 本人以外は解読不能?
覗いてみよう、美大生の頭の中!
▼ アイデア帳の中身
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
-鉛筆の簡潔な線で制作するものの構造が図解されていて、とてもわかりやすいですね。計画がそのまま綺麗に完成品になっているのが他者からでもわかりやすいです。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
書き心地がいいことと、そのまま色をつけられるので、鉛筆ではなく万年筆やペンで描くのが好きです。
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
-ペンでざっくりと書かれた一連のスケッチは、具体的な計画書というよりも抽象的な言葉などがぽこぽこ浮かんでひとつの図を作っていて、それが最終的な作品になった工程は抽象作品を作る際の参考になる気がします。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
-アイデアスケッチの段階から読みやすい書き文字とかわいらしいイラストと色鉛筆のカラフルさで、華やかで楽しいものになっていますね。それが最終的な制作物になっても継続されています。こんな綺麗なアイデアスケッチなら見返すのも楽しそうです。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
-一冊だけ持ち歩くノートということで、表紙にもオリジナルの絵が描かれていて、こだわりが素敵です。スケッチからもウーさんの独特の世界観が見えて面白いですね。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
-思いつきメモをマスキングなどで切り張りして作るアイデア帳も良いですね。「春画」を覗き見る……という構造を考える際に「ドキドキ」や「解放」といった言葉と、イラストが図解されているのが面白いです。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
日頃の思考の変化や、他人から言われた言葉も同時にメモしています。書いた場所が分散しているので、探すのに時間がかかるのですが、基本的に日付順にメモしてるので「とりあえず3つのうちのどれかで、このあたりの時期に書いてあるはずだ!」と信じて必要な時に見返します。後日アイデアやメモを書き足す場合は書き足した日付もメモして、一つのページ内の複数の情報がいつ書かれたものなのかわかるようにしてます。
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
-サイズや日付、作業工程など数字や技法的なことを書くことが多い印象です。思考や抽象的なことをメモする人が多いので、このように具体的な数字などだけ書きのこしているのはファイン系では珍しいような気がします。作品のロマンチックさとギャップがありますね。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
2350×1905mm
-白黒のみを使用する作風から、白の素材研究のメモがあるのが特徴的ですね。最終的な完成品は密度のある繊細な作品なのに対し、アイデアスケッチではざっくりとおおまかな流れを書きとめている印象です。人によってアイデアスケッチでどこまで考えを固めるのかも様々ですね。参考になります。回答ありがとうございました!
▼ アイデア帳の中身
大抵大まかな構図とタイトルを、ほぼ同時に思い付くところから書き始めることが多いので、イメージの横に一言添えてあります。なかなか常にそうはなりませんが、同じページ内に同系統のアイディアが小さく沢山入っているのを一覧出来て、そこから選んで清書出来る状態が1番贅沢だなと思っています。
▼ このアイデア帳から実際に作品になると?
-計画の段階でタイトル決めが重要視されているスタイルのアイデア帳ですね。ざっくりとした構図の中に、ぽつりぽつりと書きとめられた「なんだそのもふもふは」「それいいね」「あ うん」「どうしてそういうことするの」などのセリフが、シンプルなのに印象的です。素敵な回答ありがとうございました!
○お気に入りのアイデア帳を探しに行こう!
さて、個性様々なアイデア帳を見せていただきました。
どんなタイミングで降ってくるかわからない大切なアイディアたち。それをいつでも漏らさず書きとめられるように、持ち運びやすくて書きやすい、自分にぴったりの一冊を持ち歩きたいですね。
▼の記事ではオススメの画材店や文具店をご紹介しています。自分にピッタリのアイデア帳・メモ帳を探しにいっては如何でしょうか。
○おわりに
さて、今回は美大生の頭の中を少しだけ覗いてみました。
それぞれが作品をつくる上で辿る思考の道筋……他人の頭の中を覗くことはできませんが、アイデア帳から思考の流れを辿ることで、彼らへの理解は深まったでしょうか? それとも遠のいたでしょうか?
頭に描いたことを形にする為にその過程をまずは書きだしてみる、ということは、ものづくりの重要な過程だと思います。そしてそのやり方も人それぞれです。正解はありません。
皆さんも是非アイデア帳・メモ帳の中に、自分だけの素敵な宇宙を構築してくださいね!
そこから素晴らしい作品たちが生み出されていくことを祈っています。
(2017.9.12)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア