“文章が苦手”を克服する!絵やデザインだけじゃなく「言葉」をスクラップして集めよう

皆さんは、考えを言葉や文章で伝えるのは得意ですか?
クリエイターやアーティストの方の中には 「言葉を扱うのは苦手、だからその代わりに思ったことを作品を通して伝えるんだ」なんていう方もいるかと思います。
筆者は、今でこそこのように記事を書いていますが、はじめからそこまで文章を書くのが得意だったというわけではありません。けれど、今このように言葉をそれなりに扱うことが出来ているのは、とある習慣を続けていたからかもしれません。それが「言葉」のスクラップと収集です。
考えを言葉で説明するのが苦手な方や文章を考えるのが苦手だなと感じている方は是非、今回ご紹介するこの方法をひとつの参考にしていただけたらいいなと思います。編集・執筆 / NISHIDA, AYUPY GOTO

〇「言葉のスクラップ」という習慣


 
冒頭では、言葉のスクラップと収集と表現しましたが、私はこの習慣のことを「言葉採集」とも呼んでいます。
 
ではその言葉のスクラップ、「言葉採集」とは何かと言いますと、ズバリそのまま、日常生活を送っていて気になった言葉を見つけたらそれをノートにメモして溜めていく行為のことです。
 
たとえば、作品を制作する時の為に「これは良いな」と思ったイメージを収集しておくと、役に立ちますよね。ネット上の画像や写真、良かった展示のフライヤーやDM、お気に入りの作家のポストカード、好きなブランドの箱や紙袋、雑誌の切り抜きやファッションスナップなど、自分の制作のアイデア出しに役立ちそうな資料のスクラップブック・あるいはファイルを作っている人は多くいるんじゃないかと思います。
 
また、最近では Twitterやinstagram の「いいね」等、ネット上でのお気に入りを集めて一覧化して見る方も多いと思います。
そうしておくと、自分がいざ「何かを作るぞ! 」と思った時に「そういえばこの部分は、アレみたいなイメージで作りたいんだよなぁ」と具体的なアイデアを出す際に役立ちますよね。
 
では言葉のスクラップはどうでしょう?
 
日常の中で「あ、この言葉(フレーズ)面白いな」と思った言葉を、その意味や由来と一緒にメモして記録してみるのです。自分の好きな判断基準で「いいね」と心の中で思った言葉を書きとめて、一覧化して溜めておくことも、スクラップブックと同じように、とっさに言葉を求められた時に、アイデアを出すのに役に立ちます。
 
そうしてお気に入りの昆虫だけを並べた箱のように、ぴかぴかした言葉だけを集めた「言葉のスクラップブック」は、思いがけない時に自分を助けてくれます。
 

言葉を採集してみよう!

【言葉を採集するポイント】
言葉のスクラップ・言葉採集はあくまで、そのへんに転がっている既存の言葉を集めてくる作業なので、オリジナリティはいりません。また、ポエムなどを書くわけでもありません。収集するのにセンスも知識も必要ないので気負う必要はまったくないのです。ノートとペンがあるだけでOKです。
 
そして、ただ気の赴くままに「これはイイ!」と思った言葉とその意味やその言葉が使われていたシチュエーション、作品名や作者、発言者をメモしていきます! 例えば……
 

なんとなく言葉の語感がおもしろくて、単純に気になったワードを辞書でひいて意味を書くパターン


 

(▽以下ノートから抜粋)
【食傷】(ショクショウ):①食あたり②食いあきること、転じて同じ物事にしばしば接していやになること「-気味」
【浅薄】(センパク):学問や思慮が足らず浅はかなこと。
【糟糠の妻】(ソウコウノツマ):貧乏な時から連れ添って苦労を共にしてきた妻。
【ニル・アドミラリ[nil admirari(ラテン)]】:何物にも感動しないこと。無関心。
【おためごかし(御為倒し)】:表面はあいてのためになるように見せかけて、実は自分の利益をはかること。

★私はこの場合、意味よりは、ただ声に出した時に音が気持ちいいかどうかという基準で集めることがあります。

本や漫画、映画などの中で気になったフレーズを抜き出して採集するパターン


 

(▽以下ノートから抜粋)
●古びた窓枠にうっすらたまる埃のような希望 [野中ともそ 『犬のうなじ』p.158]
●人は死を思い起こすものを好む。黒いものを食べるのは死を食べる事と同じだ [ピーター・グリーナウェイ『コックと泥棒、その妻と愛人』]
●芸術というのは祝福ではなく呪いだ[トーマス・マン]
●若い時には若い心で生きて行くより無いのだ。若さを振り翳して運命に向かうのだよ。純な青年時代を過さない人は深い老年期を持つ事も出来ないのだ[倉田百三『出家とその弟子』]
等……

★どんな作品でもジャンルでも、なぜか引っかかった言葉なんかを記録しておくと、後から自分の考えや価値観を整理するのに役立ちます。

短い詩をまるごと写す場合も

(▽以下ノートから抜粋)
くれがた
約束もせず知らせもなしに
鐘が鳴る
約束もせず知らせもなしに
涙がでる
『青い小径 夢二詩歌集』より

6ペンスの歌を歌いなさい
袋の中に満タンのライ麦
24羽の黒い鳥が
焼かれてパイにされました
<sing a song of sixpence マザーグースより>


★詩は音の面白さも言葉の面白さも両方持ち合わせていることが多く、全部写すのも楽なのでよく集めます。短歌や俳句も集めると面白いです。
 
 
こんな風に気になった言葉たちを、もりもりと書き写していきます。筆者が言葉スクラップを始めた時は、とくに何に役に立つと思って始めたわけでは無かったのですが、やってみたら、単純に好きな言葉だけ集めてるのはとても楽しい作業でした。(慣れてきたらワードごとにジャンル分けしてノートを作ってみると、見返す時により楽しいです。)
 

○こんな時に役に立つ

なんとなく採集しておいた言葉達が、後から役に立つ時があります。

・作品や冊子、展示などのタイトル決め
・人に作品について説明する時
・サイトや図録にひとこと必要な時
・ポートフォリオの説明文

作品自体が非言語的なものだったとしても、たとえばそれを展示する際にはタイトルが必要ですし、その意味を説明する時や人前で発表する時にも説得力のある言葉を使う必要があります。解説パネルに表記する為に、一言作品コンセプトを提出しなければいけない場合もあります。あるいはWeb上で発表する際にも、ノーコメント・ノータイトルで作品のみを載せることはそうそう無いと思います。
そんな時、いつも「言葉は苦手」「適当でいい」としていては、せっかく作品が素敵なものだったとしてもうまく伝わらず勿体無いですよね。
 
けれど、いつでもタイミング良くすばらしいフレーズや言葉が降りてくるとは限りません。そういう時に、いつの日か収集しておいた言葉のスクラップブックを開いてみましょう。書いていた時にはなんの意図も無く集めていた言葉たちが、すっと繋がって、アイデアの手助けをしてくれます。
 

○便利な採集ノート

▼ 筆者が実際に集めていたノートの一部はこのような感じです。まだまだ増え続けていますが、高校生の時に作った1冊目のノートが未だに役立つ機会が何回もあります。作っておいて良かったなと思います。


 
なんとなく集めていた言葉が、あるときまったく新しいアイデアの助けになることがあります。また、言葉を集める習慣が身につくと、いつの間にか語彙が増え、言葉に対する苦手意識が消えています。ただただ気まぐれに集めていた沢山の言葉たちが、自然に自分の口や手先から自在に出てくるようになっているのです。
 
筆者はこの習慣のおかげで、作品のタイトルやコンセプトを考えるのがだいぶ楽になったように思っています。
 
 

▼ 言葉の資料を収集出来たら、今度は自分の頭の中のイメージを具体的な形にするやり方を考えてみるのはいかがですか?
 
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おわりに

さて、今回は「言葉」を収集してみるスクラップの習慣について書いてみました。
クリエーターとして作品づくりをしていくとしても「言葉・文章」を求められる機会というのは結構多いと思います。そんな時に困らないように、専門分野の情報収集だけでなく、言葉の素材や資料も同じように日頃から集めておくことで、とっさに必要になった時に助けてくれるノートを作っておくのはとても便利です。
思ったことや考えを言葉にするのが苦手だなという人ほど、ぜひチャレンジしてほしいです。

(2017.10.26)
nishida

著者紹介

西田歩未nishida

武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻日本画コース在学。読書と標本・剥製集めが趣味です。
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