美術大学の冬休みは、なぜだかとっても長いです。長すぎる冬休み、制作に夢中になって昼夜生活が逆転してしまう人が多いと聞きます。
私(筆者:たまちゃんズ)は完全にそのタイプなので、冬の長期休暇がとても怖いです。
そこで今回は長期休暇を有意義に使えるであろう「海外留学」についてご紹介したいと思います!
編集・執筆 / tamachanz, AYUPY GOTO, イラスト / Miyagi Takumi
目次
- 留学するメリット
- アートが学べる海外の学校
- 金銭面
- 滞在期間
- 留学に必要なもの
- 最後に
1.留学するメリット
平日は仕事、休日が短い社会人とは違い、時間だけはたっぷりある大学生。いざ留学しようと思っても、わざわざ住み慣れた日本を離れて海外へ留学するメリットとはなんだろうかと考えると、なかなか留学に踏み切れないものです。そこで、はじめに海外留学するメリットをご紹介したいと思います。
●理解できる(話せる)言語が増える
現在、日本の学生で語学留学のため海外のスクールに通うことは珍しくありません。しかし、海外の学生は「英語と、その他に興味があることを学びたいから留学する」という人がほとんどです。美大生であれば、なおさらのこと、海外で個展を開催したり、現地の人と交流を深めて仕事をもらったり、日本語以外の言語で書かれた文章を読んで美術・デザインを勉強する、など英語を自分の知識を得るための手段として考えることで、モチベーションの維持にもなり、学習効率も上がるのではないでしょうか。
●刺激をもらえる
大学進学とともに親元を離れて暮らすことになった人は、大学という多種多様な人々が集まる環境に身を置いてみて、その文化の多様さに驚いたのではないでしょうか。生まれた場所が違えば、話す言葉、生活習慣、食べるもの、考え方、さらには見て育ってきたアニメも違います。人は成長するにつれてそれぞれの考え方を身につけるため、自分にとっての当たり前が、他人には通用しないという場面に遭遇することも少なくありません。そこで、日本以外にも、海外の常識や日本との文化の違いを体感することで、日本内外関係なく作家活動、あるいはデザインをする上で活かしていける考え方を学ぶことができます。
●自分を変えるきっかけになる
海外での人との出会いや、文化の違い、物事の違いは、一概に優劣をつけることはできません。変化の途中にある10代・20代は、スポンジのようにあらゆるものを吸収することができるので、見知らぬ土地で出会った物事を自分で判断し、良いと思ったものを積極的に取り入れることで、自分を構成する要素が増え、新たな自分へ成長することができます。
●世界が身近になる
「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」という言葉があります。その言葉の本来の意味はさておき、グローバル化が進んだ日本社会では、
海外を無視して話を進めることが、できなくなっています。輸入・輸出といった貿易面でも、日本国内でまかなえる物資は限られていますし、韓国・アメリカのメイクは日本の女の子のメイクの参考になっています。したがって、どんな些細なことでも、日本に影響を及ぼしかねない海外情勢に注意を向けることはとても重要です。留学先の留学生が日本人だけということは少ないでしょう。そのため、多様な国から来た友達と一緒に授業を受けたり遊んだりすることで、その人の国を知り、「遠い国の話」が「あの子がいる国」と身近に思えるようになり、ニュースの見方も変わってくるのではないでしょうか。
●将来の選択肢が増える
海外留学中に得た経験は、「自分にはこんなことができたんだ!」という新たな発見や驚きをもたらしてくれます。その発見は自信へと繋がり、自分をもっと好きになることができると思います。
また、就職活動の際、留学した行動力は評価されますし、語学を学ぶことで、言語に対する抵抗感が軽減され、その言語を使わないとできないようなボランティアやその他の活動、イベントにも参加できるようになります。つまり、自分の将来の選択肢が増えることに繋がります。
2.アートを学べる海外の学校
日本と海外では、入試形式から授業料、授業形態まで様々な違いがあります。海外の大学に留学するとなった場合、その違いは入念に下調べし、あらかじめ準備しておかなくてはなりません。(参考:国内と海外大学の教育文化の比較)
色々と考えるべきことはありますが、まずモチベーションを上げるためにも留学ができる海外のアートスクールについて、筆者目線で気になる大学を紹介していきます。
・ロンドン芸術大学
ロンドン芸術大学は留学生が多いため、学生サポートが充実しており、日本語のサイトも多く存在します。学べるアート領域も広く、特にファッション系の学生はロンドンの土地柄的にもオススメです。長期以外にも、2週間からの短期プログラムもあるので、冬休みに少しだけ行ってみるのも良いかもしれません。
・弘益(ホンイク)大学
弘益大学は韓国の美術大学です。美術学部もありますが、総合大学でもあるので、幅広い履修ができます。また、大学周辺では、毎週末午後にフリーマーケットが開かれているので、多様な作家たちの創作品の展示、創作品の販売、バンドの公演などを見る事ができ、韓国のアート文化に触れることができます。韓国は若者のサブカルチャーの土地としても有名なので、若いエネルギーを感じることができるかもしれませんね。
・ベルリン芸術大学
ベルリン芸術大学はファインアート学部、建築・メディア・デザイン学部、音楽学部、舞台芸術学部があります。ドイツ ベルリンでは2014年にトランスメディアーレが開催されており、カールスルーエアートメディアセンターという、メディアアートに関係する新しい情報技術や理論の研究が行われている施設があるので、メディアアートが盛んな土地だと言えます。
・ヘリット・リートフェルト・アカデミー
オランダにあるこの大学は、グラフィックデザインの評価が高いことで有名です。生徒の半数以上が国外から入学しているため、授業は大半が英語です。世界規模の美術デザイン教育の発展に力を入れていて、実験的な教育プログラムが特徴的です。
3.金銭面
海外留学をするにあたり、問題の1つとして浮かび上がるのが、金銭面の問題です。短期留学をするにも、最低約30万円は資金が必要になります。加えて、滞在中の生活費、旅費などを考えると、さらに資金が必要になってきます。そこで利用しておきたいのが奨学金制度です。
JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)や、文部科学省は海外留学を考えている学生に対して、給付型、貸与型の奨学金制度を行なっています。また、美術大学も留学支援のための奨学金制度を導入しているところがほとんどですので、必要であれば一度大学の学生課から資料をもらうといいかもしれません。
4.滞在期間
ひとえに留学といっても、長期で本格的に学ぶ人もいれば、体験や基礎を学びに長期休みを利用して短期留学を考えている人など、様々だと思います。
短期であれば、まず自分が留学先に選んだ学校の授業開講日程を確認し、それが自分の学校の授業や行事と重なっていないかどうかを確認しましょう。
そこがクリアできていれば、留学に向けて準備を進めることができます。
5.留学に必要なもの
スケジュールを確認したら、留学に向けて色々と準備する必要があります。必要な書類は各大学ごとで異なりますので、よく調べてから用意しておいてください。ここでは一般的に必要とされるものを紹介します。
●パスポート
まずこれがなければ日本から出ることができません。
パスポートの申請から受け取りには、本人の顔写真が必要で、受け取りの際には必ず本人立会いのもと受け取らなければなりません。万が一紛失した時に備えてコピーをとっておくといいでしょう。またパスポート発行には最低でも10日間はかかるので、早めに準備しておきましょう。
●航空券
●クレジットカード
●外貨
●学生ビザ
ビザは入国目的によって種類があり、短期留学の場合はビザが不要な国もあります。観光ビザで留学をする場合は、週に18時間以内の学習までしかできないので、短期でもしっかり勉強したい場合は学生ビザを発行することをお勧めします。ビザの発行には大使館を通さないといけないため、早めに申請する必要があります。
●語学力
これは持ち物ではありませんが、留学する際大学が設けている基準の語学レベルを習得していなければいけません。しかし、語学レベルを問わず参加できるプログラムもあるので、各留学サイトを見比べるといいと思います。
●在学証明書
自分の大学の在学証明書や、すでに卒業されている方だと、卒業証明書が必要になります。大学に用意してもらえるように学生課に申請をして必要書類を受け取ります。
6.最後に
留学に必要なのは個人の意思と行動力なので、やってみたいと思ったらすぐに調べてみてください!
また、「留学はちょっと...。」という人は、観光目的で現地に行って、ついでに興味がある大学に授業見学をお願いしてみるといいかもしれません。何事も挑戦ですので、興味を持った方はぜひ一緒に頑張りましょう!
(2017.12.14)
著者
はたらくビビビット
ポートフォリオとデザインのリファレンスメディア