DTPって何?|仕事百科

デザイン業界の求人情報を見ていると、DTPデザイナーやDTPオペレーターといった言葉をよく目にしませんか?DTPが印刷に関することだと知っている人も多いでしょう。しかし、DTPがどういった意味を持ち、DTPデザイナーが具体的にどのような仕事をしているのか知らない方もいるのではないかと思います。今回は意外と知らないDTPについて簡単にまとめてみました。編集・執筆 / KANAKO HONDA,  AYUPY GOTO

目次

  • 1. DTPって何?
  • 2. DTPでどんなことができるの?
  • 3. DTPの基礎知識
  • 4. 最後に

1. DTPって何?

DTPとは、DeskTop Publishing(デスクトップパブリッシング)を略したもので、日本語では「机上出版」や「卓上出版」と言われています。DTPの主な役割は、パソコンでデータを作成し、実際に印刷物を作成することです。
かつて、DTPというものがなかった頃は、印刷物を制作する際に、版下の作成や製版、印刷などのいくつもある工程をそれぞれの専門家が手分けをして行っていました。そのため、印刷物には多くの人と時間が必要でした。しかし、DTPではこの作業を全てパソコン上で行うため、ひとりで手軽に行えるようになったのです。
それらのDTPを仕事にしている人は、一般的にDTPデザイナーDTPオペレーターの2つに分かれています。

DTPデザイナーとDTPオペレーターの違いは?

<DTPデザイナー>
DTPデザイナーとは、一般的には印刷物のデザインの割り付けをパソコン上で、つまりDTPで行う人のことを指します。文章や写真、イラストなどをのレイアウトを考え、DTPソフトを使ってデザインをするのがDTPデザイナー仕事です。

<DTPオペレーター>
DTPオペレーターとは、デザイナーが作成したデータをもとに、修正や加工をして、印刷できるデータを作成する人のことを指します。そのため、基本的にDTPオペレーターはDTPデザイナーに比べ、デザインの要素は少ないですが、明確な区切りはないため、両方の仕事をこなす人が多いようです。それは、DTPのデザインをする際に、DTPオペレーターのスキルも必要となるためです。

2.DTPでどんなことができるの?

それでは、具体的にDTPでどんなことができるのでしょうか。DTPが普及する前の印刷工程と合わせてみていきましょう。

<DTPが普及する前の主な印刷工程>
1【企画】企画を提案する。
2【編集・デザイン】企画をもとに文字や写真、図形などのレイアウトをする。
3【版下の制作】レイアウトをもとに文字を配置し、写真などを配置する場所にアタリをつける。
4【製版】版下をもとに、写真などを取り込んで印刷用のフィルムをつくる。
5【印刷】製版でつくられたフィルムから刷版をつくり、印刷機に取り付けて印刷する。
6【製本】印刷されたページをまとめて、本にする。

これらの中で、2〜4の工程である【編集・デザイン】、【版下の制作】、【製版】がDTPによってひとりで行うことができるようになりました。こうした工程がひとりで行えるようになったことで、デザイナーが版下や製版の作業を度々確認し、問題を修正するという作業もなくなり、制作時間を短縮できるようになりました。さらに、仕上がりに近い状態まで自分で制作することができるため、より自分のイメージに近いものを制作することができるようになったのです。
また、DTPでは、版下をつくることはほとんど行われず、現在では入稿用に作成したデータを印刷したものが版下として使われることも多いようです。
これらの作業を行うときに使われるDTPソフトには以下のようなものがあります。

DTP2-min

主なDTPソフト

・QuarkXPress
DTPレイアウトソフト。使いやすさと安定度の高さからDTP業界で圧倒的な支持を得ていました。かつてほど広範囲ではありませんが、その操作性から根強い人気があるソフトです。

・Adobe Indesign
DTPレイアウトソフト。ページ数の多い冊子や書籍のレイアウトデザインに主に使われます。DTPデザインのソフトPhotoshopやIllustratorとの互換性が良いため、よく使われています。

・Adobe Photoshop
写真を加工することに適したソフトです。画像ソフトとして高い機能を持つことから、写真の合成や2次元のCG、イラストなど様々な利用方法が考えられ、プロの方も使う評価の高いソフトです。

・Adobe Illustrator
イラストやグラフ、図などを描くことに適したソフトです。グラフィックデザインの世界ではこのソフトがよく使われています。数ページのパンフレットやポスター、チラシなどはIllustratorでレイアウトまで行い印刷することも多いです。

・Adobe Acrobat
様々なソフトでつくられたデータをPDFに変化するソフトです。これを使うことで、どのパソコンでも内容を確認、印刷することができます。このソフトにより、元データのファイル形式の自由度が上がりました。

DTP3-min

3.DTPの基礎知識

それでは、DTPの基礎知識として、上記でも使われているものを中心に、DTPでよく使われる言葉をおさらいしていきましょう。

【割り付け】
紙面の構成を行うこと。文字や写真、図などのレイアウトをすることです。

【アタリ】
写真や図の位置や大きさがわかるように、版下に入れるりんかくのこと。またはそれらのコピーを貼ったもので、出力用に高解像度の画像をレイアウトソフトで取り込んで作業する場合は必要ありません。

【製版】
印刷用の版面をつくること。版下を撮影してつくったフィルムのことで、事実上修正がきく最後の工程となります。

【版下】
白い台紙に写植やDTPで出力した文字を配置し、写真や図を配置するところにアタリをつけ、トンボや罫線などを書き込んだもの。

【刷版】
オフセット印刷時に使用する版のこと。版面となる絵柄をPS版というアルミの板に焼き付けたもので、製版フィルムを用いて行う昔ながらの刷版処理と、現在主流となっているコンピューターによって刷版処理を行うCTPという方法があります。

【CTP】
Computer To Plateの略称で、DTPで印刷用のデジタルデータをフィルムに出さず直接版に焼き付ける方法のことを指します。ダイレクト刷版とも言われます。

【オフセット印刷】
一般的な印刷物に使われている印刷形式で、平版印刷とも言われます。凹凸のない版のため、水と油(インク)の反発しあう性質を利用して、インクがのる部分と乗らない部分を分けています。

オフセット印刷-01

4.最後に

いかがでしたか?web媒体が普及した今でも、紙媒体は根強い人気があります。自分で印刷用のデータをつくり、インターネットで印刷を注文できるサービスが増えてきたように、今後もDTPは必要とされ続けると思います。DTPの知識とスキルを身につけて、より良い作品をどんどん制作していきましょう。






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(2019/07/31更新)

(2015.11.20)

著者

本田佳奈子

東京造形大学所属。グラフィックデザインを勉強しています。ひとりで映画を観ることが好きです。さいきんは海外ドラマにもハマっています。

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