「これぞ完璧なプレゼンテーション。」 田村さんのポートフォリオのプレゼンを聞いて僕が率直に思ったことです。「建築」と「身体」というテーマを掲げ、流れるような作品の解説が本当に綺麗でした。一つ一つの見開きページの完成度の高さや、非凡なレイアウトセンスも注目すべきポイントです。実際の面接で話していた順番どおりに作品を紹介していきます!構成や作品の表現などを見て、ポートフォリオづくりの参考にしてみましょう。
編集・執筆/KOTARO YONEDA,AYUPY GOTO
PICKUP!
ポートフォリオ全体の構成、編集部がビビビっときたページをご紹介していきます!
「建築」と「身体」という一貫したテーマ
▲トレーシングペーパーに人体の動作寸法の図が重ね合わせられている
田村さん:ポートフォリオのタイトルは『ARCHITECTURE AND BODY』です。僕は「建築」と「身体」の関係性をテーマにして作品を制作してきました。
「鹿建築」 ‐‐学校課題4年生前期・二地域居住‐‐
▲鹿と建築の関係性を考えた作品、鹿の行動領域を調査したこときっかけで「建築」と「身体」の関係に興味を惹かれていく
田村さん:鹿の習性を考慮して、鹿を捕らえる為の罠モデルを作成しました。人と鹿は各々の道をたどり、中心部に引き寄せられるようになっています。
「身体住居_T邸」 ‐‐4年生後期・卒業設計‐‐
田村さん:さらに建築と身体について深く掘り下げる為に、卒業制作では自分の身体寸法に対応した住宅を設計しました。
▲自身の身体の行動領域をかたどって、建築の形態を決めたという
田村さん:手の届く範囲ギリギリに壁がありますが、良くも悪くも、卒業設計らしく、「建築」と「身体」というテーマをとことん素直に表現することを徹底しました。
「四谷サウンドクラブ」 ‐‐大学院課題1年後期‐‐
田村さん:この作品では、人間が音を感じる耳の構造を参考にして、建築で音をコントロールしようとしました。建築単体のテーマを都市にまで拡張させています。
ポートフォリオ一問一答
●制作した時期
大学院1年11月〜12月
●コンセプト・テーマ
ARCHITECTURE AND BODY 「建築」と「身体」の関係性
●掲載した作品内容
4年生前期課題作品、卒業設計、大学院1年都市設計、大学院1年実施プロジェクト、コンペ作品
●サイズ・ページ
片面A3横開き/95ページ
●制作に使ったソフト
Illustrator,Photoshop
●ポートフォリオの制作プロセス
(1)最初の作品を纏める際に全体のレイアウトなどを確認
(2)Illustratorを用いて、ページの編集
(3)手書きの一枚絵を何回も出力し直して色味を調整
(4)学校でコピー用紙を出力
(5)自分で製本
●印刷・製本方法
A3用紙をスプレーのりで両面張り合わせ
(淵をカットしている分、実際の1ページはA3よりも少し小さい)
製本にもこだわり、花布※には作品のモチーフでもある鹿の茶色をあしらう
- 製本豆知識:花布※(はなぎれ)って?
製本で、中身の背の天と地との両端にはりつける布地。本来は補強を目的としたが、現在は装飾の為に用いられる。
●制作にかかった費用
1000円
学校のコピー機で印刷したので、費用は表紙の布や製本の為の素材のみ
●ポートフォリオづくりで、参考にしたもの
建築家ピーター・ズントー氏の作品集。線で濃淡をつけたパースなどの表現も参考にしている
ピーター・ズントー作品集:例
●これからポートフォリオを制作する人へのアドバイス
見開きに作品素材を一枚で大きく載せて解説を添えました。そうしたほうが自分の建築をうまく見せることができると思ったからです。ただページ数はかなり多くなりました(笑)。建築は1ページにパースや図面など纏める人が多いですが、結局その見せ方がその人に合うかどうかが大事。各々にあったレイアウトに挑戦してみてください。
はたらくビビビット編集部より
自分なりのテーマを持つことの重要性を再認識させてくれたポートフォリオでした。一貫した筋を通して説明することにより、ポートフォリオで語られていることは強力な説得力を持ちます。
ここではまず1作品目でこのテーマに興味を持ったきっかけを、2作品目ではそのテーマをより深く掘り下げています。3作品目では都市という広い範囲にまでスケールを拡張。このように段階を踏んで「建築」と「身体」というテーマを話すことで、ポートフォリオ全体を通して、田村さんの設計思想や表現スキルはより強固なものとして伝わってきます。
終始冷静に自分の建築について語ってくれた田村さんですが、圧倒的な密度の手書き図面やパースからは隠れた情熱を見ることができました。ポートフォリオの構成、分析、設計手法、作品表現、どれをとっても参考に出来る点があると思います!
田村さん、ご協力ありがとうございました。
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(2019/07/29更新)
(2017.12.6)
著者
はたらくビビビット
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