《2018年版》先輩に聞く。卒業制作の「制作費」っていくらかかりましたか?

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1〜3月に大半の美大では卒業制作・修了展が行われます。キャンパス全体が美術館に変身し、どんな作品があるのだろうとワクワクする反面、クリエイターであれば「費用はいくらかかったのだろう」という疑問が生まれるのではないでしょうか。そこで今回は、2018年3月に卒業予定の美大生に卒業制作でかかった費用についてお話を聞いてみました。

編集・執筆 /OSARAGI, AYUPY GOTO

●卒業制作って何?

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卒業制作とは美術やデザイン、服飾などを学ぶ大学や専門学校での最終制作課題のことです。制作物の評価によって、卒業出来るか出来ないかが決まる学校もあります。学生にとって学びの集大成となり、時間をかけて一つの作品を制作します。大学院においては修了制作となります。
 
制作スケジュールは大学・学部学科によりけりですが、大学4年生の春から制作のコンセプトを練り、週に一度教授たちのフィードバックを得ながら制作を進めていくパターンが多いです。就職活動も並行して進めていくので、精神的にも肉体的にもかなり追い込まれます。
 
時間をかけるだけ、お金もかかりそうですが、卒業制作にかかった費用は一体どのくらいなのでしょうか……?

 

一問一答!インタビュー

Q1 作品タイトル
Q2 どのようなテーマ・コンセプトの作品ですか?
Q3 制作費は全体でいくらかかりましたか(内訳)?
Q4 制作するにあたって何が一番大変でしたか?
Q5 これから卒業制作をする後輩へアドバイスをお願いします!

 

武蔵野美術大学 デザイン情報学科 大佛 茉由

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作品形態・・・インタラクティブ立体作品表現

Q1 作品タイトル
焔露(ほむろう)-温かみのあるインタラクション-
 

Q2 どのようなテーマ・コンセプトの作品ですか?
私は「炎」と「言葉」をテーマに人々のホンネを可視化し、炎で燃やして浄化をさせるインタラクションデザインを作りました。Twitterには毎日様々なホンネが呟かれていると思いました。そんなTwitterに現れるホンネを「お焚き上げ」し、スッキリとした気持ちで明日を迎えてもらうのが目的です。

 

 
Q3 制作費は全体でいくらかかりましたか(内訳)?
フォグスクリーン機制作費……約2万5000円
プロジェクター代……約4万円
パネル費……約1万円
什器制作費……約3000円
雑費……約3500円
 

総額……約8万2000円


 

Q4 制作するにあたって何が一番大変でしたか?
フォグスクリーン機(水蒸気の幕)を作る制作費です。試作を何度も繰り返した結果、制作費がポーンと跳ね上がりました。予想外の出費もあったので、もっと計画的に制作すればよかったと反省しています。
 

Q5 これから卒業制作をする後輩へアドバイスをお願いします!
学生最後の制作ですし、お金と時間を惜しまずに取り組んでください!また、予想外の出費も多々あると思うので、お金を蓄えておくと安心して制作に取り組めます。制作費の他にもリサーチに出かけたりと、多々お金がかかることをお忘れなく!

女子美術大学 ヴィジュアルデザイン専攻 重松さん

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作品形態・・・ブランディング

Q1 作品タイトル
C H I P Y

 

Q2 どのようなテーマ・コンセプトの作品ですか?
子供服のブランディングを行いました。絵の具で描いた形から生まれた模様のグラフィックを切り取り、様々な柄と柄のパターンの組み合わせを生かした子供服 ( Tシャツとスカート ) を制作しました。
 
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Q3 制作費は全体でいくらかかりましたか(内訳)
布印刷代……約5万円
紙印刷代……約1万円
その他材料費(絵の具や画材など)……約1万円
 

総額……約7万円


 

Q4 制作するにあたって何が一番大変でしたか?
私はコンセプトがなかなか決まらず、作業が進まない時期があったので、「何を作りたいか」を早い段階で明確にしておく必要があると思いました。最終的に「何を作りたいか」を決めて作業に取り組めば良かったなと卒業制作を終えて反省しています。
 

Q5 これから卒業制作をする後輩へアドバイスをお願いします!
長期に渡って制作するので、根気強く計画性を持って取り組むことが重要だと感じました。最初のコンセプトをしっかりと決めておくことで、何度もデザインを考え直す時間を持つことができます。どんな作品を作りたいか早めにイメージを持っておくといいと思います。
制作スケジュールもきちんと決めておくとベストです!

 

武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 サノさん

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作品形態・・・動画/インタラクティブ平面表現

Q1 作品タイトル
意識の轍

 

Q2 どのようなテーマ・コンセプトの作品ですか?
身の回りの人の手書き文字、その中でも誤字・脱字を集めて分析しました。誤字を書いてしまった理由と修正方法ごとに分類をし、その人の癖や「かたち」の認識を解説した写真集のような本を制作しました。
 
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Q3 制作費は全体でいくらかかりましたか(内訳)?
紙……約2万5000円
大判ポスター印刷……約8000円
什器……約4万円
プリンター……約2万4000円
 

総額……約9万7000円


 

Q4 制作するにあたって何が一番大変でしたか?
お金に関することならば、どの紙を使用するか選びきれずに、たくさん購入して家で選んだところですかね。結局制作には使わず、放置された紙が手元にたくさんあります。お金を無駄にしてしまった罪悪感に苛まれ、精神的によくありませんでした。
 

Q5 これから卒業制作をする後輩へアドバイスをお願いします!
いろんな人にアドバイスをもらってください。教授はもちろん、友人や先輩、先人たちの知恵は最大限に活かすべきです。あとは単純に、スケジュールがギリギリだと時間をお金で買うはめになってしまい無駄な出費が増えるので、なんでも前倒しにするのが吉だと思います。あとは什器もケチらず、せっかく作ったものを綺麗に見せる方法にはこだわったほうがいいと思います。作品も自分も、お金で買った時間も報われると思います。

武蔵野美術大学 建築学科 松本 理佳さん

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作品形態・・・立体/空間構成表現

Q1 作品タイトル
風景・暮らし・経験をつなぐ
 

Q2 どのようなテーマ・コンセプトの作品ですか?
再開発が進んでいる東京・蒲田を敷地に、元々持っていた特有の景色や雰囲気を残し、街に訪れる人たちにそれを体験してもらえるようなゲストハウス兼銭湯を設計しました。
 

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Q3 制作費は全体でいくらかかりましたか(内訳)?
試作費……約2万円
周辺模型材料費(スケール=1:500)……約1万円
本模型材料費(スケール=1:50)……約6万円
パネル費……約1万円
 

総額……約10万円


 

Q4 制作するにあたって何が一番大変でしたか?
スケジュール管理です。私の場合、一応制作スケジュールを提出3ヶ月前から考えていましたが、その通りに進むことは全くなかったです。予定通り進まず、そのしわ寄せが提出間近に一気に来てしまい、とても焦りながら制作していました。
 

Q5 これから卒業制作をする後輩へアドバイスをお願いします!
自分が本当にしたいことをするために試作やリサーチへどっぷりのめり込むことは楽しいですが、同時にお金と時間が一気に消えます。金銭面、時間含め自分の制作環境を整えることは作品の満足度につながるのでしっかり準備し、とにかく楽しみながら制作してください!

東北芸術工科大学 デザイン工学部グラフィックデザイン科 山内 菜朋加さん

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作品形態・・・平面表現(タイポグラフィ、絵本、グラフィックなど)

Q1 作品タイトル
MOIRE MUSEUM
 

Q2 どのようなテーマ・コンセプトの作品ですか?
広告物や雑誌、写真などの印刷物はよく見てみると、網点で構成されています。網点が交わる角度によって起こる印刷上のトラブルの一つが「モアレ」です。この出してはいけないとされるモアレがどう発生するのか、そして新たな可能性を探求し、どう応用発展できるのかをまとめました。
 
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Q3 制作費は全体でいくらかかりましたか(内訳)
パネル制作費(印刷・パネル加工含む)……約4万8000円
冊子制作費……約8000円
アクリル加工……約2万円
 

総額……約7万6000円


 

Q4 制作するにあたって何が一番大変でしたか?
作品の仕掛けを考えることです。モアレという昔からデザインとしてやり尽くされているものをテーマにするということで、それをどのように見る人に興味を持ってもらえるように仕掛けを展開させるか考えるのが一番に大変でした。
 

Q5 これから卒業制作をする後輩へアドバイスをお願いします!
自分が決めた作品テーマに対して不安になることがこれから多々あると思いますが、真剣に向き合えば必ず活路は見えてくると思います。自分がその道のプロになった気持ちでテーマを追求していってください。

●最後に

皆さんが卒業制作にかかった費用はだいたい7万〜10万円であることが分かりました!また、今回調査した費用はあくまでも「制作費」ですので、試作品、リサーチなどの費用を考えると10〜20万円程度、トータルでかかっていると思います。さらに、屋外展示、彫刻、ファッションショーなどの大きな作品はもっとお金がかかっているのではないでしょうか。
 
アンケートに答えてくださった2018年春の卒業生は皆、口を揃えて、「スケジュール管理は重要」と答えました。それだけ、卒業制作はスムーズに進みずらく、時間もお金もかかってしまう最終課題なのでしょう。計画を前倒しすれば、万が一何か制作で失敗した際もやり直しができる時間をつくることができます。
 
今この記事を見てくださっている方はまだ大学1〜3年生、もしくは高校生でしょうか。先輩の反省を生かして、自分の制作に活かしてみてくださいね!
 

【2017年度版はコチラ】
《2017年度版》先輩に聞く。卒業制作の「制作費」っていくらかかりましたか?

(2018.2.7)
Mayu Osaragi

著者紹介

大佛茉由Mayu Osaragi

武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科所属。インタラクションデザインを勉強中です。最近switchを手に入れ、マリオカートをしています。
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