原作への愛のカタチ。二次創作をちゃんと知りたい!

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日本から生まれたマンガ・アニメ・ゲームなどのコンテンツは「クールジャパン」と呼ばれ、いまや世界に誇れるまでの文化になっています。その文化の中には、同人誌などに見られる“アニメや漫画の既存キャラクター”をマネして描いたイラストなどの「二次創作」が含まれており、ファンの活動のひとつとして盛んです。しかし、二次創作が日本の文化として表に出るようになっても、原作の根本的な性質、作品に著作権が存在することに変わりはありません。今回はついつい意識が甘くなってしまいがちな二次創作の現状、問題点などをまとめて、その他の周辺語句と合わせておさらいしていきたいと思います。
編集・執筆 / ASAMI KIMURA, AYUPY GOTO

ニュースでも取り上げられるし、規模も大きい。
つまり、二次創作は堂々とできる?

二次創作物とは、原作者とは別の人物が元の作品のキャラクターを使用して創作した、漫画や小説その他の作品のことを指します。コミックマーケットなどの同人即売会で頒布される「同人誌」はその代表になっています。

このような同人活動は、本来ならば著作権者に許可を取った上で行われるべき活動ですが、実際に許可の上で創作されているものはほとんどありません。とはいえ公式側でも、二次創作物が流通しているという事実は知っていると考えるのが妥当です。つまり現状では、著作権者によって二次創作が黙認されている形に収まっているのです。本当は堂々とできるものではありません。

二次創作の黙認という状況は、著作権の侵害が親告罪であるために発生する状況です。
親告罪というのは、被害者自らが告訴しない限り警察あるいは検察官が犯人を起訴できない犯罪のことを言います。同人即売会が第三者が通報されることがないのはそのためです。ちなみに著作権侵害が「非親告罪化」すると、警察が同人作家などを独自に起訴できることになってしまいます。

ファン活動としての二次創作は罪には問われることがほぼないとはいえ、残念ながら事実上は違法となってしまう行為です。とはいえ、ここまで二次創作が許容されていることにはそれなりの理由があります。それは一体どういった理由からなのでしょうか?

二次創作は文化の発展に。
ただし、原作の収益に影響を与えてはダメ。

二次創作が許容されている理由、言い換えれば許容されるために必要な条件には、次のようなものが挙げられます。

  • 1. 原作品の市場における収益に大きな影響を与えないこと
  • 2. その多くが原作のファン活動・交流として、好意的な活動であるということ
  • 3. 二次創作物が公式作品の宣伝になること
  • 4. 作家の育成になる(同人出身のプロ作家も多く輩出されている)こと

1.「原作品の市場における収益に大きな影響を与えないこと」は、2,3,4の理由を正当なものにするためにも特に重要です。いくらその他のプラスの要素があっても、著作者に対する不利益があっては黙認することができなくなってしまいます。

4.「作家の育成になること」にも注目するべきです。なぜならば、同人活動出身で後にオリジナル作品を発表して人気を博す作家も今では多く生まれているからです。こういった作家は経歴ゆえに、自分の作品の二次創作に対しても寛容だといえるでしょう。

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知っておきたい見えない問題

上記のような利点があるとはいえ、これから先、二次創作に対する対応が良くなるかどうかは分かりません。逆に規制が厳しくなるということも十分に考えられます。
変化に備える意味も込めて、現在も二次創作に見られている問題点を見ておきましょう。

  • a. 違法ではあるが罪に問われていないだけ(親告罪)であること
  • b. 企業によっては二次創作の規制が異なり、作品によっては思わぬ罪になることもある
  • c. ファン活動の範囲を超えた市場規模を持つ大手サークルの存在
  • d. 元のキャラクターのイメージを壊してしまう描写が行われることがある

bはaを考えれば自然なことですが、そのあたりを念頭に置いていない人にとっては落とし穴になりかねます。

cというのは、「原作品の市場における収益に大きな影響を与えない」から黙認されている二次創作であるにも関わらず、中にはかなりの収入を得ている作家がいるということです。それもファン活動の結果なのかもしれませんが、企業や著作権者にとっては、他人が自分たちのキャラクターを使って大きい金額を得ていることを良くは思わないでしょう。

dは二次「創作」であるからこその問題ですが、気をつけないと純粋な原作ファンに不快な思いをさせてしまうかもしれません。

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使い分けよう!
原作からの違いを表す6つの言葉

二次創作と同じことを指すようで、ニュアンスが違う言葉がいくつかあります。
もし何かの作品に刺激を受けた創作をするときは、自分のやろうとしていることが以下のどれに当たりそうか確認してみると良いかもしれません。

「パロディ」
…ギリシャ語を語源とする、ユーモアを込めた模倣作品のこと。原作とは全く違う楽しみ方ができること。原作と間違えられないこと。風刺的な意味が込められることもしばしばで、見方によっては文化ともされる。引用後、改変をするといった形で、日本の和歌にも見られる手法でもある。

「オマージュ」
…「尊敬」という意味のフランス語。作品への尊敬を込めて創作された、原作に似た部分を持つ作品。作者がはじめにオマージュ元を明言することも、分かる人に気づかせてその仕掛けを楽しんだりする場合もある。原作の要素をどのくらい引き継いでいるかは様々。

「モチーフ」
…「動機」という意味のフランス語。創作の着想を得た元の題材のこと。その題材元は著作権物とは限らない。音楽では楽曲を構成する小さな単位のことを指したりもする。

「インスピレーション」
…創作過程で湧いたひらめき。クリエイターは日々様々なものにインスピレーションを受けている。インスピレーション自体に形はないところが、モチーフとの違いであると言える。

「模倣」
…既にあるものを真似ること。そこに新たな創作性はない。絵の分野では模写などが有効な練習法でもあるように、様々な技能で学習の第一歩である。私的使用の範囲を超えてしまうと盗作にあたることになる。

「盗作(パクリ)」
…元作品の表現や内容などを、自らの創造したものであるかのように発表してしまっているもの。盗作は明らかに悪質なものだが、そのつもりのないパロディやオマージュでも、著作権者の捉え方によっては訴えられてしまうこともある。周りから「パクリ」と判断されてしまったとしても、偶然似てしまった場合には著作権の侵害には当たらない。剽窃・盗用も類語である。

最後に

いまや日本の文化の中で、無視できない存在になっている二次創作。その多くが著作権者によって黙認されている現状ではありますが、そこに認識の違いがあればいつ問題が起こってしまうかは分かりません。
パロディやオマージュなどは、海外では模倣から始まった文化としてそのユーモアを尊重すべきという捉え方もされています。こちらも二次創作に関わる問題として合わせて知っておくと良いと思います。

著作権に関係する記事として、こちらもどうぞ。
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(2015.11.12)
Asami Kimura

著者紹介

木村麻美Asami Kimura

横浜国立大学大学院環境情報学府修了。 独学でIT企業のデザイナーへ。 ストーリー性のある音楽や、ポストロック等が好み。
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