地域の魅力を引き出すブランディングが注目されている現在、そのこだわりは地域の特産品やお土産のパッケージデザインにも目が向けられています。美味しいのに知られていない特産品やお土産が、地域で活躍するクリエイターの力で変化しているのです。今回はいま注目されている地域×パッケージデザインの魅力をご紹介していきたいと思います。
編集・執筆 / ARAAKEMAYU, AYUPY GOTO
◆ 地域×パッケージデザインとは?
地域ブランディング
最近、地域のブランディングが話題になっているのをご存知ですか?
地域ブランディングとは、行政・企業・地域などの働きかけによってその地域の魅力を極大化しようとする活動のことを指します。人口の流出や、地域の高齢化、文化の衰退など地域ごとに直面している課題は様々ですが、その地域ならではの魅力を発信しようと奮闘し続けているのです。
地域×パッケージデザイン
地域ブランディングの中でも力を入れているのが、その地域ならではの特産品やお土産です。美味しいのに知られていない特産品や、あまりぱっとしなかったお土産のパッケージデザインを見直すことで、その地域の魅力をより発信できると考えられています。
素材は良いのに、説明を受けないとその商品の良さがわからないパッケージデザインが一般的で、商品のセールスポイントがわかりにくいなど特産品やお土産の課題は様々で、その問題点をパッケージデザインの力で解決しようしているのです。
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◆ 地域クリエイターが魅力を引き出す!パッケージデザイン
その地域で生まれ育ったクリエイターだからこそ、魅力を引き出した地域×パッケージデザインを紹介していきたいと思います。
北海道キャラメル
北海道の素材にこだわったキャラメルシリーズ。「チョコキャラ村」に住む10種類のキャラクターがユニークで可愛らしいパケージデザインになっています。現在のパッケージデザインは全体的に淡い色の背景に、目を引くキャラクターのイラストが載っていますが、かつては味ごとに違った素材やイメージが描かれたり、色や見た目に統一がないものでした。そこで、北海道キャラメルが北海道を元気にする一つの足がかりになればという思いから「チョコキャラ村」が生み出されたのです。
北海道在住のイラストレーター
このチョコキャラ村のイラストを描いたのは、公共広告のACジャパンのCM「あいさつの魔法」で知られる、札幌在住のイラストレーターyukkyさんの作品です。キャラクターの一つ一つには性別、年齢、細かいプロフィールが決められていて、そのキャラクターの公式サイト、キャラソング、漫画連載までされています。デザインだけでなく、ムービーの声優、キャラソングまでこなしているyukkyさんの北海道キャラメルに対する、愛が伝わるパッケージデザインになっています。
しろくまのお米
しろくまのお米は、新潟の越後平野で「新潟しろくま会」によって作られている特別栽培のコシヒカリです。できる限り農薬や化学肥料に頼らないお米づくりを行っており、炊き上がりのお米の真っ白な粒の美しさは芸術的です。パッケージデザインにされているお米の形をした可愛らしいなキャラクターは「しろくまんま」。名前は一般公募から選ばれ、しろくまのお米+ご飯(新潟弁で「まんま」)を組み合わせて名付けられました。お米の形から連想されたしろくまのイラストが可愛らしく、ほっこりした気持ちになるパッケージデザインが印象的です。
地元新潟のデザイナー
このしろくまのお米のパッケージデザインを手がけたのは、地元新潟のデザイナー石川竜太さんです。真っ白で優しい雰囲気の「しろくまのお米」が、パッケージデザインから伝わってきます。また、「しろくまのお米」のこだわりを込めたリーフレットやオリジナルのタグもデザインされていて、しろくまのお米を丹念に研究し栽培してきた「新潟しろくま会」の熱い思いをお客さんに届けています。地元のデザイナーさんだからこそ地元の人の思いをカタチにするデザインが、出来ているのかもしれませんね。
食いだおれ太郎プリン
パッケージデザインから、食いだおれ太郎をイメージさせるデザインが印象的な食いだおれ太郎プリン。箱の中を開けると、食いだおれ太郎の帽子だけしか入ってないと思いきや、帽子の中からプリンが出てくるという、面白い仕掛けのある商品です。
大阪だからこそユーモアある仕掛け
このパッケージデザインを手がけているのは、大阪にある株式会社太郎フーズ。主に食品やおみやげ物等の企画制作、販売を行っています。自社商品のデザインということもあり、パッケージデザインには沢山のこだわりが詰まっています。表面だけでなく、箱の内側にもプリンにまつわる思いが書かれているほどです。地元の大阪の人たちが手がけていることから、ユーモア溢れるデザインになっています。
あば村商店
平成の大合併から10年をへて、ふたたび『村』宣言をした岡山県津山市阿波(あば)には、美味しいものが沢山あります。そんなあば村の「旨いもの」を集めたあば村商店にはお母さん達の手づくり味噌やお父さんが育てた美味しいお米、大人気のお餅、ぽん菓子など、昔ながらの素朴な手づくりの品が並んでいます。
岡山県を拠点に活動するデザインファーム
このあば村商店のパッケージデザインを手がけるのは、nottuo株式会社 / nottuo Inc.という岡山県を拠点とするデザイン会社です。あば村のお母さん、お父さんたちが手作りした商品の温もりが伝わるパッケージデザインになっています。
竜馬の水
株式会社四国ぞっこんから発売された、竜馬の水。坂本龍馬=竜馬が脱藩の時に喉を潤した伝説の湧き水を由来してこの名前がつけられました。
愛媛松山を拠点とするデザイン事務所
このパッケージデザインを手がけたのは、愛媛松山を拠点とする株式会社グランドデラックス / Grand Deluxe inc.です。赤い日の丸と、「竜馬の水」のロゴがとても印象的なパッケージとなっています。この他にも、地元愛媛の特産物を中心に、数多くのデザインを手がけています。
まちやコスメtefutefu
長崎市で最も歴史がある商店街、中通り商店街にあるまちやコスメtefutefu。このブランドは「ハイカラな長崎女子の部屋と持ち物」をコンセプトに作られました。少しレトロさを感じさせる、イラストや色使いは女心をくすぐるデザインになっています。
長崎県長崎市のデザイン事務所
このパッケージデザインを手がけるのは、長崎県長崎市のデザイン事務所DEJIMAGRAPH。名前に出島と入っているところから、地元長崎に愛が感じられます。パッケージデザインだけでなく、地元長崎のお店や会社のブランディングデザインを多くてがけていて、九州ではたくさんの賞も受賞されています。長崎の魅力あるものをデザインの力で発信していくデザイン事務所なのです。
◆ 最後に
地元で生まれ育ったクリエイターだからこそ、その地元の商品には情熱を込めて取り組んでいる印象を受けました。地域で活躍するクリエイターは、商品を作った人々のことをよく知っているからこそ、デザインにもその想いや課題解決を、うまく表現できているのではないかと考えます。是非これからは、地域のパッケージデザインにも注目してみて下さい。
(2016.10.18)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア