Apple製品専用アプリ「iBooks Author」を使って、電子書籍を自己出版してみよう!

みなさんは、本を作ったことはありますか?
最近ではZINEやフリーペーパーなどを自費で出版する学生が増えています。
編集はもちろんのこと、製本にまでこだわり販売するとなると、学生には少し費用がかかりすぎてしまうことがあるかもしれません。
そこで今回は、紙の本と違って印刷代がかからない「電子書籍の作り方」をご紹介したいと思います。
紙の書籍の製作工程と似ている部分もあり、意外と簡単に作ることができるんです。ぜひ、一読してみてください。
編集・執筆 / tamachanz, AYUPY GOTO

目次

    1. 電子書籍とは
    2. -紙の書籍との違いは?
      -電子書籍のメリット・デメリット

    3. 実際に作ってみよう
    4. -制作フロー

    5. 最後に

1.電子書籍とは


電子書籍とは、スマートフォンやパソコン、専用の電子書籍用端末で読める電子出版物のこと。元から存在する紙の本をスキャナーで読み込んだものであったり、はじめから動画やHTML(プログラミング言語の1つで文章を書いたりデザインもできる)で設計されていたりする、紙を使わない書籍です。

◉紙の書籍との違いは?

紙の書籍と電子書籍、どちらも良いところと不便なところがあります。
次に電子書籍のメリット(=紙のデメリット)・デメリット(=紙のメリット)を列挙していきます。

◉電子書籍メリット

・中綴じ製本のように面つけを考えなくていいので、
 ページ数に縛りがない。
・印刷代がかからないので、紙書籍よりも安価になる
・何冊買っても本棚がいらない
・暗所でも読むことができる
・わからない言葉をすぐに調べることができる
・紙書籍は水や汚れで劣化するが、電子書籍はデータなので、紛失の可能性がほとんどない。
・文字の拡大が出来るため老眼鏡などの必要が無い
・PCやスマホなど様々な端末で閲覧することができる。
・動画や音源を使用することができるので、状況説明が楽になる。

◉デメリット

・長時間画面を眺めると目が疲れる
・端末の充電が切れると読めなくなる
・電子書籍を読むための端末を買う場合、初期費用がかかる
・紙のように匂いやめくる動作がなくなる
・ページにメモをするなど、自由度が低い
・紙媒体に比べると、出版されている数が少ない

◉リフロー型とフィックス型

電子書籍の表示方法には、リフロー型とフィックス型があります。

リフロー型...電子機器によって、文字の大きさや行間が最も見やすいように変化する。
フィックス型...電子機器が変わってもレイアウトはそのまま表示される。

2.実際に作ってみよう!

今回は、電子書籍作りの入門として、テンプレートやガイドラインが充実している、Apple製品専用アプリ「iBooks Author」を使います。

引用:https://itunes.apple.com/jp/app/ibooks-author/id490152466?mt=12
Apple公式サイト
電子書籍を作ることができるアプリやサービスは他にも多くあるのですが、このアプリのようにHTMLや3Dモデリングを埋め込むことができるものは少ないです。

☆製作フロー
企画を立てる
  ↓
コンテンツの構成を考える
   ↓
コンテンツを作成する(文章や挿絵など)
   ↓
ページネーションと誌面構成を考える
   ↓
実際のレイアウト・制作を行う

   

●企画を立てる

製作する本のタイトルや、コンセプト(どういった本にするか)、中身のボリューム、
もし販売するなら販売する対象・年齢層、目的など。
類似メディアをリサーチしつつ企画をまとめる。

(例:タイトル→ポートフォリオ、コンセプト→1年を振り返る意味でも作品をまとめておく)
(例:タイトル→絵本、コンセプト→大人も楽しめるホラーな絵本、ボリューム→25ページ)

●コンテンツの構成を考える

〜本の構成を考える〜

◉一般的な本の構成
 [表紙・ブックタイトル]本のタイトル
 [前つけ]口絵、総トビラ、謝辞、序文・はじめに(読者に向けてメッセージ)、目次
 [本文]章扉(チャプター)、節(セクション)、本文(ページ)
 [後付け]あとがき、最後に、終わりに、索引(用語集)、奥付(書籍の情報:著者名や発刊日、等)
(⚠︎ibooksの場合は、本文のチャプターやセクションなど、構造を意識して作り進める。)

●コンテンツを作成する(文章や挿絵など)

コンテンツとは中身や内容物という意味を持つ言葉です。
ここでは、書籍に掲載するための中身(写真や文章など)を考え、作ることを意味します。
ポートフォリオを作る場合は、書籍内に自分の作品の写真や動画、それに付随する文章や挿絵などを用意する必要がありますし、自作の絵本や小説などを作成する場合は、その用途に沿ったコンテンツを用意する必要があります。

ibooksでは、新しい作業ページを開くとすぐにこのようにテンプレートの種類が表示されます。制作目的に沿った形のものを選びます。

●ページネーションと誌面構成を考える

・紙面の流れが不自然ではないか確認しながらページを決めていく。

-各ページのコーナーがバランスよくメリハリをつけて配置されているか
-構成がわかりにくくないか
-中身が単調になっていないか(図や写真、動画、フォントの変化などを効果的に使う)

・誌面構成を元に、色彩計画やレイアウトを決めていく

・電子書籍なので、動画やスライドショー、も念頭に置いて作業を進める。

・小説や論文など読み物的なものほど、構成要素は少なくなる

・内容が図だけで説明できるのであれば、文章は省略するなど、わかりやすくレイアウトする。

・電子書籍の良さを活かしてレイアウトする。

●実際のレイアウト・制作を行う

タイトル、本文、レイアウトを練り上げたら、まずどんどん手を動かしてみましょう。

使用するテンプレートを決めてクリックすると、下記のような画面が表示されます。
この画面の文字や画像はテンプレートのままなので、ここから自分の考えた文章や、撮影した写真を載せていきます。

今回は、ポートフォリオを作ることを想定してテンプレートの文章を少し改変し、画像を差し替えてみました。画像はもちろん動画も挿入することができるので、紙の本には成し得ない優れた点だと言えます。

また、上と左に表示されているメニューもわかりやすく、上のメニューではフォントや色を変更することができますし、左のメニューから目次や本の表示タイトルを入力することができます。

3.最後に


今回は、電子書籍出版のメリット・デメリットや、安価な自己出版についてご紹介しました。
「紙の印刷、製本は大変魅力的だが、お金がないという人」や「デザインまではできるけど印刷から出版までがめんどくさい」という人は、ぜひ、ポートフォリオでも、簡単な自己紹介でもいいので、
自分だけの電子書籍を作ってみて、アイデアを本という形にする喜びを味わってみてください!

(2017.12.11)

著者

たまちゃんズ

多摩美術大学でメディアアートを学んでいる1年生です。 趣味は何も書かれていない紙を眺めることです。

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