実はあなたの身近にも!デザインに活かしたい黄金比と貴金属比の歴史



デザインを学んでれば、「黄金比」という言葉は誰しもが耳にしたことがありますよね。しかし、黄金比はいつから使われているのか、どんな活かし方があるのか……知っている人は少ないかもしれません。そこで今回は、黄金比とはそもそも何なのか、デザインの活かし方など、詳しく説明していきたいと思います。
美大でデザインを勉強する筆者も、黄金比について詳しくなかったため、もっと早く知っておけば普段の作品制作に活かせたのではないかと思いました。この記事を読んで興味を持った方は、黄金比をいかしたデザインに挑戦してみていただきたいです!

編集・執筆 / HANA HIRATA, AYUPY GOTO

●黄金比って?


黄金比とは、簡単にいうと人が最も美しいと感じる比率のことを言います。近似値1:1.618、約5:8の数値のことを指します。

※本当の黄金比は「1.6180339887498……」と小数点以下が限りなく続くため、「近似値」として値を出しています。

最もよく目にするのは、「黄金長方形」と呼ばれる長方形で、そこから最大の正方形を切り取ったときに、残った長方形が元の図形と同じ縦横比を持つ黄金長方形になるという性質を持っています。以下の図が黄金長方形になります。

黄金長方形から短辺を一辺とする正方形を取り除くと、残る部分もまた黄金長方形になります。この正方形の軌跡から生まれる螺旋を「黄金螺旋(おうごんらせん)」といいます。

では、黄金比はどのようにして生まれたのでしょうか?
続いては、歴史について解説していきます。

●黄金比の歴史


黄金比の起源は古代ギリシャまでさかのぼります。当時の数学者エウドクソス(紀元前408年頃~紀元前355年頃)が発見しました。その後に、ペイディアスという彫刻家が初めてパルテノン神殿の建設のために使ったと言われています。また、黄金比を定義したのは、紀元前3世紀頃に活躍した数学者ユークリッドであると言われています。

●黄金比だけじゃない!様々な貴金属比


人間が美しく感じると言われている比率は、実は黄金比だけではないんです!黄金比は「貴金属比」と言われる比率の中の一種です。

白銀比

白銀比とは日本で発祥した日本建築で使われている比率です。白銀比には2種類あります。大和比と呼ばれる比率と、第2貴金属比があります。

・大和比
比率 1:1.414 = 1:√2(約5:7)

・第2貴金属比
比率 1:2.414 = 1:1+√2(約5:12)

青銅比(第3貴金属比)

青銅比(せいどうひ)という比率は初めて聞いた人が多いかもしれません。青銅比は、一般的にはあまり目にしない比率でもあります。

・青銅比(第3貴金属比)
比率 1:3.303 (約3:9)


白金比

白金比とは、別名プラチナ比とも呼ばれています。青銅比同様、実例はほとんどありませんが、豆知識として覚えておくと良いかもしれませんね!

・白金比
比率 1:1.732 = 1:√3 (約4:7)


第二黄金比

黄金比だけでなく、第二黄金比というものも存在します。

・第二黄金比
比率  1:2.618 (約3:8)


●自然界、絵画、建造物などに隠れた貴金属比


貴金属比について詳しく説明してきましたが、これらの貴金属比は大昔から使われていました。自然物や絵画、建造物など身近なものを例に紹介していきます。

ミロのビーナス

ミロのビーナスは頭の先からつま先までと、つま先からおへその比率が黄金比になっています。


<引用 | https://www.goodsmile.info/ja/product/5081/figma+%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%81%AE%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9.html >

パルテノン神殿

黄金比の歴史でも紹介した通り、パルテノン神殿も縦1対、横1.618と黄金比になっています。


<引用 | http://www.mesogeia.net/athens/places/acropolis/parthenon.html >

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

海外の美術作品だけでなく、日本の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」にも黄金比が使われています。


<引用 | https://www.musey.net/mag/11 >

植物の葉や巻き貝の中にも

絵画や建造物だけではなく、自然界にも植物の葉の並び方や、巻き貝の中にも黄金比を見付けることができます。

用紙サイズ(A版、B版)

用紙サイズのA版、B版は白銀比になっています。


●黄金比を使用したデザイン


黄金比、白銀比が使われた自然物、絵画、建造物を紹介しましたが、これらを作品に落とし込んだらどのようになるのでしょうか。実際に黄金比を使って名刺の制作をしてみました。

今回は黄金比を2つ用いて、複雑な構成ではなくシンプルなデザインにしました。名前と住所、ロゴの配置を内側のオレンジ色の黄金比に、青い枠を紫色の外側の黄金比に合わせました。

縦向きはこのようになりました。

このように、黄金比は何にでも応用ができます。今後作品を制作するときに気にしてみてはいかがでしょうか。

●最後に


黄金比について理解していただけましたか?自然界やコピー用紙など、黄金比は私達の生活のなかでも見つけることができます。また、グラフィックデザインだけでなく、WEBやプロダクトデザインなど様々な場面で使われています。ちなみに、「ポートフォリオ百科」で以前ご紹介したこちらのポートフォリオでは、サイズを黄金長方形比率に設定しています。
今まで意識してこなかった人は、これから何かを制作する際に、黄金比を意識してバランスや配置を考えて制作したり、過去に自分が制作した作品を見直して黄金比に当てはめてみたりすると良いかもしれません。

(2018.11.5)

著者

平田華

多摩美術大学情報デザイン学科卒業。紙媒体を中心に作品を制作中。

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